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童話改造シリーズ

いばら・・・ひめ?

作者: 朔夜

またまたやっちゃいました。童話改造シリーズ第三弾です。

今回はだいぶ作者が暴走しました。・・・・今回も、かもしれませんが(笑)

姫がおしとやかなお姫様じゃないといやだ!って方には向いていないかもです。

なんだか自分が何をやりたいのかわからなくなってきた・・・・(-_-;)

会話文多めの上、なんだか駆け足に話が進みます。

勢いで書いちゃったので後日修正するかもです。


コツコツ

 石造りの廊下に靴音が響き渡る。男が一人歩いているのだ。

 男は意匠も生地も立派な服を着ていたが、なぜかその服のあちこちにどこかに引っ掛けたようなかぎざきがあった。

 誰もいない廊下を一人歩き続けていた男はひとつの部屋の前で足を止め、腐りかけた木の扉に手をかけた。そして、大きく深呼吸をし、扉を押し開けた。


 事の起こりは一週間前。スピーナ王国の王宮での会話から始まった。


「王子! 馬鹿な考えはお捨てなさい!」

「いいえ、母上。私はもう決めたのです。茨の城の眠り姫の呪いを解く、と。」

「ですが! 姫の容姿などはまったくわからないのでしょう?幼女という説や老婆という説が出回っているのは知らないわけではないでしょう?!」

「ですが、妙齢の美女という説もあります。むしろ、これが一番有力な説です。」

「なぜ、その姫にこだわるのです。他の国にもお前とつりあう姫はいくらでも…」

「だって。姫の呪いを解いてその後結婚だなんてかっこいいじゃないですか!」

拳を振り上げ力説する息子に王と王妃は思った。

あぁ、育て方を間違えた…と


 その後、王と王妃の了承を得られなかった王子は、書置きを一つ残して王宮から姿を消した。

『呪いを解きにいってきます。すんごい美人のお姫様と一緒に帰ってきて結婚するんだから!

