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ヤンデレ腹黒王子と私  作者: モゴ
王宮編
15/18

※戦闘シーンが入ります。流血表現はありませんが苦手な方はご注意下さい



翌日、案の定クレアは目を腫らした、気を利かせた侍女長が人と会わない仕事を選んでくれた


一連の騒動を何度も思い出し、頭を働かせて考えてみるが、ティムの言っていた意味、ヘイリーの最後の言葉、クレアは全くわからなかった。



騒動から既に二ヶ月過ぎ、季節は冬に入っていた



あれ以来、ヘイリーとはよく廊下ではすれ違い、視線を感じると、遠くから目が合ったりしたが、会話をするのは数える程だった。

ティムとは全く会わなかった。元から会えるような立場にいないクレアはあの人懐っこい笑顔を見れなくなった。そんな日常を送りながらも、淡々と作業をこなし、侍女長や侍女仲間達と絆を深めていった


見習いをとり、立派な侍女になる目標も出来たし、

クレアは毎日が楽しくなっていた


だから

クレアは気を抜いていたのかもしれない





「お疲れ様クレア!今日はもういいわ、寒いから風邪ひかないでね」

「侍女長!もう少しでキリがいいので、そこまでやったら終わりにします!」

「ふふ張り切ってるのね、今日の夕食は鶏肉が入ってるそうよ!先に食堂で待ってるわね!」

「お肉!!侍女長!残しておいて下さいよー!」

「ふふん、作業を頑張るのも大事よ、だけどしっかり食べて、体力をつけるのも大事な事なのよ」


人差し指を、上へ指しひょうきんに言った侍女長にクレアは笑顔になった。


目を腫らした日以来、侍女長はクレアを心配して、特に目をかけてくれている、それを申し訳なく思うも、早く一人前になってみんなと肩を並べたいと頑張るクレア


そんな日の夜

遅めの夕食を食堂で取った後、自室に戻り、入浴を済ませて寝支度を整えると、瞬く間に瞼は重くなり、ベッドに体を半分入れた、


その時


廊下からバタバタと足音が聞こえた

何かあったのかと首を傾げていると




ガッシャーン




窓ガラスが割れて床に粉々に散らばった

割ったであろう、人の拳よりも一回りは大きい石も床に転がった

クレアを一気に恐怖が襲い、自体を把握出来ないでいると、そこに黒い人影が割れた窓から入ろうとしていた


「なっなに!?だれ!?」


咄嗟にベッドから起き上がり、窓とは反対側、廊下に向かう扉側に体を降ろし、しゃがみ込んで顔少しだけ出して、黒い人影を追った

黒い人影とはベッドを挟んだ形となった。


黒い人影は、月光を背に窓から侵入し、パリパリと窓ガラスの破片を踏みながらゆっくりと近づいてきた


「近づかないで!!」


大きな声をだすが、黒い人影は立ち止まらず、目を下に移せば、人影は短剣を持っていた


私を亡きものにしようとしている


それだけは理解し、クレアは恐怖に脚が震えた




ダンッ




勢いよく廊下側の扉が開いた


「クレア!!」


声を聞いて誰が入ってきたか分かる、顔を見なくても


「ヘイリー様!!」


クレアは立ち上がりヘイリーに体を向け一歩脚を出した

ヘイリーはクレアを目に捉えて駆け出す

黒い人影は短剣を振りかぶり勢いよくクレアに向かった


全て同時に起きた


クレアは黒い人影が向かってくる音に気付き、人影に目を向けた、恐怖で動けなくなっていた

急に目の前に大好きなキラキラとした髪が揺れた

勢いよくヘイリーが抱きついてきた、体の態勢を崩しそうになり思わずクレアは控えめに抱き返した


「ヘイリー様?」


バタバタと室内に何人もの騎士が雪崩込み、黒い人影は瞬く間に拘束された。

捕まる人影を見たクレアは一安心し、ヘイリーに意識を向けた


「ヘイリー様もう大丈夫です。騎士様達が捕まえて下さいました」


「ヘイリー様?」


返事のないヘイリーを不思議に思い、少し体を離しヘイリーの顔を覗き込んだ


「間に合ってよかった、クー怪我はない?」

「はい、大丈夫です。でもヘイリー様、何故こんなにも早く駆けつけてく「クー...」 はい...どうしましたか?」

「気に病まなくていいから、クーに怪我がなくて...よかった...本当に」


ヘイリーの顔は青ざめていた

クレアは何を気に病むのか考え始めた、その時


「ヘイリー!!」


エヴァン公爵の声が聞こえ、ヘイリーに駆け寄った


「ほんとに...お前は心配ばかり掛けて!!」

「全部俺が自分で行動を起こした」


それだけだと声は段々と小さくなり、ヘイリーはクレアに体を預けた


「え?ヘイリー様!!」


クレアは倒れかかってきたヘイリーを何とか受け止めたが支えきれず、ヘイリーは床に崩れ落ちそうになった、顔が耳元に近づいた時に愛してると聞こえた気がした、遂に支えきれずヘイリーは崩れ落ちた。


すぐ様エヴァンが抱き抱えようと手を伸ばしたが、何かに気付き、ハッとした


「誰かー!!手を貸してくれ!!ヘイリーが!ヘイリーが刺されれた!」


その場にいた全員がヘイリーに意識を向けてすぐに行動を移した


「そんな.........何で」


ヘイリーの背中には先程、黒い人影が持っていた短剣が刺さったままになっていた

クレアの意識は遠のき、どっと涙が溢れた


すぐにヘイリーは運ばれ、医師が駆けつけていった


クレアは崩れ落ち、そのまま立てなくなっていた

人が刺されている場面も、人が死ぬかもしれない場面も、初めて目の辺りにし、クレアはただただ泣いた




三日後ヘイリーは目を覚ました

幸い、大事な部分には達しておらず、安静にしてキチンと食事をする事を言い渡された。

クレアは自分のせいで怪我をしたヘイリーを心配して、エヴァンと侍女長に相談し、しばらくの間は休みをとり、ヘイリーの世話をやいていた


看病をしている時間は穏やかだった。

クレアとヘイリーは色々な話をした、好きな食べ物や好きな歌、手紙には書かなかった些細な出来事まで


会えなかった日を埋めるように


ただ

刺された日の出来事は一切話をしなかった



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