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次の目的地

 

「じゃ、また会う機会があればな」

「アニキぃ……本当に行っちまうのかよぉ」

「誰がアニキだ」


 手下Aが泣きながら言ってきた。ちなみに手下Bも大号泣している。結局最後までこいつらの名前覚えられなかったな……。


「何泣いてんのよあなた達は。縁があれば出会う事もあるわよ」


 流石にクリスは泣いていないか。まぁ泣かれても困るんだが。


「だっでよぉ……ヤミちゃんともお別れだと思うと……俺ぁ」

「泣かないでくださいっ、えーと……えと……手下Bさんっ!」


 ごり押しした! 名前わかんないから手下Bでごり押ししたぞこの子!

 なんて恐れを知らない奴なんだヤミめ。


「俺は手下Bじゃなぐで、コロンボだよぉ……うおおおお」


 ほら違う意味で泣いちゃったじゃねえか。まぁ俺も知らなかったけど。こいつコロンボっていうのか。


「……ちなみに俺はガンタだがらなぁ……!」


 なんか空気読んでもう一人も名前教えてくれたぞ。でもすまんなお前ら、たぶん寝たら忘れる。


「わかりましたっ。もう忘れませんっ! コラボさんにゲンタさんっ!」


 いやもう間違えてるよ。ちょっと惜しいあたりが逆に可哀想だよ、やめたげて。


「うぅ……ありがどぉ……ヤミちゃん……!」


 諦めた! 名前を訂正する事を諦めやがったぞあの野郎!


「ほら茶番劇やってないで、さっさと見送りなさい。またね大河、きっとすぐにまた会うわ」

「……俺もそんな気がするよ」


 なんとなくでしかないけどな。


「じゃ行くか、ヤミ」

「はいっ」


 泣きながら俺たちを見送る……えーと……手下たち。それを見て笑いながら手を振るクリスが徐々に遠ざかっていき、俺たちは砂漠の街を後にした。


 ちなみに行きの馬車とは違う奴だ。ちょっと豪華にしてみた。中は赤いソファでツノが生えた馬も心なしか優雅である。


 快適な空間でいつの間にか眠くなってきたな。ちょっと寝るか……。


 ―――

 ――

 ―


「おーいお客さん、ついたよ」

「……ん」


 どうやら着いたらしい。さてじゃあ起き上がるか……ってあれ? なんで俺ヤミの膝枕で寝てんだ? 座って寝てたと思ってたが。

 ヤミもスヤスヤ寝ている。

 

「ヤミ、おいヤミ、着いたぞ」

「うぅん。も、もっと激しく……タイガー様……!」

「なんの夢見てんだおめーは」


 思わずヤミの頭を小突いた。


「いたっ。あ、あれ?」

「着いたぞ」

「あ、はい。あぁ……もう少しでいけそうだったのに」


 何が、ということは訊かないでおこう。

 それにしてもレイン家は相変わらずでかい屋敷だな、とりあえずノックするか。

 数秒も待たないうちに中から召使いのグレープさんが出てきた。


「これはこれは大河様」

「手紙を届けてきましたよ。レインはいます?」

「ええ、先ほど帰ってきたところです。どうぞ入ってください」


 案内されるまま中に入っていくと、相変わらず偉そうに脚を組んで待っているレインがいた。


「レイン様はああやって偉そうにしていますが、先ほどまではずっとそわそわしてたのですよ」

「ちょっ、ちょ、グレープ! 余計なこと言うんじゃないわよっ! あんたも憐れんだ目でこっちを見るな! 嘘だからね! 今のはグレープの嘘!」

「わかってるよ」


 嘘じゃないって事はな。


「そ、そう。ならいいのよ。それであんた、シェパードに手紙渡せたの?」

「ああ、返事の手紙も貰ってるぞ」


 封筒に入った手紙をレインへ渡す。レインは素早く封を開けると、中身を読み始めた。


「ふーん、なるほどね。よし、決まりね! 大河、行くわよ!」


 こいつは急に立ち上がったかと思えばまた唐突に何を言いだすんだ。


「行くってどこにだよ」


 そう訊くと、彼女は真っ白な歯を露わにして笑った。




「王都よ!」

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