                   茨錘シスイ・ソルドガル・ユール・スピーナ。』


 少々阿呆っぽさがうかがえる書置きを残して城を出奔した王子は茨で囲われた城に到着した。

 そして一生懸命茨を切り裂き、焼き払い、服のあちこちに傷をつくり(顔は死守)やっとの思いで城の中に入った王子は姫が眠っているという噂の部屋へたどり着いた。

「よし…ここに、ぼくの運命の相手が! 今行くよ、姫!」

 大きく深呼吸をして気合を入れた王子は扉を勢いよく押し開けた。


「うっま~! やっぱり肉は新鮮なうちに焼いたやつが一番うまいな!」

 部屋の中には、肉にかぶりついている女性がいた。

パタン

 王子は無言で扉を閉めた。

「……え? なに、いまの…………?」

 呆然とする王子の目の前で扉が開かれ、中から不機嫌そうな顔の女性が王子をにらんできた。

淑女レディの部屋をノックもなしに開けておいていきなり閉めるだなんて、ずいぶん礼儀知らずだな。」

「すみません。部屋を間違えたみたいです。」

「ああそう。じゃあとっとと消えてくれる?」

「はい。…えっと参考までにお聞きしたいのですが、呪いにかけられた姫の部屋っていうのは…?」

「ここだけど。」

「え?」

「この部屋。」

「…えっと、呪いにかけられた姫って言うのはどちらに……?」

「あー、そりゃあたしのことだな…ってどうした?おい、怪我でもしてんのか?」

あっけらかんと言う女性に王子は頭を抱えてうずくまった。

「どうしよぅ…父上と母上に姫と結婚するって言って飛び出てきたのに…」

「は? あたしの承諾もなしになに勝手なこと言ってんだ。」

「だって…呪いを解いてもらった姫は呪いを解いた王子と結婚するって昔っから決まって…」

「馬鹿だな、お前。

まあいいや。そんなことより早く呪いを解いてくれよ。こっちは百年間ずっと待ってたんだ。」

「…え? だって…起きてるじゃない。」

「は? もしかしてあんた、あたしにかけられてる呪いの内容知らないわけ?」

「えっと…ずっと眠り続ける呪いって聞いてたんだけど…?」

「はぁ? まぁ、あながち間違いってわけじゃないけど…つまり百年たってる間にどっかで言葉が抜け落ちちまったのか?」

「えっと…なに言ってるの?」

「何でこんなふにゃっとしたヤツが来るんだか。とにかく、立ち話もなんだし中入りな。」

「あ、おじゃまします。」

 重く息を吐き出した女性はあごで部屋の中を指し示す。

 戸惑いを顔に浮かべながら王子は部屋に入っていった。


 部屋の中には、ベット、机、椅子などの調度品のほかにサバイバルナイフ、何かの動物の骨、焚き火と焼いた肉などさまざまのものがあった。

 部屋を見渡した王子は動物の骨を見つけ、少し涙目になりながらなるべく何もなさそうな場所を見つけて座った。

 女性は、扉を閉めてから、王子の後に続いて床に胡坐をかいて座った。

「……………。」

「……………。」

 沈黙が続く。

「……えっと僕、茨錘シスイ・ソルドガ「あたしはアカツキだ。」ル…はい。」

重たい沈黙の末に名乗ろうとした王子は女性…アカツキの言葉にさえぎられた。

「そんな長ったらしい名前を覚える気はない。茨錘シスイだけで十分だろ?」

「あー…えっとまぁ……はい」

「……………。」

「……………。」

 再び沈黙が続く。

「あ、あの…姫はどういう「姫とか呼ぶな」呪い……」

 意を決して口を開いた王子の言葉をまたもやさえぎるアカツキ

「じゃ、じゃあ…なんて呼べば……?」

「何のために自己紹介したと思ってる?あたしの名前はアカツキ。姫とかって言う地位はずっと前の物。」

「あ、アカツキ…さんの呪いって、どんなものなんですか?」

「コマ切れに眠る呪い。」

「コマ切れ?」

「そ。たとえば、ここであたしが眠ったら起きるのは十年後とか二十年後。早いときは一週間ぐらいで起きたこともあるけど、大抵は何年か経ってるな。そうやって百年間起きたり眠ったりを繰り返してきた。

それで、今は珍しく起きてる時ってワケ。」

「ちなみにひ…じゃなかった、アカツキさんの年齢って?」

「女性に年齢聞くのはタブーだぞ? まぁ、起きてた時間は二十何年かってとこかな。あ、肉食べる?」

 アカツキは焚き火にかけていた肉をとり、王子のほうへふって見せた。

「あ、ください。お腹減ってたんです。……って、何で肉がこんなところにあるの?!」

「何でって…あたしだって呪いをかけられてるとは言え人間だよ? 食わなきゃ死ぬ。」

「いやだって! 茨が邪魔して村に買いに行くどころか森にだって行けないでしょ?」

「え、何? あんた、表から来たの?」

「お…もて?」

「表玄関から来たら茨だの盗賊だのいろんなヤツに邪魔されんだよな~。」

「え、…っと。もしかして……?」

「この城が手入れされなくなってからずいぶん経つだろ? だから城壁とか崩れてるとこがあるんだよね~。そこから出入りすれば茨にも盗賊にも出会うことなく森に狩りに行けるってワケ。」

