カジノ無双
「いいかしら、まずは普通にカジノに入店するわ。それで一定の額を稼ぐの。VIPエリアに入らせて貰うためにね」
「ちょ、ちょっと待て。稼ぐって、それが簡単にできたら苦労しないだろ」
「まぁ、そこは考えてあるわ。それよりもその後の事よ。VIPルームの奥にある宝物庫、そこにレッドオーシャンはあると言われてるの」
本当に考えているんだろうか。クリスはまぁ割とまともだとしても他の二人の手下――コロンボとガンタというらしい――はどうみてもアホだしな……。
よくここまでこの手下でやってこれたな。
「そしてそのVIPルームから宝物庫に至るまでの道にかなり強い用心棒がいるみたいだからあなたたちにはその撃退をお願いするわ」
「なるほどね。で? ちゃんと盗める自信あんのか?」
「当たり前でしょう。あたしを舐めないで欲しいわね」
まぁそんなこんなで俺たちはカジノに潜入した。黒い服を着てサングラスをかけた用心棒的なやつらがそこら辺をうろうろしているが気にしないでおこう。
「さっ、タイガー様。勝ちましょー」
「よーし、何やろうかな」
スロットやらポーカーやらルーレット、割とたくさんある。
あんまりテーブルゲームはわかんないしスロットでもやるか。
「あっ、タイガー様はスロットやるんですね。じゃあ私もやります」
「ヤミはカジノ運とかなさそうだな」
「ふふーん。そんな事を言ってられるのは今のうちですよっ」
で、結果。
ヤミは持っていたコインを全て融かし、俺は当たりに次ぐ当たりで五百枚だったコインが五千枚までふえていた。
「おいヤミ」
びくっと反応はするがこっちをみてくれない。どうやらあんな事を言った手前、恥ずかしいようだ。
「ほらコイン半分やるから元気出せ。次はルーレットやるぞ」
「ほんとですかっ。ふふーん、まぁさっきのはまぐれですっ。ここで大勝ちしちゃいますよっ」
で、結果。
「赤っ、赤ですよっ。赤! あああああ」
無情にも盤上を転がった球は黒へと吸い込まれていった。これでヤミは再び無一文である。
一方俺は不正を疑われるレベルで大勝ちした。コインは既に五万枚を超えている。
「おかしいですっ、不公平ですっ、いんちきですぅ!」
「いやお前の負けっぷりもある意味凄いよ。お前俺がいなかったらもう二回真っ裸になってるぞ」
「うぅ……」
俺がふてくされるヤミを慰めていると、遠くの方からクリスが今にも泣きそうな形相をしてずんずんと近づいてきた。
な、なんだ。何があったんだ。すると隣で縮こまっている手下二人のうち一人、コロンボが耳打ちをしてきた。
「あ、アネゴ。勝つ気満々だったのに全部負けちまったんですよ……」
か、考えがあったんじゃなかったのかよ!
クリスは俺の持っているあふれんばかりのコインを見るとみるみるうちに涙を流し始め、
「おかしいわっ、不公平よ、いんちきだわーっ!」
そう高らかに叫んだ。
クリスはまともだと判断したが訂正しよう。
だめだこいつら全員ポンコツだ。




