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 顔、金、地位。惚れた女を落とすにはこの三種の神器と聞いたことがある。

しかし、あいにく俺はどれも持ち合わせてなどいない。付け加えるなら、銀座のホステスよろしく戯けてみせることもできない。

じゃあどうすればいい?魔法と銃弾が飛び合い、死と隣り合わせの環境でどう性的欲求を満たせばいい?

その答えに「危機的状況に陥ったヒロインを助ける」を選んだ世に溢れる創作物の主人公の顔面を、俺は殴り飛ばしたくなった。


「最悪だ……」


 剣と魔法の世界にももちろん昼夜はあり、辺りはすっかり暗くなっていた。

木に寄りかかって座ったのは我ながら馬鹿だと思う。何で自分の下腹部からドロドロと流れる血を見ることを俺は選んだのか。

しかし今更体勢を変えるのも無理な話で、しかたなく首だけ横に向けると、俺が何とか基地から連れ出してきた少女が転がっているのが見えた。


「やっぱり、可愛いな。お前」


 彼女は返事の代わりに、小さく寝息を立てる。

その黒のローブはあちこち破けており、ついでに服も破けて少しエロいことになっているが、幸いなことにその柔肌に傷は見られない。

それに比べ俺は満身創痍。まったく情けない。


「はは」


 生い茂る木々に阻まれ綺麗であろう星空は隠れてしまっている。ドジを踏んだ主人公はロマンチックに死ぬことも許されないようだ。元々そんなキャラじゃないが。

 代わりに今日一日の出来事を振り返ることで、俺は人生二十一年に幕を閉じることにした。

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