持ってたスキルは伝説のスキル
「ぜー、はー」
「休んでないで働け!」
監視兵らしき奴に怒られた。
ちなみに俺は今延々とレンガ石を運んでは置き運んでは置いている。
くそ暑い上に冷房施設もないときたもんだ。流石にそろそろしんどいんだが。
「よーし、じゃあそろそろ休憩だ」
ふぅ。あぶねえあぶねえ、ぶっ倒れる前に休憩になってくれて助かったぜ。
あ、今日の弁当はおにぎりか。中身は……シャケか。いや味はシャケっぽいからそう思ってるだけだけど合ってんのかな……。
いやぁ、この後は午後きつそうだな……。あれ後何回運べば良いんだ?
いっそのこと食あたりにでもなんねえかな。そしたら休めるのにな。はっはっはっは。
「……って呑気か俺は!」
となりの人をびっくりさせてしまった。すみません。
いやいやいや、何やってんだ俺は。わざわざ異世界転生したのにやってることレンガ運びて!
これなら転生した意味ねーよ!
ちくしょう。なんとかここから抜け出さねーと。けどどうやって? 監視兵はいっぱいいるしな。
「おい貴様」
「はい?」
監視兵の一人が話しかけてきた。まさか心を読んだとでも?
「貴様だけスキル鑑定がすんでいないな。奴隷とはいえ、いずれ売る時にないと厄介だ。今済ませる」
スキル鑑定とは? もしかすると俺の固有能力的なものがわかるのか? わからないがこいつについていけばいいのだろうか。
ついた先は作業場の端っこで申し訳程度の机に透明な玉が置かれていた。
「ここに手を置けば貴様のスキルがわかる。まぁ奴隷だから大したものではないだろうが」
さっさとやれというオーラが見えるようなきがしたので言われた通りに手を置く。
すると凄いなこりゃ。なんと透明な玉には文字が書かれ始めた。
明らかに日本語どころか今まで見た事もない文字なのだが、何故かなんて書いてあるかわかる。
そこには『盗賊王』と書かれていた。
「盗賊王、これが俺のスキルって奴なのか?」
なんだか悪そうな名前だな。
俺のスキルを見た兵士の数人は笑っていた。
「なんだそのスキル。聞いたことねーよ、はは」
「い、いや待て。盗賊王って俺聞いたことあるぞ。確か、そうあの伝説の冒険者カンダタのスキルだ!」
「な、なにぃ!?」
なんだか知らんが勝手に盛り上がってるようだ。人の能力でよくもまあそんなに盛り上がれるな。
「お、俺は認めんぞ。こんな奴隷風情が伝説のスキルを持つなど……!」
伝説だろうがなんだろうが知ったこっちゃない。こちとら別に好きで奴隷になってるわけでもねーしな。
「俺と勝負しろ奴隷!」
しかしこんな展開になるとも思ってなかったが――。