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ズィミウルギア  作者: 風月七泉


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【オンライン】167話:イベント騒ぎは大騒ぎ(ジャンシーズ視点)



    ▽▼▽視点:【ジャンシーズ】△▲△




「ネグッ‼ 突っ走りすぎだぞ」


「何言ってんだよ、さっさと行かないと横取りのタイミングを逃しちまうだろう」


「楽で良いね~、きっとグランスコートの奴等が攻め入っている御蔭でだろうな」


「前は少しでも前に進めば、すぐに小鬼共の群れに出くわして面倒だったのにね」


 辺りを警戒する様子もなく、焼け野原になったしまった道をひたすらに真っすぐに進む。鬼達の野営地だったと思われる太い木と大きな葉っぱで作られた寝床は、無残に破壊されたり焼かれたりした跡が点々と続いている。


「やっぱもう攻め込んでんだって、ほらスピード上げようぜ」

「だからな後続がついて来てないんだって言ってるだろう」


「脚の遅い奴等なんか放っておいてさ、俺達だけで行っちゃいましょうよ」


「どうせすぐには攻撃しに行かないんですから、彼等が追い付く前にグランスコートの動きを見ておきましょう。奴等もどうせ苦戦するんですから」


 人の話を全く聞かない子達だ。グランスコートの人達が一番功績を出しているというのに、なんの為に前もって情報を渡したと思ってるんだ。


 諦めさせようとしたのに、逆にこんなハイエナみたいな事を思いつきやがって。そのせいで俺まで非難の的にされたんだぞ。


「俺達に倒せなかったんだから、初心者共が倒せる訳がないだよな~。いくらケリアさんが仲間に居るからって、一人だけではボスを倒すなんて絶対に無理だしな」


「あの人は馬鹿みたいに強いけど、おわっ⁉」


 パーティーで一番素早いエイタが先頭を走っていたのだが、派手にすっころんだ。


「何してんだよ、ドジだな」


 ネグがクスクスと笑いながら、エイタの元まで駆け寄ろうとする。


「待て! ゆっくりこっちにこい。足元に注意しながら」


 エイタがすぐに起き上がって、そう叫んだ。


「なんだ? 何かあったのかよ」


 駆け寄る足をピタッと止めて、エイタに言われた通りに俺達は注意深く進む。

 彼が転んだであろう場所を通りかかると、足首辺りに太い蔦が引っかかった。


「なんだこれ?」


 剣を取り出して足元の蔦を切ってみる。

 少し引っ張れば倒れた木々に結び付けられている事がすぐに分かる。


「ったく、鬼共はこんな知識も身に付けたのかよ。マジで面倒な奴等だな」


 ネグは悪態を付きつつ、地面の石蹴とばした。


「どういうことだ? グランスコートの奴等が敵の本陣に攻め込んでいる筈だろう」


「外回りの雑魚かなんかじゃねぇの?」


「とりあえず、用心して進んだ方が良さそうだな」


「何言ってんだよ、どうせちゃちな罠しか作れねぇんだ。全部突っ切って行った方が早いだろうが、雑魚に良い様にされてたまるかよ」


 いや、コレは小鬼が作った罠じゃないな。

 アイツ等にそんな知識は無い。


 こういう手が使えるのは少なくても上位種レベルの鬼だ。しかし、中隊規模が動いた様子は無いし、そんな大勢を従えて動いた痕跡も確認できない。


 アイツ等は少なくとも小鬼の雑魚兵を一緒に連れて居るんだから、この辺りはもっと踏み荒らされてグチャグチャな地面になっている筈だ。


 つまり、このトラップはプレイヤーによって作られたと考えるべきだろう。


「おい、おっさん何ずっとしゃがんでんだよ。行くぜ」


「分かった、すぐに行く」


 さて、この事を伝えても俺に徳は無いしな。コイツ等には一度くらい痛い目にあって貰った方が、今後の教訓になるだろう。と言うよりも、コイツ等は俺の話なんて聞かないし、変に話しが拗れると面倒だ。


 後で副リーダーにでも報告しておけば良いだろう。どうせ今回の同行だって監視が目的だしね。はぁ、今回の立ち位置は本当に貧乏くじだ。


「おっさん、なに怖気づいてんだよ」


「こういうのは注意を払っているって言うんだよ。考え無しに突っ込む痛い目みるぞ」


 最低限の忠告だけはしといてやるかな。


 この忠告も無意味に終わったけどね、三人は俺をチラッとみると鼻で笑ってスピードを上げていく。


 さっき転んだのはグランスコート側からの忠告だろうに、近くに人の足跡だってしっかりあった。注意深く観察すればすぐに分かる様に色々な所にヒントがある。


 随分と親切な人達だなとは思う。残念ながら彼等には通じてないみたいだけど。


 少し奥でまた叫び声が聞こえた。


「だぁ~くそ、なんなんだよ⁉」


 コレが最後の警告だな、こっから先はトラップ地獄だろうな。


「やっぱり引き返したほうが良いと思うがね」


「あっ! ふざけんな。帰るんならお前一人で帰れよ」


 やっぱり何を言っても無駄なようだ。


 ため息を付きながら、彼等の後に付いて行く。だたし、かなりの距離を取りながら。





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