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ズィミウルギア  作者: 風月七泉
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【オンライン】160話:イベント騒ぎは大騒ぎ




 偵察班のメンバーが帰ってきて、すぐに村の中央大広場に皆が集まった。


「聞いてた話とは随分と違う有様だったんだな」

「いつ攻められたのかは分からないけど、かなりボロボロだったね」

〈自陣内で負けた?〉


「小隊は間引けてたようだけど、中隊はすぐに倒せない状態が続いて数で押し切られたっていう感じみたいよ。それで、その作戦を駆使してたのがジャンシーズ連中なんだって」


 自分達が押し負けてしまった戦術をしっかりと見て、感じて覚えたのだろう。自陣まで押し込まれた戦法を学び、実践してみたのがヴォルマインとい感じなのだろう。


〈それじゃあ僕等のやり方って〉


「あぁ、それは大丈夫でござるよ。鬼達はトラップの作り方は学べていないようなんだな。落とし穴も敵陣には無かった事は確認済みなんだな」


「どういうこと? 何が違うのさ」


 シュネーが不思議そうな顔をして言うと、ミカさんがちょうど戻って来た。


「罠にハメた奴等は全て捕縛、もしくは倒しちゃってるからよ。鬼達に使った手で逃げられた事が無いのよ。己で経験した事を持ち帰らない限り鬼達は学べない仕様みたいね」


〈でも撤退していった敵は居ましたよね? 見ただけでは、相手は学べない?〉


「でしょうね。確かにトラップに嵌めた鬼を逃がしたりはしてないわね~、全部捕まえて今じゃあ村の労働力として働いて貰ってるしね」


 何故かケリアさんが頬を赤くし、うっとりとした表情で言う。

 その瞬間、男達全員がケリアさんから顔を背けた。


「目の前で見てただけでも、それは相手の経験にはなってないって判定なんだな」

「そこまで賢くない、というのもあるかもしれませんよ」


 ガウとアズミルは冷静に分析しているようだ。


「なぁ、なんでウチは平気なんだ?」


 ティフォがやけに静かだと思ったら、ずっと魔物達の世話(撫でたり、毛繕いしたり)をしながら考え込むように呟いた。


「中隊規模を一気に倒したじゃない。アレで警戒してるんじゃないかしら」


「スノーちゃんの策で、一気に攻め込んだと思ったら閉じ込められて、落とし穴やらバリスタに投石器。それらで多くの数を倒したからね」


「それじゃあ、あの時からジャンシーズの人達が使ってた手で攻めてきたてのかな?」

「そうじゃないかしら。あの辺から一気に敵の質も上がって統率もしっかりとしてきたし」


 改めて話を聞き考えると、かなり危なかったんだなって思う。


 僕が考えた策っていうか、偶々に上手く事が運んだというだけ。水路だって雨が降ったりして水嵩が増したら危ないかなっと思って嵩上げした道を造っただけだ。


 それが鬼達を阻む良い感じの坂になったと言うだけの話なんだけどね。そこにウサギさん達が勝手に穴を掘って落とし穴を用意したり、エーコーさんとボウガさんがノリに乗ってバリスタや投石器を作り始めただけ。


 結果として、それらに助けられた感じだ。


「スノー? 運も実力のうちだよ」


 シュネーがそっと頭の上から声を掛けてくれる。


 そんなに不安そうな顔をしていたのだろうか、こういう時にしっかりとしないと皆に不安が伝染してしまう。自分の頬っぺたを摘まんでムニムニとこねくり回してみる。


「何してんだ、お前」


 ブハッと堪えきれずにティフォが息を噴き出して笑い始めた。


〈むぅ~、何だよ〉

「お前が急に変顔をしだすからだろうが、くくっ、あははは」


 なんかツボに入ったらしく、お腹を抱えて笑い出してしまう。

 さっきまでピリピリしていた空気が一気に飛散していく。


「まぁあんまり神妙になっても仕方ないし、やれることをやっていきましょうよ」

「そうでござるな、先ずはどうやって相手を切り崩していくかを考えねばならぬな」

「やっぱ鬼達の陣地を消すことは大前提よね」


 皆が笑顔になって明るい感じで話が弾む様に進んで行く。



 僕等の雰囲気が伝染していくように、周りで話し合いをしていた幾つもの別パーティーにも笑顔の人が多くなっていっている。



 次第に冗談や笑い声も混じって、少し宴会っぽい会議になっていった。





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