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ズィミウルギア  作者: 風月七泉
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【オン80】イベント騒ぎは大騒ぎ



「たくっ、様子を見に来て見りゃ随分と可笑しな事になってやがんな」


 ボウガさんが心底呆れながらオレ達を見回して言う。


 がっしりとした腕を組みながら、少し威圧的に最後に見たイーゴさんを少し睨んでいた。


 イーゴさん自身もビクリと体が反応していた。


「大体は想像つくが……随分とまぁ変ちくりんな条件達成だな」


『……え? 良いんですか⁉』


 畑だった場所はオレのミスで泉になってしまったんだけど。


「元は畑から泉になったんだろう、それに畑に埋めていたタネが育った。間違いじゃねぇだろう。それに棚田を作るには丁度良い水源にはなるんじゃねぇか」


 フンッと鼻を鳴らしてオレから顔を逸らした。


 ただ単に態度で見れば嫌われてるって勘違いをされそうだけど、きちんと話してよくよく見てみると、細かく色んな所にボウガさんの優しさがやら、恥ずかしがり屋な一面が分かる。随分と可愛らしいオジサンだと思う。


「ほれ、受け取れ」


『まだ、咲いてませんけど?』


 優しく山なりに巻物のようなモノを胸元へと投げ渡された。


 細長い木の板が連なったもので、墨で字が書かれている。



 アイテム名【継承の木簡(東の大地):東の第一集落】

       ※東・第一集落の第一人者を継承する者の名が書かれている。



「これでお前は東の大地のに住まうモノ達と一蓮托生だ。この地を色々と好きに出来ると同時に守る義務も、導く義務も生じる。俺に出来ない事を、楽しい先を見せてみぃ。此処の連中に理不尽な事を吹っ掛けるようなら、いつでも俺が締め出すからな。俺様にそいつが帰ってこないよう祈ってるぜ」


 ボウガさんが楽しそうに笑いながら語る言葉はどれも力強いモノだった。


 気持ちよく晴れるようなボウガさんの声に影響されてか、泉の蓮が花開いた。


 水面から高く伸びた花から出てきたのは、真っ白な綿菓子みたいなモンスターだった。


「ぷぁー?」


 フワフワと宙に浮いて、風に乗る様に揺れては花の中央に戻る。


 いつの間にかウサギさん達も、蜂さん達も蓮のモンスターに注目している。


 まだ寝起きみたいで、目を細めてパチパチと瞬きをしている。


 ふわもこなモンスターが出てきていて気付かなかったけど。


 水面にはまた別の花が散らばって咲いている。


 ただ、こちらは小さく水辺に浮かぶように咲いている水連っぽい花だけど。


 気になって泉の近くで屈み、色々と観察していると寝ぼけていたのか、風に流されて蓮から生まれたモンスターがオレにぶつかってきた。


「ぷぃあ?」

『大丈夫?』


 こう近くで見ると、改めて大きなモンスターだなって思う。


 オレの体くらいは覆える大きさだ。


 触れると更にモコモコした柔らかい体をしていると感じられる。


『どうしたの?』


 なんかジッと見られている気がする。


「ぽぁー」


 あまりの気持ちよさに撫でていたら、更に擦り寄られた。


「これって、刷り込み現象ってやつからしら?」


 ミカさんがふわもこモンスターとオレを交互に見ながら呟く。


「親って言う点なら、タネを埋めたのはスノーちゃんよね」


「そうでござるな」


 何でか真剣そうにケリアさんとガウが考え込んいる。


「ねぇねぇ、この子って赤ちゃんって事になるの?」


「そりぁ、生まれたばっかりだからな」


 いや、確かに気になるところではあるんだけどさ。


『みんな、助けてくれない』


「ぷぃぷぁー」


 オレでは擦り寄られてこられると抱き留める事も出来ずに、ただ押し倒されて頬をスリスリと擦られるだけで、されるがままなんだけど。



 こんな見た目をしていても、意外にも重い子だった。




《全地方の第一継承をなされた事により、来週よりイベントの開催が決定しました》




 天から降り注ぐ様に聞こえるアナウンスが【ズィミウルギア】の世界に響き渡った。





誤字脱字のご指摘をしてくださった方々、本当にありがとうございます。

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