王族対抗戦
「約束通り、言う事を一つ聞いてもらいますわ!」
「却下」
「却下じゃないですわよっ! なんですの却下って!」
リル王女の金切り声が耳に響く。
俺たちは研究室から出てきて街を歩いている途中だ。
すると王女がレインと約束した「なんでも言う事を聞いてくれる」っていう話を持ちかけてきたってわけだ。
「わかったわよ、仕方ないわね。で、何? 何すればいいのよ」
「ほほほほ、それはですね……」
ほほほ、って笑い方現実で初めて見たぞ俺。
まぁでも俺も王女がレインに何を命令するのかはきになるな。
「監禁して一生おもちゃとかですかね?」
「ヤミって時々すげえこと言うよなお前。つーかそういう系の命令は無しだって言ってただろ」
「あーそっかぁ。そうでしたねっ」
ヤミのそんな恐ろしい提案をよそに、王女がレインに下した命令は、
「王族対抗戦に出場なさい!」
というものだった。王女自身はドヤ顔で決まりましたわーっとでも言い出しそうな感じであるが、俺はなんのことやらわからない。
言われた方のレインといえば果てし無く嫌そうな顔をしている。どうやら面倒ごとのようだ。
「あんたってなんでそう面倒な……」
「嫌とは言わせませんわよ」
ヤミの方を見てもなんのことだがわかってなさそうだったのでグレープさんに近寄り、聞くことにした。
「グレープさんグレープさん」
「……あ、た、大河様?」
まだちょっとお互いに気恥ずかしい感じではあるがまぁ気にせずいこう。
「王族対抗戦ってなんです?」
「簡単に言えば年に数回王族で行われる様々な対決のことです。表向きは親善試合ということになっていますが……」
「が?」
「実際は王へのアピールをする場所です。自分の知略、戦略、友好関係の広さ、等々を」
「ほう。なんで王女さんはレインを誘ってるんです?」
「試合のメンバーは王宮の中以外から探さないといけないためです。友好関係の広さもこれで大体わかりますね」
なるほど何人かメンバーを集める必要があるのか。それで色々な形式の勝負をするって感じかな。
レインをみると、嫌そうな顔はそのままに王女様に質問していた。
「なんで私なのよ」
「そ、それは……強いからですわ」
「嘘ね。私なんかよりあんたの隣にいるシェパードの方がよっぽど強いでしょ。特警は参加できるはずよ」
「も、もちろんライトも参加しますわ」
「じゃあなんで私も誘うのよ。頭いいのだって他にいるでしょ」
「う……それは」
「お友達が他にいないのでは?」
そう声を発したのはヤミだった。
瞬間、王女様はその場で固まり、動かなくなってしまった。
ま、まさか当たってんのか?
「え? も、もしかして私余計な事を言いましたか?」
「超クリティカルヒットしたかもしれないな」
王女様はギギギと錆だらけの機械のように動き始めた。
「……ち、違い、ますわ……」
「えっ、何? あんたって私以外に声かけられるような人いないの? それはまずくない?」
王女様は、必死に否定の言葉を紡ぎ出したがレインにはバレバレのようだ。
「う、うぅ……うううーっ! そうですわよーっ! 貴女以外にお声をかけられる方がいなかったんですの! 悪いですか⁉︎」
「い、いや別に悪かないけどさ」
王女様の謎の勢いに流石のレインもたじろいでいる。
あいつ友達いないんか……王族って可哀想だな。
「じゃあ出てくれますのね?」
「わ、わかったわよ……でも王族対抗戦は六人必要でしょ。あんたとシェパードと私とグレープを入れてもあと二人足りないわよ」
あと二人。なんかすげえ嫌な予感がするぞ。
まさかとは思うが……。
「そうですの。あと二人決まってないんです」
「ふーん? じゃあさ、大河とヤミを出しなよ」
レインのやろう! 言いやがった!
くっそ、面倒ごとに巻き込むなよ!
「大河とヤミぃ? あそこのお二人ですか? あり得ないですわね。あのような庶民二人を参加させるなど!」
お、いいぞ王女様。ちょっとムカつくがナイスな判断だ。
これで俺たちは変なものに出なくてすむな。
そう思っていたのだが、
「あなたにタイガー様の何がわかるんですかっ! タイガー様は凄いんですよ! なんて言ったってあの伝説のスキルの持ち主なんですからっ」
「伝説の、スキル?」
ヤミが声を張り上げて反対してしまった。
馬鹿野郎、そこは黙っといてもいいんだよ。
「そうですよっ。あの伝説の冒険者カンダタのスキルと同じものをもってるんですっ!」
「なっ……!」
「なんだとぉ⁉︎」
王女様とロン毛が同時に驚愕の声を出す。
やっぱりカンダタってやつは知名度あるんだな。
「そ、それは本当ですの?」
王女様が俺の方を見て恐る恐る聞いてきた。
「……まぁ一応本当だ」
「す、凄いですわ! 貴方、王族対抗戦に出場なさい! これは命令ですよ!」
ほら、こうなるじゃん。
おい、何をヤミは誇らしげに胸を張ってるんだ、お前後でお仕置きだからな。
「仕方ない……わかった――」
「待て」
俺が渋々了承しようとした時、遮ってきた声の持ち主はロン毛の野郎だった。
最近忙しくて更新が遅くなってすみません。
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