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ズィミウルギア  作者: 風月七泉
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【オン14】甘えん坊な妖精と畑作りの行方

おくれて申し訳ありません。

ちょっとやらかしまして。

金曜の予定がなくなりちょっとした三連休……たまった漫画や小説を読み、仮眠をしたらゲームをして仮眠……小説を読んで執筆、息抜きに外に食べに出かけ仮眠……ゲームをして小説よんで執筆の爆睡……私の土日は何処に行ったのだろう【←いまここ】



 ホームに戻りながら、軽く見て感じた事を話した。


『普通のモンスターはホームに湧いてないと、オレは思う』

「ウサギはこのフィールド内での普通モンスターだろ?」

『ん~、オレが感じたのは、ワザとホームにモンスターを沸かす? 感じで、周りのモンスターを集めてるかなって思ったの』


「集める? なんで?」

 オレを抱いているシュネーが首を傾げながら聞く。


『や、知らないけど……ホーム周りのモンスターが極端に少ない気がするし』


 極端に少ないというよりも、この家周辺のウサギに関しては編隊を組んで統率されているイメージの方が強い。とくに、オレを足蹴にしたようなあの生意気なウサギを思い出す。


「そういえば、スノーちゃん達に対してだけリンクして襲ってたわね」

 エフケリアさんが思い出したように言う。


 ――リンク? ってなんだっけ?


「リンクってのは一匹のモンスターを攻撃すると、近くにいる同種モンスターも一緒になって襲ってくる事だ、まぁゲームの用語だな」


 オレの心でも読んだかのようにティフォが説明をしてくれる。


『顔に出てた?』

「顔というより、仕草だな」


 にかっと笑うティフォを、何故かシュネーが睨んだ表情で見ている。


「あの、なぜに睨まれているのかな、俺は?」


 ちらっとティフォが助けを求めるようにオレに視線を移す。

 いや、オレに聞かれても困る。

 小さく首を振ってオレも知らないと、伝える。


「いまだけ、いまだけ……絶対に追い越す」

 ブツブツを意味不明な言葉を呟くシュネーにどう声を掛ければ良いか分からず、とりあえず、この雰囲気を何とかするために話を進める。


 エフケリアさんだけが、この雰囲気を楽しそうに眺めている。


「でぇ、どういった事を確かめていくのかしら?」

『まず気になったのは―ー』


 シュネーとオレのパラメーターは違うけど、その他の能力は同じだ。高く飛び上がって上から見下ろしたとき、不自然にモンスターが移動していたのが見えた。

 離れた位置に居たスライムやウサギが、逃げる様にシュネーから離れていった。

 多分だが、俺達の【騎獣の心】が影響しているんじゃないかって思った。

 これは案の定、ホームから離れた位置の小型モンスターは一定距離、近づいてこない。ただし、一定範囲内に入ったモンスターはその場からあまり動かず、こちらを監視するよう移動して去っていく。

 その過程で分かったことだが、スライムは《魔力・振動・視覚》の感知能力だということ。


 ――…………スライムの目ってどこだろう。


 プルプルでゼリーの塊にしか見えないのだが、核となるモノがあるらしいのだけど、そこが視覚の役割を持っている、ただ外から見つめているだけでは見えないらしい。


 ウサギは《気配・聴覚・視覚》で反応する。


 肝心のホームのウサギだが、オレ達が離れた位置からゆっくり近付いても、警戒した様子もなく普通にうろついているだけだ。


 いくら大声を出そうと、こっちを見ようとも変わった様子がない。


 唯一、ちょっと変わった反応をした一グループがいた。

 これはオレやシュネーに対してではなく、ティフォに対して変わった反応をした。

 ホームに近づいて行くと、すり寄っていくのだ。餌を強請るペットの様に。

 そして、オレとシュネーには何故か……けんか腰だ。

 帰ってくると、何故か待っていましたと言わんばかりに、玄関前で陣取っている。

 もちろん、あの生意気なウサギは腕組みをして先頭で偉そうに立っている。


「ザ・リベンジだよ、ウサチャンズ」

『いざ、勝負』


 シュネーは巨大ニンジンを取り出し、オレは普通サイズを掲げて飛び出す。

 数では向こうが圧倒的に有利。

 言うまでもなく、オレ達に圧倒できる力は無い。

 数分も経たずに敗北し、こちらのニンジンを取られた。

 これは毎回というか、もう成り行き任せにやっている。


「ねぇ、なんならアタシが倒しても良いのよ?」


 HPが1の状態では動けず、頭の上から声がする方にチャットを打ち込む。

 シュネーはもう仰向けになって、寝息を立てて寝ている。


『ケリアさんは手出ししないでくださいね』

「でも~」

『オレはこいつらと仲良くなってみたいんです』

「仲良くって、テイマーじゃなきゃ使役できないのよ?」

『ケリアさんが言っている事の意味は良く分からないんですけど……試したんですか?』

「良く分からないって、ゲームのじょうしっ――」


 急にケリアさんは言葉が詰まったようで、最後まで言わずに終わってしまった。

 いまの状態だとケリアさんの表情なんて見えない、どうしたのかは分からないけど、オレはとりあえず言いたい言葉をチャットに打ち込んでいく。


『使役ってことは相手に何かを《させる》ってことですよね、別に命令とか主従関係で縛りたいわけじゃあないんですけど。オレはあいつ等の主人じゃなくて友達になりたいって、だけなんですけど。できないんですか?』


 しばらく、ケリアさんからの返答がない。


「それ、は……分からない、わね」


 どことなく震えたようで、やっと絞り出した感じの声だった。


『ケリアさん? どうしたんですか?』

「なんでもないわ」


 瀕死のボロボロ状態から少しだけ回復して、やっとのことで起き上がる。


「スノー、作戦考えよ、作戦っ、このままじゃ勝てないよ~」

『そうだね、なにか考えないと』

 ティフォは相変わらず、オレ達から奪われたニンジンを切り分けて、ウサギ達に丁寧に配っている、ヤツの周りはモフモフワールドが出来ていた。


「ちょっと、城下に行ってくるわ、何か欲しいモノがあったら買ってきてあげるわよ」

「とくには無いけど……ニンジンを追加でっ!」

 そんなお父さんの飲み友達が来たときの、酔ったオジサン風に言わんでも。


『シュネー、まだいっぱいあるでしょう。オレは特にないのですね』


 やはり気のせいだったのか、さっきの声音よりも高い声で元気そうだった。


「買い物なら、ちょっと俺も付き合いますよ」

「え、いやでも、悪いわよ」

「そんな気にしないで――」


 餌を分け終えて、ケリアさんに近づいて何やら、急に聞こえない程の会話をしている。


「え~、一緒に作戦考えてよ~」

「そういうのはスノーが一人居れば十分だろう」

「スノーはゲーム初心者なんだよ~、それにボクも~」

「しばらく二人っきりになれるんだぞ?」


 数秒の沈黙の後、


「行ってらっしゃい」


『……シュネーはいったい何がしたいのさ』

「気にしない、気にしない」

 急にオレを抱きしめて、ホームへと向かい始めた。


『ちょっと!?』

「さ、次こそはあいつ等をギャフンと言わそうね」

『ねぇ、なんかシュネーが怖いんだけど、助けてよっ!』


「すぐもどって来るって」


 ギ~っと重い音が静かな部屋に響き、重そうな音と共に閉まる。


外の明るさが変わらないからって時間があまり進んでないとは限りません、不健全な生活は気を付けましょう( ;∀;)

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