「え? それじゃあ、その場所を見つければこんなに苦労せず…」

ここに来れたね。」

「そんな……」

 しばし打ちひしがれる王子。

「さ、呪いについて話したんだ!とっとと解除してもらおうじゃないの。」

 パンッとひざを打ち期待に満ちた目で王子を見つめるアカツキ

「え、ええ?!」

「なんだよ。そのために来たんだろ? さあ、早く!」

「だだだだだって…姫が起きてるとは思わなかったから……。」

「はぁ?」

「起きてる姫にキスとか! ムリ!」

「そりゃあたしの顔に文句つけてんのか?」

「ち、違う! だって……恥ずかしい!」

「…………じゃあ何のために来たんだよ。…相手が寝てたら恥ずかしくないわけ?」

 無言でうなずく王子。

「わかった。目、つぶってるから。」

 目を閉じるアカツキ

「ム、ムリです! 意識があるじゃないですか!」

「…じゃあ何か? あんたは意識のない相手に、承諾もなしに、無理やりキスをすることは出来るが、目をつぶって、待ち構えてるあたしには、キスは出来ないと?」

 アカツキは黒い笑みで、一言ずつ区切りながら王子に詰め寄っていく。

「知ってるか? オウジサマ。そういうの、民衆の間じゃゴーカンって言うんだぜ?」

「ご! ………。」

 王子は顔を真っ赤にして口をはくはくと動かす。

「っと、いじめすぎたか。おーい。茨錘シスイ? 何でもいいから、早く呪い解いてくれ。」

 王子の顔の前で手を振り、意識をひきつける。

 王子は半ば放心しながらギクシャクとした動きでアカツキに近づき、キスをした。

 そして一秒後。顔を真っ赤にしてアカツキを突き飛ばし、元いた場所へ戻る。


「……終わりか?」

 真っ赤な顔のままうなずく王子。

「ふーん…。ほんとに解けたのか? なんか実感がないな…。もう一回やっとく?」

 ぶんぶんとものすごい勢いで頭を横に振る王子。

「あっそ。ま、呪いを解いてくれてありがと。財宝欲しいなら宝物庫にあるから勝手に持ってって。それじゃ。」

 そういって立ち上がりどこかへ行こうとするアカツキを王子は必死に引き止めた。

「ちょ、ちょっと待ってください!」

「ん?」

「何でどっか行こうとしてるんですか?!」

「何でって、もう呪いも解けたんだし街にでも行こうかと。」

「あ、なんだ…。それじゃあ、王宮へはいつ向かいましょうか?」

 ほっとしたように顔を緩ませながら問う王子。

「……おい。」

「はい?」

「何であたしが王宮へ行くことを前提に話を進めようとしてんだ?」

「だって僕たち結婚するんですから王宮へ行かないと。」

「あたしはその結婚に承諾した覚えはない。」

「だ、だって…昔っから「それはさっき聞いた。」王子と……」

「だいたい、キスをするだけで真っ赤になってるあんたに嫁とか、それこそ百年早い。」

「だって…父上たちに呪いを解いた姫と結婚するって言ってきちゃったし……。」

「んじゃ、その父上サマに呪いは解いたけど求婚は断られたって言いな。」

「そうですね! そうします。」

「それじゃ、とっととお帰りになってくださいな。」

 お帰りはあちらから~というように手で扉を指し示すアカツキ

「あ、でも。父上たちが信じてくれないかもしれないので、呪い解いてもらった証拠としてとりあえず王宮に一緒に来てください。」

「知るか! どうしてあたしがてめぇの都合に振り回さなけりゃなんない? 寝言は寝てから言え。」

「それくらいいいじゃないですか。僕、あなたの呪いを解いたんですよ? 少しぐらいお礼してくれたって…」

「だから、財宝持ってけっつったろうが!」

 思わず立ち上がり、怒鳴りつけるアカツキにびくりと体を震わせた王子は部屋の隅でいじけ始めた。

「だって……………帰り道がわかんないんですもん。」

「は? 来るときに通った道はどうした。」

「城の魔法使いに転移の魔法で送ってもらったからわかりません。」

「……ああそう。」

 呆れたように、冷たいまなざしを送るアカツキは少し考えた末、ため息をついていった。

「わかったよ。王宮の前までなら連れて行ってやる。泣き言とか、言うなよ。」

「ありがとうございます!」



 二日後。

 茨で囲われた城から少し距離のある貧民街スラムに二人の旅人の姿があった。

「なんなんだ、ここは。臭いし、汚いし、その上住んでいる人間ががりがりにやせ細ってるじゃないか」

「そりゃそうだ。貧民街スラムだし。」

 顔をしかめる王子と違い、アカツキは慣れているようだ。

アカツキはここに来たことがあるの?」

「まあ、一日半ぐらい歩けばつくしな。時々狩った獲物の毛皮を持って来てた。」

「……そう。それにしても、こんなひどい場所があったなんて。呪いの影響かな?」

「…あのなぁ。何でもかんでも呪いのせいにするな。こんなところ国中にあるだろうよ。

いいか? コレが、この国の姿だ。飢えて苦しむやつもいれば民から搾り取った金でたらふく食って贅沢してるやつもいる。だいたい、あんたの国だろ? ちょっとはオベンキョーしとけよ、オウジサマ。」

「…………もっと教えて欲しい。」

「は?」

「僕は恥ずかしいです。自分の国のことを全然知らなかったなんて…。」

「だからって何であたしに聞くんだ。御付きの人とかいんだろーが。」

「だって…」

「初めて会ったときから思ってたんだけどな、いい年した大人が『だって』とか言うな。つーか、なよっとすんな! あんた仮にも王子だろ? シャキッとしろ、シャキッと!」

 そういってアカツキ茨錘シスイの背中を強くたたいた。

「ほら、行くぞ。ここに泊まるのは危険すぎる。森で野宿だ。」



 ぱちぱちと焚き火がはぜる中、腹ごしらえを終えた二人は城から持ってきた毛皮にくるまり暖をとっていた。薪を追加し、眠そうに目をこすっている茨錘シスイアカツキは早く眠るようすすめる。

