子供
「ぱぱー、だっこ」
小さな両手を広げてガキが俺にすがってくる。その姿が小さい頃の俺を思い出させて無性に腹が立った。
思いっきり腹を蹴って泣かせたいと思ったがそうすると、俺の両親の二の舞になるからそれだけはしたくない。
少し両親が俺を殴りたいと思った気持ちが分かってしまって、自分を恨めしく思う。
やっぱり俺にはアイツ等の血が流れているのだ。
「ねぇ、ぱぱー」
再びガキが喚いて俺は我に帰った。
今の俺は誘拐犯というアイツ等よりも最低な人間に成り下がっているのだが、ガキは俺になついてくる。
そりゃそうだ。俺が誘拐犯だって知らされぬまま、6年も俺がぱぱをやっているんだからガキにとっちゃ俺がぱぱだ。
「おう、だっこして欲しいのか?」
「うん!」
柔らかい肉の塊にしか思えないガキを抱き上げると、ガキはきゃっきゃと喜んだ。
俺はこの世で一番必要のない人間だけど、ガキには俺が俺が全てで一番だから俺がいなくちゃいけない。
唯一の俺の存在意義。
まさか、この俺が育児なんてすると思っていなかった。昔の仲間がこんな俺を見たら笑うんだろう。
全てに噛みついていた昔が懐かしい。まあ、俺は今も昔も変わらず犯罪者だがな。
だから、今の楽しい日々をなくさないで欲しい。誰にも邪魔されたくない平穏な日々。
「ぱぱは今日もお外行けないの?」
「ああ、外に出ると怖いのが襲ってくるからな。ぱぱは出れない」
「そうなんだぁ」
何も知らずに悲しそうな顔をするガキ。これで良いんだ。俺はこの幸せを守るためなら何でもする。
ガキの本当の両親に命を狙われながら生き延びてやる。
そんな何も知らないガキとの危険な日常。
コメディ要素は何処へ消えたのか、自分自身理解できない作品となりました。




