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合法ロリータ


「なぁ、ヤミってさ、いつスキル鑑定ってやつやったんだ?」


 馬車の中で暇を持て余していた俺は会話で暇をつぶすことにした。


「私は十歳の時でした。なんだか急に心臓が痛くなって病院に運ばれたんです。そしたらスキルの発現だろうって言われて、専門のところでやって貰ったって感じですねぇ」

「心臓の方はなんともなかったのか?」

「はいっ。なんでもスキルが発現するときによく起こる症状らしいです」


 成長痛みたいなもんか。でもヤミの言い方からしてスキルってのは万人に扱えるものってわけでもなさそうだな。


「スキルってさ、いったいどれくらいの奴が扱えるんだ?」

「三十人に一人程度だと聞きましたっ。タイガー様のいた方ではあまりスキル持ちの人がいなかったんですか?」

「う、うん。まぁそんな感じ」


 まさかスキルなんていうものが存在しないとも言えないしな。


「そういえばタイガー様はおいくつなんですかっ?」

「俺は二七だよ」


 とはいえ歳か、実年齢は二七だけどこの世界でも同じなのかわからないんだよな。身体能力が上がってるから尚更な。


「じゃあタイガー様もそろそろ家庭を持っても良い時期ですねっ」


 何かを期待するような眼差しを俺に向けてくるヤミ。

 やめろその目。今の俺にはまだ重すぎる選択だぞ。


「そういえば、ヤミって何歳だ?」


 たぶんいってても十二歳くらいだと思うんだが。




「二十歳ですっ」




 俺の聞き間違えでなければ今二十歳だと言ったのだろうか? 二十歳といえば20歳のことで、アラビア数字にしてみたけどやっぱりなんかおかしいよな?


 身長はどう見積もっても145センチくらいしかないし、顔は幼いし、大きいとこといえば胸くらいなもんだ。


 だというのに今こいつは20歳だと言ったのか?


「どうしたんですかタイガー様。キルヒバードがショットギル食ったみたいなみたいな顔して」


 なんだその鳩が豆鉄砲を食ったみたいな言葉は。

 待て、落ち着け俺。今重要なのはそこじゃないだろ。


「あ、もしかして私が思ったより若くてびっくりしたんですかっ?」

「逆だよっ! 180度真逆の方向性の勘違いだよそれは!」


 なんつうことを言い出すんだこいつは。自分のことを鏡で見たことないのか?


「えっ、逆ってことは思ってたより老けてたって事ですか……」

「いや、ほぼ詐欺レベルだよお前の容姿は! なんでこれで成人してんだ。なんだこの犯罪感!」


 でも成人してるから犯罪でもねーんだよな。ますますわけわからん。


「タイガー様が何を言いたいのかよくわかりませんよぅ」

「俺もわからん」

「おいあんちゃんたち、もう着くぞ!」


 どれどれ、じゃあもうここは砂漠か。確かにさっきから結構暑かったからな。

 馬車の窓から外を見てみると、確かに周りは砂砂砂。なーんにもない。


 ただ向かう先には建物や緑の木がある。どうやらあれが街らしい。


「着いたみたいですねっ。ハサラ!」

「そうみたいだな。依頼人の名前は確か、シェパードさんだったか。見つかるかな」

「特に指定期間も言われませんでしたし、のんびり探しましょっ」


 楽しそうにそう言ってくるヤミ。けどこいつこれでも成人してんだよな……。

 まずい、今までと同じ目では見られなくなってしまった。

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