【オンライン】188話:鬼達の住まう土地
〈かなり薄暗いね〉
「森エリアの奥地でござるからな。エーコー殿に安全なルートを教えて貰わなければ、今頃はアクティブモンスターの巣窟を突き進んでいたでござるな」
管理エリアといえども、知性が低い魔物や縄張り意識の高い動物などは別途で仲良くならなければならず、今のところは見かけたら敵意を向けられてしまう。
まぁ、イベントの御蔭か問答無用で襲われる事は無いけどね。エーコーさんの祝福が僕とシュネーに掛けられているので、僕等がパーティーに居る場合は森の全体のアクティブモンスターに対して、警戒までしか上がらない仕様になっている。
「そういや、ガウはこの辺まで来てスパイク達に囲まれたのか?」
初めて会った時に大勢のモンスター達に追われていた。
「そう言えば、そんな感じの衝撃的な出会いだったわね」
まさか知り合いだとは思わなかったけど、確かに良い出会いだったと思う。
「森の奥が怪しいと思い、先へ進む為の道を一生懸命に探していたんだな。グランスコートで怪しい場所だったのは、この森と少し道を外れた小さな鉱山ぐらいだったのだ」
エーコーさんの結界で結局は進めなかった訳だ。
しばらく、そうやってお喋りしながら観光気分で歩いていると、急に薄暗い森林地帯から視界が開け、明るい場所に出た。
渓谷に出た僕達の前には巨大な橋があり、橋自体は高く空に向かって伸びている。
手前には大きな妖精の羽を持つ、厳つい精霊が三体も居る。屈強な男性で両端に居る人達は長槍を持ち、中央の人はゴツイ感じのハルバードを背負っている。
「本当に抜けたでござるな。あの向こう岸に見えるのが鬼達の住まう街なんだな」
大きな木々に囲まれ、山の凹凸で微かに見えるのは瓦屋根の建物だ。
周りの山々が秋の様に色付いていて、綺麗な景色だ。
「そこの者達、此処へは何用で来られた」
真ん中に立っている人が僕等に向かって、多少の威圧を込めた感じの声で呼ぶ。
景観に見入っていて、ちょっと不審者ぽかったかな。
門番の人達の元まで歩いて近付く。
〈この先に行ってみたいんです〉
僕がそういうと、門番たちがジッと僕等全員を睨み見る。
「……コレは失礼した。エーコー様の加護をお持ちの御方とは知らずに無礼を働きました。お許しください。ただいま、橋を下ろしますので少々お待ちください」
最後に僕とシュネーをよく見た時に、目をカッと見開いて固まったと思ったら、少し顔色が悪くして、頭を下げられてしまった。
後ろに居た二人の門番もテキパキと動き出して、すぐに橋を架けてくれる。
〈ありがとうございます。お勤めご苦労様です〉
「い、いえ。お気をつけてお進みください」
三人其々にお礼をしながら通ると、三人とも綺麗なお辞儀で見送ってくれる。
橋を渡った先は、エーコーさんの森とは全く別の景色だった。
道には紅葉した葉っぱの道が出来ていて、赤い絨毯の上を歩いているようだ。早く進むと足元で色付いた葉が舞って、凄い綺麗な一枚絵のようだ。
定期的に強めの風が吹いて木の葉が舞い散り、ティフォの周りを彩り可憐さが増す。
「ティフォナス妃よ。頼むから無駄に綺麗なお姉様にならないでほしいんだな。思わずスクショを撮ってしまった自分に凹むんだな」
「なんでだよ! ただ立ってただけだろうが⁉」
また強い風が吹くと、髪を抑える様にして目を細めて景色に見惚れている。その姿はまさに一流モデルの映像シーンを見ているようだった。
「芸能人のCMを見ているようだったわよ」
「無駄に色っぽいんだよねティフォっちってさ」
「俺は男だ! 見ろよこの男らしい体を!」
何処からどう見ても華奢なお姉さんにしか見えない。
〈残念ながら、格好も相まって男には見えん〉
「そう、貴方みたいな子は宝なの。お願いだから筋骨隆々な感じにならないで頂戴よ。私の創作意欲だってビンビンに掻き立ててくれるんだから~」
皆ではしゃぎながら散策しながら先へと進むと、渓谷地を上手く利用した街が見えてきた。棚田が広がり、和風建築の建物がメインで建てられている。
僕等が最初に見たのは、五重塔みたいな建物のようだ。




