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ズィミウルギア  作者: 風月七泉
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【オンライン】375話:魅了とは敵も味方も虜にしてこそ②




 過去にやった文化祭以来の音楽付けな日々が続いている。


「はい振付が違うよっ」

「はい~、ごめんなさい‼」


 姉さんはいったい目が幾つあるんだろう。

 シュネーの動きをしっかりと捉えながら、ガウとティフォの演奏もちゃんと聞いている。


「俺だけ負担が多くない?」


〈ギターは前から練習してたんでしょう。格好良いからってさ〉


「スノーちゃん。余裕ならハープとフルートを同時に演奏する?」


 なにその無理だよ、いくらなんでも手が足りない。

 音を鳴らすだけなら、風の魔法でも使えば出来そうな気はするけど、どうなんだろう。


「こ~ら、別の事を考えながら演奏しない」


 コツンとかるく頭を突かれて、すぐに我に返った。


〈あはは、ごめんなさい〉


「スノーも怒られちゃったね」


〈シュネーは大丈夫なの? 罠の連続作動も一緒にやらないとダメだけどさ〉


「問題なし! 感覚と体を動かすのは得意だからね。タイミングはスノーが合図してくれるんでしょう。それなら心配なんて無いね」


 なんでそこまで自信満々に言えるのか不思議だが、えっへんと胸を張って言う。


 舞台演出の一部に罠の技術を使って、花吹雪を散らしたり魔道具を使用した演出を考えているのだ。今は訓練用の道具を用いている。


 そして今回の件にはファンダズマの人達にも協力を依頼している。


 秘密裏に相手の情報を攫ってくるのと、ちょっとした工作をしておいたのだ。他にも幾つか頼んだ事はあるが、そちらは相手が動かなかった時にやってもらう事なので、現状ではあんまり必要な出番はなさそうという事らしい。


 マッチポンプと言えば簡単だが、準備には時間や労力だって馬鹿にならない。


 敵さん達は夜に紛れるのがお得意みたいで、警備の目を掻い潜って潜入してくる者達が少しずつ、また増えてきている。


 これは姉さんがやろうとしている、僕等のアイドル計画が原因でもあるんだけどね。


 民を虜にしようって程の動きだから、敵さん方も予想外の行動だったらしく焦って僕等の企画を何とか阻止しようと、慌てて動き出したって所だろう。


〈反響が大きいのは……予想外だったな〉


「貴方が自分の容姿に関して、自覚を持っていないのがいけないのよ」

「そこに俺も含まないでくれよ」


 ティフォは汗を拭きながら愚痴る様に戻って来た。ケリアさんが用意したステージ衣装に似た感じのドレスを、すぐに着替えてジャージ姿に早変わりする。


 一応は女性装備として着れるので、ジャージ姿でいる事が最近多くなってきている。


 逆にそっち系のマニアさんには、大ウケしそうな着崩した感じの服装になってるんだけど、本人は全く気付いていない様だ。


 ちなみにジャージは部屋着としてしか着れないので、外に出る時は強制的にワンピースか女性が着れる装備類に変化させれれる。


「ボク達ってそんなに有名人だったっけ?」


〈どうだろう、そこまで派手な活動はしたことないけどね〉


「CMに出たくらいだな」


 自分達が出ているのを見るのは、少し感動する事もあるけれど、恥ずかしさの方が勝っていて、今でもあんまり直視できない。


 電気店で買い物をしている時なんかに、ゲームのCMがモニターに流れていると、僕ら全員が視線を背けて、その場から早く立ち去ろうとするくらいだ。


「まぁ有名になってるのは、広告主の頑張りって所かしらね」


 ケリアさんやカミさんが最近妙に忙しそうにしているのは、僕等の事を宣伝している事もあって、あんまりホームに顔を出せていないようだ。


「スズメ達はどうしたんだ?」

「ふふん、あんな良い子達を私が逃すはずないじゃない」


 妖艶に微笑み舌なめずりをしながら、デザートの到着を待っている顔をしている。


「そうか、シスターズも巻き込まれるのでござるな」


 遠い目をしながら、ガウが可哀想にと呟いて乾いた笑いをしている。


「先輩! 連れてきましたよ~」

「説得するのに苦労したんですけど……」

「今度のチケットをタダで上げないといけなくなりましたよ」


 この前に居た子達が、スズメちゃん達を連れてきた。






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