【オンライン】226話:恋のライバル認定(4)
いつもなら少し時間が掛かる移動をノータイムで中央都市に帰ってこれた。
「はぁ、ここからでは一直線に始まりの噴水広場に着いてしまうんだな」
ガウの算段では、グランスコートからの道中でティフォに全てを押し付けて逃げようとしていたらしい。しかし、エーコーさんが案内した転移で不可能となった。
「ふっ、ざまみろ。出し抜こうとするからそうなるんだよ」
「スノー姫よ、今から拙者達だけでも戻る事を考えるでござるよ。姉上は危険なんだな」
〈でもガウのお姉さんでしょう。挨拶ぐらいはした方が良いんじゃないかな?〉
僕とガウは良く遊ぶと言っても、昔の様な関係でも無いし。翡翠としては会った事もないのだから挨拶くらいしておかないとダメだろう。
今は女の子になってしまっているし、変に樹一との関係を探られるのは良くない。
「ガウのお姉さんって怖い人なの?」
シュネーが少し助け舟を出す様に切り出してくれた。
「あの人は結構にのほほんとした雰囲気の優しい先輩だぞ」
ティフォはそう答えるけれど、そんな彼の後ろでは首を激しく横に振っている二人が、
(それは樹一妃だけなんだな、気付いてほしいんだぞ)
(無理です、兄は鈍感系の主人公さんですから)
スズメちゃんとガウは小声でヒソヒソと話し出した。
皆で一緒にギルド本部から外に出て、ゆっくりと噴水広場に向かって歩き出す。ガウの足取りが物凄く遅いけど、双子ちゃん達に背中を押されて強引に前へと進まされている。
「皆は絶対、お姉ちゃんとイチャイチャしちゃあダメだからね」
「何で……まぁ、別に興味ないからしない?」
「アタシも別にタイプじゃあないし、しないけど……自分よりも綺麗な人ってちょっとね。可愛らしいとかなら別に良いかなとは思うけど」
サクラちゃんがそう言うと、女子四人がチラチラと僕の方を見てくる。
「姉上は何と言うか、妄想が激しいというか、嫉妬深いんだな。そんな性格で何時ものほほんとした雰囲気を崩さすに話すから、怖いんだな」
いち早く噴水広場に居るであろうお姉さんを発見したらしいガウの表情が一気に変わる。苦虫を嚙み潰したように眉を拉げ、顔を慌てて逸らした。
「あ~、やっと来た。……もしかして、樹一君かな?」
ぽあぽあした感じのまったりした声で手を振って来たお姉さんが居た。
「デカいの……アレは凶器?」
「お母さんでも、あの大きさは無いね。メイドさんに二人くらい張り合えそうなのが居るけどさ。軽装であの胸は反則じゃない」
「全く、主張が強すぎるのよね、あの脂肪」
全員の視線が最初に向いたのは、彼女の胸だった。
そんなお姉さんは、ティフォにぎぅ~っと抱き着いて、抱擁している。
行き交うプレイヤーの皆さんも、チラチラと彼女の胸に視線が向いてしまっているのが分かる程に、顔を向けている。
ほんわかとした雰囲気ではあるけれど、しっかりとスポーツをしている引き締まった肉付きに、長い脚を強調したようなホットパンツ。モモンガみたいな袖で大き目の上着を着ているのに主張している大きな胸。背筋もしっかりと伸びていて姿勢も良いお嬢様だ。
銀髪の乱れがないストレートヘアーで、少し髪を撫でればCMでも見ているかのようなサラサラした髪質をしている。
「貴方が小鳥ちゃんね」
ティフォを胸で窒息させそうにしながらも、顔を此方に向けて来た。
「こっちではスズメよ。ちゃんとキャラの名前で呼んでよね」
〈ティフォが窒息で死に戻りしそうなんで、放してあげてください〉
本当に気付いていなかったようで、慌てた様子でティフォを解放する。
「先輩、強く抱き過ぎですよ」
「ごめんね~。久しぶりに会えたから嬉しくって」
えへへ~、っと明るい表情をしていたが、ティフォがお姉さんから視線を外した瞬間に、此方に鋭い目を向けて来た。




