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ズィミウルギア  作者: 風月七泉
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【オフ】365話:初登校の中等部




 何時の間にやらぼんやりと、机に座って朝食を食べている。


「あら、翡翠ちゃん? 琥珀ちゃんは寝ちゃったのね」


〈え~っと、どんな状況なのかな……これ?〉


「後で琥珀ちゃんにお礼を言っておきなさいよ。今日は学校に行く日でしょう。初日なんだからしっかりね、先生との話し合いもあるから一緒に行きましょうね」


 そう言えばそうだった。昨日は樹一達と一緒に作戦会議をして、かなり遅くまで話し合っていたから、寝るのも遅くなってしまったのだ。


 琥珀が頑張って起きてくれたんだろうけど、限界で眠ってしまったのだろう。


「もうすぐ小鳥ちゃん達も準備を終えてくるだろうから、しっかり顔を洗って目を覚ましておきなさいよ。琥珀ちゃんが着替えは済ませてくれてるからね」


 下に視線を落とすと、慣れないスカートに緑を淡い緑をベースにしたセーラー服を着ている。胸元には中の字が書かれた校章が付けられている。


 残りのご飯を口に頬張り込んで、急いで咀嚼していると玄関の呼び鈴がなる。

 ストロベリーの紅茶で口の中に残ったモノを飲み込んで、急いで玄関に向かう。


「おはよ。今日は朝から一緒じゃなかったけど、皆揃ってるよ」


 小鳥ちゃんがそういうと、後ろには桜花ちゃんと葉月ちゃんが居た。


〈早いね、もう行くの?〉


「ふふ、昨日の会議でまだ眠いんじゃない? 早めに来たのはゆっくり行こうと思ってさ。そしたら咲沢姉妹も居てね、車で送ってくれるってさ」


「中東部の駐車場で降りるから、そんなに目立たないから大丈夫?」


「先ずは私達と一緒に登校した方がね、何かと都合が良いのよ。外見でかなり目立つだろうから少しでも学園で平穏に過ごしたいなら、一緒に登校して貰いたいんです」


「というのは建前で、ただ一緒に登校したいだけ?」

「葉月……余計な事は言わないで良いから」


 どうやら僕や小鳥ちゃんと一緒に仲良く登校をすることを、桜花ちゃんは随分と楽しみにしていたらしい。二人ともお嬢様だから友達と一緒に学園に行くというのに憧れがあるみたいで、執事さんにちょっと遠めの駐車場に車を止める様に言っていた。


「準備は万端そうだけど、カバンは大丈夫かな?」


 僕の制服姿を舐める様に見てから、小鳥ちゃんが聞く。


〈あ、荷物もってない〉


「はい、ちょっとごめんね~」


 ボフッと母さんにお湯で湿らせたタオルで顔を拭かれて、少し髪を梳かす。最終確認を終えてから、学生カバンを手渡された。


「はい、これで大丈夫でしょう」


 そうニコニコと笑いながら送り出してくれる。


〈それじゃあ行ってきます〉

「あ、ちょっと待って。こっち向いて、皆も集まってくれるかしら」


 母さんは何処から取り出した分からないが、カメラを構えて僕の写真を撮ろうとしてくる。それを見て小鳥ちゃん達が僕に抱き付いて、カメラにVサインをしている。


「ありがとう。それじゃあ行きましようか」


 母さんは何時の間にお化粧を済ませたのだろう。

 執事さんに連れられて、皆で車に乗り込む。


〈初めて乗ったよ、こんな高級車〉


「そうね、広いわね」

「翡翠ちゃんの初日だから、両親が張りきっちゃたのよ」

「でも、快適でしょう?」

「少し畏縮しちゃうけどね」


 小鳥ちゃんが少し呆れ気味に言う。たしか、小鳥ちゃんは二人のお屋敷に泊まった事もあるから、どういう感じなのかは想像が出来ていたのだろう。


 樹一達はしっかりと起きられたのだろうか、ちょっと心配だ。






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