「明日も早いんだ。なれない歩きで疲れたろ? とっとと寝な。」

「…アカツキは?」

「あたしはもう少し起きてる。」

「だめだよ。アカツキだって疲れたでしょ?」

「別に疲れてない。」

「昨日だってそう言ってろくに寝てないじゃないか!」

「……知ってたのか。」

「うん。気配でわかった。」

静かに唇を噛み締めてうつむくアカツキ

「眠るのが…怖いんだ。また、起きたときには何年もたっていて知り合いはみんな死んでて…あんな思いをするのはもう二度とごめんだ。」

「でも、僕がキスをしたから呪いは…」

「もう呪いは解けたって言われても、信じられないんだ。キスをするのが呪いの解除方法って保証もないし。」

「で、でも! 昔からお姫様の呪いは王子様のキスでとけるって相場が決まって」

「あたしの呪いがイレギュラーだったら?! ……悪い。八つ当たりだな、こんなの。寝よーぜ。明日は王宮まであんたを送っていかなきゃならないんだ。体力使うだろうし。」

 そういって横になろうとしたアカツキ茨錘シスイは抱きしめた。

「ぅおっ?! いきなりなにすんだよ!」

「ぼくが……僕がそばにいます。あなたが眠ってしまったら絶対に起こします。大丈夫です。ぼくは王子ですから。呪われたお姫様を救えるのは王子って決まってるんです。だから、安心して寝てください。」

「世間知らずのオウジサマがえらそうにほざいてんじゃねぇ!」

「いたっ!」

 容赦なくみぞおちに拳を叩き込んだアカツキはそっぽを向き、小さな声でつぶやいた。

「けどまぁ、感謝しとくよ。ありがと。万が一、眠っちまってたらよろしく頼むわ」

「なんか言った?」

「何でもねぇ!寝るぞ!」



 次の日。すっきりと目覚めたアカツキの目の下からは何日かぶりにくまが消えていた。

 出立の準備をしているアカツキ茨錘シスイが話しかける。

「おはよう~。」

「ん。おはよう。そこの毛皮を丸めてくれ。」

「わかった~。あ、そうだ。昨晩言ってたことだけど、王宮に腕のいい魔法使いがいるから彼に聞けば呪いが解けたかどうかわかるかも…?」

「は? ……だったら最初っからその魔法使いを連れてこいよ! 何で一人で来たんだよ?!」

「だって…。父上たちが反対したから……」

「ガキか! ったく、王宮の手前においてこうかと思ってたのに。これじゃあ王宮まで行くしかないじゃないか。」

「ひどいよ! 僕のこと置いてくつもりだったの?」

「あたしは、道案内のために一緒にいるんだ。王宮の前まで行けばいくらなんでも帰れるだろ。

仕方がない。王宮まで行ったらすぐにその魔法使いを紹介しろよ?」

「うん、わかった。でも、その前に父上たちに会ってね。」

「ハイハイ。」


 同じ日の昼のこと。少々薄汚れた二人の旅人が王宮へ入っていった。

「とりあえず、父上たちに報告してくるのでアカツキは先に魔法使いに会っててください。」

「わかった。」

「客間にいてもらえれば魔法使いを向かわせます。」

「わかったから早く行ってこい。」

 名残惜しそうに傍を離れようとしない茨錘シスイに痺れを切らしたアカツキは背中を強く突いて部屋から追い出した。

「ったく。なんだってアイツは・・・。」

小さくつぶやくアカツキの口元はわずかに緩んでいた。



 そして迎えた王との謁見の日。アカツキはドレスを貸そうか?という茨錘シスイの申し出を断り、自分で持ってきたドレスに着替えて謁見の間へ向かった。


「お初にお目にかかります。茨の城にて呪いにかけられておりました、アカツキと申します。

本日は茨錘シスイさんに呪いを解いていただいたお礼を申し上げに参りました。」

「おお、君が茨錘シスイの言っていた姫か。」

「よかったですわ。巷では、幼女や老婆などという噂が出回ってましたのでどんな方か、心配してましたの。とても美しい方で安心いたしました。」

「ああ。君になら息子を任せられる!

