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ズィミウルギア  作者: 風月七泉


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【オンライン】175話:イベント騒ぎは大騒ぎ




 今までは何とか森の木々が邪魔してくれたけれど、森から出れば大鬼の障害物も無くなり、追ってくる速度も上がるだろう。


「森の入り口までもうすぐだな」


 ようやく出口が見えて嬉しそうにするネグだが、僕は全然嬉しくはない。


〈そうですね、どうしようかな〉


 ボスをボケーっと眺めながら、どうやって距離を取ろうかと考える。


「どうしたよ?」

「邪魔しないの、いまの彼女は思考中だから」


 他の人にターゲットが向けられれば何とでもなるんだけれど、どうも狙いは僕が第一目標になっているようで、全然ほかのメンバーには攻撃をしていない。


 暴れている時に偶然でも当たれば良いという考えの様で、大降りにはなってはいるが、どう逃げても僕の方向へと進んでくるのだ。


〈ガウはもしもの時の為に先行してニンフィが疲れそうな所で休んでてくれないかな、ニンフィがバテ始めたら支えて走ってほしいんだけど、嵩上げした坂の手前くらいはスタミナも持つと思うから、その辺で合流って感じでお願い〉


「了解でござるよ」


 それ以上は聞かずに、全速力で僕ら全員を置き去って森を駆け抜けていった。


「アイツ、あんなに早いのかよ」


 盗賊の青年が唖然としながら言う。


「それがガウの取り柄だからな。普通のタンクとして組むと、きっと組み辛いだろうけど」

「はぁ? それじゃあ役割を熟せないだろう?」

〈でも、それで困った様な事にはなりませんよ。むしろ僕等には良い能力です〉


 敵を陽動して貰ったり、罠まで釣って嵌めてもらったりと大活躍だ。


「逃げのタンクなんてカッコ悪いだろう」

「見てくれは悪そうに見えるかもしれないけど、かなりヤル奴だぞ」


 ティフォが友達の自慢をする様に言い笑顔をしながら答えると、少しだけ青年達がムッとした表情でガウが走り去っていった方を見ていた。


〈別に本人がしたい様にプレイするのが一番なのでは? どういう生活を過ごしたかでパラメーターが変化するんですから、自由に楽しく考えてみるのも一興でしょう。まぁ、他の人への迷惑行為などはどうかと思いますけどね〉


 自由と言ってもある程度のルールは必要だろうからね。

 チラッと青年達を見れば、少しだけ目を逸らして顔を顰めている。


 ケリアさんと何かあったっぽい感じだったし、この子達が何かしらコトである原因の一端を担っている事は間違いないだろう。


「ニンフィ、次は少し下を飛びながら左斜めに向かって!」


 それよりもマップに集中して何か策を考えないと、そう思って森の出入り口付近に目をやると、仲間の表示である青い点がチラホラと見えた。


〈もしかしてダイチお爺ちゃん、森の入り口付近に居る?〉


『おう居るぞ! 仲間も連れて来たからのう』


 上手く誘導が出来れば良いんだけれど、どうやらそれは無理そうだ。


〈そっちに誘導は出来そうにないんだけど〉


 今まで罠に掛かってきたせいか、それとも出口が近いと見て殆ど真っすぐにしか進んで来ないのだ。今この状況で左右に逃げる余裕も無い。


 それに、心なしか大鬼の攻撃もそういった行動を阻止するように左右均等に攻撃している気がする。此処では下手な博打は無駄死にだ。


『ふむ、まぁ問題ないからそのまま全力で抜けちゃいなさい』


 ハーナさんがハキハキとした声で、何故か楽しそうに答える。

 予想外の返答にちょっとだけ戸惑ってしまった。


〈分かりました、よろしくお願いします〉

『ふふ、任されましたよ。ほれお前さん達も準備するよ』


 ハーナさんが号令を掛けると、近くに居た人達が声を揃えて「おっす」と武闘家の道場みたいな溌溂とした声が聞こえた。


〈下手な事は考えずに、全力で外に抜けます。そのまま一気に嵩上げした水路の坂を上るから、スピードは落とさないでね。ティフォとアズミルはダイチお爺ちゃんと合流して、上手いこと大鬼の後ろから追いかけてきて〉


「大丈夫か?」


 ティフォが心配そうに僕を見てくる。


「あら、私が居るのよ、最悪スノーちゃんは守って見せるわよ。ふふ、それよりもハーナさんは何をするつもりなのかしらね。ワクワクしちゃう」


 ケリアさんは本当に今の状況を楽しんでいる様子だ。

 緊張でガチガチになられるよりも全然良いけど。

 指示を出してすぐに、時間も無く森を抜けてしまう。


〈良いんですか?〉


「あら~、私は貴女に付いて行きたいから良いのよ。それに、どうも私の感で悪いんだけどこの戦いはファーマーである貴女を失った時点で負けな気がするのよね~」


 言い終わる頃にはケリアさんは何時もの笑顔じゃなく。鋭い男の人の顔になっていた。口調はそのままなのに、男が惚れる男性って感じのリーダーって感じだった。


 大鬼もすぐに森を飛び出してくる。


「失敗するんじゃないよ! しっかり全身を使って振り回しなさい」


 少し森から離れた瞬間に怒号の様な声が響き、チラッと大鬼も声の方を見る。


「よ~し、今だ、投げるぞ‼」


 両端に頭位の石が二つロープに結ばれたモノを遠心力を利用し、そのまま振り回す様に投げつけて、大鬼の脚に絡みついていく。


「グォ⁉ ガァァア」


 僕の方へと手を伸ばしてくるが、ニンフィの全力疾走の御蔭でスレスレで捉えられることなく、大鬼は地面に突っ伏して倒れた。


〈ニンフィ! 今のうちに行こう!〉


 ただ倒れただけだが、十分な時間稼ぎだ。



 大鬼は脚に絡まったロープを引き千切り、すぐに立ち上がって追いかけてきた。





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