あおのひと
何処までも続く青でした。
黒く深い青、それがゆらゆらと漂ってわたしを濃紺の色に染め上げるのです。
わたしは誰だったでしょう。わたしは何だったのでしょうか、幾ら思い返しても頭の中はぼんやりするばかりで
この場所は、何処までも青く、そして静かでした。穏やかだと言い換えてもなんら可笑しい事ではありますまい。けれど同時に“わたし”という存在以外はなにも無い、寂しい場所でもありました。
――だれか
わたしの声は青色に閉じ込められて響くことはなく
――ねえ
わたしの嘆きは誰に届くこともない
涙を流せば水が溢れて、声を上げれば水が震える
わたしの両手はどこまでも届くのに、わたしの手を繋いでくれる存在は居なかった
わたしはここにいるのです
わたしは待っているのです
閉じられた青の中で