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ズィミウルギア  作者: 風月七泉
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【オンライン】155話:イベント騒ぎは大騒ぎ



 イラグさんの工場に行く道すがら、少しだけ中央の大広場を通る。

 ケリアさんが現場監督みたいに、あっちこっちに指示を飛ばしている。


 ゴーレムを引き連れ、パニアが大きな岩の柱を地面から生やして周りのゴーレムが形を整えていく、天井はハチや雲みたいな魔物であるニンフィと、そのお友達が一生懸命にお手伝いしてくれている。人を乗せて高い所に上がり、屋根を作っていく。


 重い柱なんかは鬼達とゴーレムが共同で組んでいく。


 少し目を離してティフォ達と防衛の事を話している程度の時間だったのに、もう外観の骨組みが出来上がりつつあるのだから、すごく早い。



 だだっ広い端の一画に石で築いた塀が出来ている、そこを超えていくと広い敷地にポツンとレンガで出来た小さな工場がある。


 内装は全く弄っていないので、必要最低限の机やタンスしかない。

 後はイラグさんが持ち込んだモノ多くあるだけだ。

 彼は自分の家よりも作業の出来る場所を最初にと言ったため、工場だけが急ピッチで作られたのだ。


 火薬を保管しておく小さな小屋もある。こちらはパニアが作ったコンクリートの様な壁で覆われている。入り口にはイーゴさん作の魔法の扉が取り付けられている。


「どんな感じに進んでるかな?」


〈さぁ? ミカさんにも協力して貰ってるけど、そんな簡単に出来上がるモノじゃあないだろうしね。火薬を使ったトラップを作れれば良いんだけど〉


「いや、花火を作って――」

 ティフォのツッコミを待っていると、工場の方から凄まじい爆破音が響いて来た。


 音だけで、工場から煙が上がっている様子は無い。


「ビックリしたよ」

〈だ、大丈夫かな〉

「とにかく行こう」


 心配になって皆で一斉に走っていく。


 今はニンフィが居ないから、己の脚で走るしかないが、こうしてみると僕がいかにスピードと体力が無いと良く解ってしまう。


 半分も走って無いのに息切れしているし、錘の鉄下駄でも履いてるんじゃないかって程に足が遅い、殆ど歩いているスピードと変わらないんじゃないだろうかと思う程だ。


 ただ、今回ばかりは遅れて良かったのかもしれない。


 ドアや窓が何かに耐えられなくなって、吹き飛んだ瞬間に工場から大量の水が噴き出してきたのだ。

 遠くに居た僕には被害がなかったが近い位置に寄っていたティフォだけ。

 巻き込まれる形で水に押し流されて行った。


「ぷはぁ~、驚いた」


 ケラケラと笑いながら、顔を腕で拭う。シュネーはティフォと違い、勢いよく噴き出た水に吹き飛ばされ、僕の胸元に飛んできただけですんだ。


〈大丈夫?〉

「うん、ちょっと濡れただけかな」


 未だに噴水の様に噴き出しているけれど、中の人達は大丈夫なのだろうか。


「ケホッ、ぺッ、口に水も入った。……というかな、お前ら、少しは心配しろよな」


 水に濡れたせいで少しだけワンピースが透けて、色っぽい感じに肌に張り付いている。しかもグラビアアイドルの写真集に載っていそうなポーズで起き上がっているせいで、更に色気が倍増している事に本人は気付いてない様子だ。


「コレはまた色っぽいですな~」


 後で小鳥ちゃんやアズミルにでも見せてあげようと思い、メニューからカメラ機能を選択して、何枚かティフォを撮っておく。


 何故かシュネーも一緒になってティフォを撮りまくっている。


「おいコラ、何を勝手に写真を撮ってんだお前は!」


 急いで立ち上がったティフォに頭をグリグリと潰す様に押された。


〈痛いよ~〉

「冗談だってば~」


「それならさっさと画像を消しなさい」



 工場から流れ出る勢いが弱まってきた所で、プカ~っと流れてくる人影が二つあった。






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