【オンライン】227話:恋のライバル認定(5)
(なんかすっごい睨まれなかった⁉ ボクの気のせいかな)
(……気のせいじゃない?)
(凄いね、あの一瞬の変わりよう。牽制にしたって絶対にティフォなんに気付かれないタイミング、位置でアタシ達にはしっかりと見える立ち位置だもん)
(はぁ、面倒な人が来たね)
皆は平然とした様子でヒソヒソ話をしているけど。
なんでアレを見て動揺しないんだろう。僕とシュネーはかなり驚いているんだけど。
案の定、ティフォは全く気付いていないし、僕等の変化にも少し首を傾げているだけだ。
「この人はガウのお姉さんで、えっと名前は?」
「フーです。よろしくお願いします」
流石は令嬢様だ。無理のないカーテシーで綺麗なお辞儀だった。
それにすかさず返したのは双子ちゃん達で、お嬢様らしく同じ礼儀作法で返す。
僕とシュネーはそんな事は出来ないので、ただ頭を下げて挨拶をするだけで終わる。
「姉上、ステータスを見せてもらっても良いでござるか?」
「良いわよ。私でも出来る職業にしたのだけれど、問題ないかしら?」
もう既にフレンド登録を済ませているのか、細かな設定を先に終わらせているのだろう。ガウがフー先輩のパラメーターをチェックしていく。
「こういう勘は流石は姉上という所でござるな。ギャザラーとして申し分ない能力なんだな。料理に骨細工、それに彫金師と良い所を狙ったでござるな」
木工はボウガさん達が居るし、鍛冶師や錬金術師も知り合いに居る。それにケリアさんは裁縫だから、いまグランスコートに居ない職種で重宝されるだろう。
「ふふ~ん、お姉ちゃんは皆のお役に立てるんだって所を見せてあげるんですからね」
ちょっとしたアクションでも胸が強調されているというのに、無駄に胸を張って威張らないでほしいな、何故だか知らないが無性にイラッとする。
今は小さな体だけど、ベースは同じ体型。……この身長にしては、まぁ大きい方だとは思うが、なんで敗北感を味わうはめになるんだろうな。
なんか冷たい視線が僕を襲ってきたので、そっちを見る。
(スノー先輩やシュネーは大きいから良いですよね)
ペタペタと胸を触っていたら、ジト目でスズメちゃんに睨まれた。
(大丈夫、私達は成長過程だから?)
(お母さんは大きいもんね)
双子ちゃん達も思う所があるらしい。
「先輩は運動音痴でゲームも苦手なのに、良くヤル気になりましたね」
「も~、そういう事は言わなくて良いの。一緒に遊ぶ時間が全然無いんだもん、私だって一緒に遊びたいのよ。それともお姉ちゃんは仲間外れですか?」
「いや、そんな事は……ちょっと先輩、近いですってば」
己の武器をよく理解しているようで、天然の部分もあるのだろうけど、しっかりと意識してティフォの腕を絡めに行っているようだ。何処とは言わないけど主張する感じで押し付けているのが、傍から見ると良く解るよ。
〈僕はスノーです〉
「ボクがシュネー。よろしくねフーちゃん先輩」
「えぇ、よろしくね」
何故かぽやっとした何時もの口調ではなく、言葉のニュアンスに冷たい氷の様なモノが微かに混じって僕の肌を襲ってきた。
「はぁ、フー先輩。邪魔するなら容赦なく敵対しますよ」
僕を守るかのように、シュネーやスズメちゃん達が前に立ちはだかってくれる。
「もう~、ちょっとした牽制じゃない。同じ女性なんだからそれくらいは分かるでしょう」
明るい感じは崩していないのに、どうしてこうも違うのだろう。
「流石に悪戯が過ぎる?」
「嫉妬深いと嫌われるんじゃないかな? 特に好いてる人にね」
双子ちゃん達が牽制して言い返すと、少しだけ眉がピクっと動いた。
「はぁ姉上よ、放っておかれたとは言っても、ティフォナ妃に嫌われたくなかったら、皆と仲良くするんだな。特に、彼女達を泣かすような事をすると本当に嫌われるでござるぞ」
「分かったわ、ごめんなさいね。ずっとティーちゃんが遊んでいたっていう貴女に嫉妬してたのよ。本当に一緒に遊びたかったんだもん」
口を尖らせ拗ねながらも、しっかりと僕に対して頭を下げて謝ってくれる。
「あはは、ごめんね先輩。コレからは一緒に遊べるからさ、皆で楽しもうよ」
しょんぼりとしつつも、ティフォの言葉にフー先輩は静かに頷いて答えた。
まぁ、元凶は貴方なんですよ……ティフォさんや。
〈フー先輩、アレの何処が気に入ったんですか?〉
(え? 全部かな?)
素ではにかみ、顔を赤らめて答えてくれる。
いったいティフォはこんな可愛らしい先輩に何をしたんだろう。




