玩具
「何でお前は喋らないの」
キツい目をした継母が私を睨み付けながら言う。
何で? そんな分かりきったことを聞くなんて貴女は頭がどうかしているの?
全ては貴女が原因じゃない。それを分かっていて私を苛めるために発言しているの?
それとも何も覚えていないで純粋に義理ではあるが戸籍上は娘の私を心配しているの?……きっと、じゃなくて絶対後者は有り得ないわね。
「……」
私は継母を蔑むように見つめ返せば、継母は更に眉間のシワを深くさせた。
「何よ、その目」
「……」
「ちょっと位は話したらどうなのよ」
だから貴女のせいで声は出ないんだってば!!
声に出せない代わりに大きく心の中で叫んだ。こういう時は声を出せない自分を本当に恨む。
「はぁ……お前のせいで彼が苦労しているってのにね」
彼女の言う彼とは私のパパである。
確かに、パパは私が声が出ないことにショックして落ち込んではいるが声が出ない原因がいなくならないのだから仕方がない。
……ごめんね、パパ。大体こんな女と結婚したパパが悪いのよ。
「大体どこも悪くないのに声が出ないのよ」
本気でそう思っているとしたら、悪いのは貴女の頭ね。と言いたくなった。言いたかったけどやはり言えない。
私の声帯はちっとも壊れてはいないし、それを動かすものたちも至って正常だけど私は声が出ない。
つまりは、この原因は私を苛める継母から来るストレスだと思うの。以外、有り得ないし。
「お前なんて死ねば良いのに」
継母は表情も変えずに言った。
あ、今の台詞『パパに聞かせたい継母の言葉ランキング』に入ったな。私が話せるようになった時にはこれをベスト百から順に言っていくように決めている。
話せると良いな。話せるようになりたいな。
なら、あの継母が原因だから消してしまおうか。でも、そんな勇気がないのが私の悪いところなのよね。残念ながら。
だから私の日常は非日常にならない。努力が足りないのかしら。
ああ、神様いくらでも努力はしますから、私に非日常をお与えください。
そんな最低な継母との日常。




