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日常  作者: 太郎
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小説

 

「私はバカだ!」


 私は携帯を壁にぶん投げると、布団に向かって腹の底から叫んだ。


「私はバカだ!私はバカだ!」


 認識しても尚自身を奮い立たせるために声を張る。その内、バカとは何かという疑問に当たって中途した。

 ああ、バカだ。私はバカだ。なんて酷い思い違いをしていたのだろうか。自分の小説に対する過去を思い出すだけで、頭が痛くなる。

 ああもう。何で、私は勘違いなんてしていたんだ、私は出来るなんて思い込んでいたんだ。と、悶々している中急に冷静になって携帯を拾った。


「はあ、良かった。普通に使える」


 思わず物に当たってしまうのが私の悪いところだ。

 しかしまあ、使えて良かった。私の人生の全てとなりつつある携帯がなくなったりなんかした日には錯乱して、物に当たるどころで済まないだろう……いやいや、これが私の悪いところだってば。

 根本の私の絶望の原因であるが、私を数秒で幸せに出来る魔法の携帯のロックを解除すると、見慣れたサイトが開かれた。


 皆様周知の、『小説家になろう』である。


 私は小説家になるつもりはサラサラない。自分の限界を知っているのもある。そもそも、小説とは正反対の職業専門学校に通っているのだから尚更だ。

 しかし、私は専門学校在学中にこのサイトに登録した。

 小説家になりたかったからか?いや、違う。と即答出来ないのが悲しいところだ。

 本業に力を入れながらも、裏では小説家なんてそんな小説みたいな夢物語を期待していた部分もある。

 私は一度も賞に出したことはないが、出したら良いとこ行けるんじゃないかという謎の自信さえ生まれてくる程だ。


「しかしそれも全てアレを見たことによって、私の頑固たる自信も風の前の塵の如く遥か彼方に飛ばされてしまったのである。なんちって」


 アレ、なんて私が簡単に呼べる物ではない。むしろ、崇め奉るべき物である。

 アレ、とは小説家になろうと他会社にて開催されている、とある大賞のことであった。

 いつもマイページを開く度に視界に入っていたそのリンクを押してみたことが、今回の私の絶望の始まりだった。

 その大賞に参加する作品を読もうの方で検索かけて、読んでみた。

 もう、なんて言えば良いの?凄い。素晴らしい。素敵?これが語彙力なんだ、これが文章力なんだ。っていうのが伝わった。

 それと同時にこれらの小説の素晴らしさを言葉にすることの出来ない自分の語彙力のなさを感じた。

 現実を知った。


「いや、私は小説家になる気はないし。小説家になれるなんて思ってないし。だから、語彙力なんて皆無で良いんだしー。と、布団に向かって叫んでみると本当にそれで良いの?と返ってきた。なんちって」


 本当にそれで良いの?なんて、良い訳ないでしょうが!

 この言葉はただの自分を慰めるためだけの言い訳で、本当はそんなこと思っていない。強がりだ。

 大体、代々の私の国語の先生が悪いんだ。いつもは字を丁寧に書け、とか私だけに注意するくせに、私が文章を書くと授業を潰す勢いで絶賛する。それも、私だけに。

 あれ、私って文才あるの?なんて、バカな私は勘違いしてしまうじゃないか!


「ああ、もう。死にたい」


 ぐでーんと液状化して布団と一体化して、布団星人になって、誰にも書けないような布団目線の小説を書いてやるんだ。

 へへん。真似出来ないだろ?無理だけど。


「つぅか!私、この数分間で何回同じ言葉使ったのよ!?『まあ』、『それ』とか私の作品全てから数えたら100いってるっつーの!その前に『作品』とか評している自分死ね!あんなん作品じゃねーっつーの!生ゴミにすらなれない有機物だっつーの!!」


 じったんばったん。埃がもわもわ。埃アレルギーの私、げほげほぜーはー。


「あー、落ち着かない。あー、死にたい。あー、死にたくない。あー、同人活動して死にたい。やっぱ、二次元いきたい」


 私は何をしたいんだか、自分でも分からない。

 でも分かる。こうやって私の気持ちを文章にすることで、日々のストレスが減少すること。つまり、私が生産したゴミは公前オナニーと評するにも値しない。エロくない。誰も楽しめない。私だけ喜ぶ。それも、一瞬だけ。一ヶ月後には何であんなもの書いてしまったんだと後悔して首を括りたくなる。それを分かってるからこそ今一気に投稿する私は、屑々。


 いつの間に私はこんなにも屑になってしまったのか、もう覚えてない。

 人前に汚物を晒して、一つのブックマークが付いて喜んで、嬉しくなって、でも人気作品を見ると私の作品のうん十倍、うん百倍のブックマークが付いていて、私はこんなもんかと知って、限界を知る。

 ブックマークを付けてくれた人すら疑って、私の喜び慌てる姿を楽しんでいるだけなのかと怖くなって、そんなはずない。申し訳ないと死にたくなる。だからこそ、私なんかのに付けてくれてありがとうと、その方の方向を探しながら三六〇度全てに土下座する。伝わるはずのない想いなのに。あー、死にたい。


 なんだ。

 私の基本的な帰路は死にたいなのか?気がつけば死にたいとか言って、死ぬ勇気も度胸もないくせに。死のうとなんて思ってないくせに。


「あー、もう、なんなんだ!!」


 バタバタ暴れれば、隣の部屋の兄貴に「いい加減うるせーぞ!!」と怒られた。

 へえへえ、すんません。こんなキモい妹ですんません。つーか、あんたがそもそも私をこっちの道に引きずり込んどいて、足を洗ったあんたはどういう身分で私に話しかけてるのよ。あ?



 そんな、小説に翻弄される私の日常。



一応、おしまい。また、溜まり次第(色んな意味で)あげたいです。ありがとうございました。

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