私たちが甘やかしたのがいけなかったのか少々…アレな感じに育ってしまって。

だが、君は息子の意識を改革してくれた! 旅から戻ってきて息子は真面目に国のことを勉強し始めたのだ。頼む! 君しかいない!」

「は?ちょっと待」

「大丈夫ですわ! しばらく狩りをして暮らしていたとはいってももともとは王族なのです! しばらくお勉強をすればきれいな所作を身につけられますわ!」

「いったい何を…言っているのですか?」

「さあさあ、まずは着替えをなさいましょう?」

「おーい、話、聞いて?」

「結婚式が楽しみですわ。」

「結婚式?!」



 強引な王と王妃により王宮にとどまることになったアカツキが王宮暮らしに耐えていられたのは三日だけだった。窮屈な暮らしにうんざりしたアカツキは王宮を出ようとしていた。

「やってられっか! こんっな窮屈な暮らしはうんざりだ。あたしは元の城に戻る!」

「ちょっと待ってよアカツキ!」

「ハッ! なんといわれようとあたしは帰る! のろいが完全に解けてるってこともわかったしな!」

「何で? あんな汚くてぼろい城よりも王宮ここのほうがよっぽど暮らしやすいじゃないか!」

「あんたにとっては汚なくてボロい城かも知れねぇけどな、あたしにとってはこの百年ずっと暮らしてきた場所なんだ。まあ、起きてた記憶は二十年ぐらいしかないけどさ。それでもずっと昔、父上と母上と一緒に暮らしてた場所なんだよ。」

 静かに言葉を紡ぐアカツキにじっと瞳を見据えられ、動揺する茨錘シスイ

「で、でも! 僕はあなたと一緒に生きたいんだ!」

「なら、あんたが城を捨てな。あたしはもう王家とは縁を切ったんだ。この城で暮らす気もない。

呪いも解いてもらったことだし、せいぜい庶民として生きさせてもらうよ。もし、あたしと一緒に生きる気があるんならあんたも王家と縁を切りな。無理だろーけど。」

「……………。」

「じゃーな。あんたはどうしようもねぇ甘チャンだったけど、一緒にいるのは楽しかったよ。」

 無言のままうつむく茨錘シスイに、アカツキは暖かい視線を送りながらぽんぽんと頭をなでる。そして、後ろ手に手を振りながら、王宮を出て行った。

 茨錘シスイはその背中をただじっと見つめているだけだった。



いくばくかの年月が流れた。



コツコツ

 石造りの廊下に靴音が響き渡る。男が一人歩いているのだ。

 男は簡素ではあるが、新品のようになめらかで丈夫そうな衣服を身にまとっていた。

 誰もいない廊下を一人歩き続けていた男はひとつの部屋の前で足を止め、腐りかけた木の扉に手をかけた。そして、深呼吸をする。息を整え、男は扉を押し開けた。


「やっぱり僕は、君と一緒に生きたいみたいだ。」

う~ん。

今回はギャグ重視じゃない・・・・はず?

ちょっと呪いの説明がわかりにくかったかも?

ちなみに、姫のあの口調は一人で生きていく時に街の人々と交流する際に身に着けたものです。

お姫様口調だと町の人々は警戒しますからね~。

一応、盗賊とも出会うはずだったんですけど長すぎかなぁ~と思って削りました。


今回の話は前に書いた白雪ちゃんたちよりはマイナーかな?

まあ、アレですね『眠れ○森の美女』とか、『眠り○』とかの名前でも親しまれてる童話ですね~。

なんつーか・・・・あんまり面影残ってないですね。

姫とか王子とか・・・・うん。結末も違いますしね。

まあ、改造シリーズの醍醐味っつーことでその辺は飲み込んでもらえたらうれしいな~なんて・・。

次回の童話はまだ決まってません。

もし、『この童話の改造話が読みたい!』とリクエストしてくだされば、ネタが降りてきたら書きます。

100%書くとは限らない上にどんな改造になるのか作者も保証できません(--〆)

それでもいいぜって言う方がいらっしゃいましたら感想やらメッセージやらに書いていただければと思います。


今回の名づけは

茨錘シスイ→城の周りに生えた茨と本家のいば○姫が眠ってしまった紡錘げんいんから。

アカツキ→本家の姫が産んだ子どもの名前から。

名づけって難しいですね~。


ではでは恒例の決まり文句で終わろうと思います。


元のお話はこの話とは似ても似つかないお話です。い○ら姫ちゃんを誤解しないでください。

そして朔夜は童話・御伽噺の類が大好きです。よってこの改造に悪意はありません。

改造が改悪になっていないことを切実に祈っています。

読んでくださってありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 童話改造シリーズ、いつも楽しく読ませてもらっています! 強気な暁と甘ちゃん王子の組み合わせ…実にいいですね。ウフフ…(笑) オリジナルなのに原作を汚さずにここまでおもしろく書くことができるの…
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