【オンライン】321話:特殊な施設②
古い家を建て替えるという事で、昔から住んでいる住民の要望も取り入れた家と敷地の範囲を決めて、農家さんは畑までの移動を考えて住む場所を話し合いで決めて貰った。
流石に私達だけだと、場が締まらないのでボウガさんにも応援を頼み、ある程度の場所はコレで綺麗な街並みになるだろう。
家が出来るまでは、まだ暫くその場所に住んでもらってるから、順々に移動してもらう。
「スノーちゃん! 貰った情報なんだけどね。どうも正解っぽいよ」
ミカさんが僕等の所まで、猛ダッシュで駆け寄って来た。
あの細い容姿の何処にそんな胆力があるんだろうか。
まぁズィミウルギアのプレイヤーさん達は外見での判断は出来ないんだけどね、良い例が近くにいるし、ガウとかね。そう考えると、小さい子が大人でも振りませない大斧をぶん回したりもできるんだろうな。その場合はリアルでも小さい子じゃないとダメになるけど。
「ちょっと、聞いてるスノーちゃん?」
〈ごめんなさい、ぼっとしてました〉
「仕方ないんだな、今まで住人達とのやり取りをしながら駆け引きもしていたのでござるから、疲れるのは当然でござるよ」
「あら、そんな事をしてたの?」
「そうだよ~。昔から住んでいる場所からの移動だからね、家を建ててあげるっていても、簡単には受け入れてくれないから、移動して貰う人達に不公平感が無いように慎重に要望を聞き入れつつも、お互いの妥協案を探す感じでね」
「モンスター達を手懐けていた人達だけあって、やり手な人達が多すぎるんだよ」
ダイチお爺ちゃんやハーナさんで慣れているつもりだったけど、本当に頭の良い人達が多いし、強かに自分が得するように動くのが上手いんだよねお婆ちゃん達って。
まぁ、此処でのやり取りで関係も良好って感じに受け入れられたので、今後は彼等の元に生まれるモンスター達もグランスコートの発展に貢献してくれるだろう。
花屋さんに居た魔物達は【アンソス】といった花に由来する魔物だった。
彼等から花蜜を貰えれば、色々な香水やら石鹸やらが作れるだろう。
しかもダイチお爺ちゃんに助けられた事もあって、信頼度もかなり高くなっていた。
〈今度は美味しい蜂蜜が手に入るかもしれないよ〉
「そうなの、それは楽しみ……じゃあなくってね。この前に貰ったメールの事が分かったの、これはかなりの情報になるから、後でかなりのスィアを振り込んでおくからね」
「そんなに凄かったの?」
シュネーが僕に手渡された小切手に書かれたスィアの金額を見て驚いている。
「他のサーバーでも発見されてなかったんだから、そりゃあ一番に見つけたスノーちゃんに払われる金額はかなりのモノになるわよ。神社に神主を置いたってダメなんだから、誰でも高めのオブジェクトだと思うじゃない」
実際には神社の効果を発揮するには、高位の妖怪、もしくは精霊でなくては効果が発揮されないという事らしい。他のサーバーで神社を建てたファーマーにも高位の精霊系統の魔物が居てくれた御蔭で、試せたらしい。
妖怪の仲間がいるという人も居て、その二人が試した事によって効果が分かったらしい。
かなりの範囲に効果があり、水の精霊が住んでくれれば水質が上がる。そしてコレが海の近くで、海に関係のある高位の魔物であった場合は、海からの恩恵が受けられて、漁業や災害の被害が無くなるという感じのモノになるらしい。
〈確かに、凄い情報ですね〉
九尾の妖狐であらうミスユ団長に住んでもらえば、五穀豊穣などの効能になるんだろうか。それとも、別の効果も付与されるんだろうか……取りあえず、妖怪達に住んでもらう場所には本当にお稲荷さんみたいに、大きな神社を建てよう。




