4絶対安静って何でしょう。
「・・・う、動けん・・・。」
(無理矢理つかされた)眠りから覚めたあたしは、何故かさっきよりもベッドへの拘束がきつくなっている事実に、愕然とした。
え?やっぱり助けてもらったって思ったんは勘違い?これイジメ?イジメなん?
と、ぶつぶつ言っていると、
「動くと痛いだろう。だから、さっきよりも完璧にしておいた。」
絶対安静だ。
そう言ってのけた青年に、
「・・・っやから!安静の仕方間違ってんねやってー!!!」
と、叫んでしまったのは仕方が無いと思う。
その後も、いや、しかし、と渋る青年に、それはもう必死にお願いして、最終的には「ストレスで死ぬわ!!」とブチギレ、あたしは自由を手に入れた。・・・まあ、どっちみち痛みで体は動かんのやけどな。
青年が出て行って、ふと、あたしは重大な事に気付く。
身体中に巻かれた包帯。ちょっと(いや、かなり?)間違ってる気はするけど、あたしを気遣ってくれて、看病してくれて。・・・めっちゃええ人やん!やのに、やのに、
「・・・あたし、まだお礼言うてへん・・・。」
それどころか、キレるわ叫ぶわ暴れるわ。え?あれ?あたし、めっちゃアカン奴ちゃうん?
「うあー・・・まじか。」
よし、とりあえずお礼言わな!ほんで、謝って、名前聞いて、ここどこか聞いてーー
「・・・あれ?あたしなーんか忘れてるよーな・・・。」
あたしが思考にふけっていると、青年が良い匂いをさせて帰ってきた。
銀色の髪、紫色の瞳、どこの貴族だよって言う服装。あー、あれや。友達が好きやった中世ヨーロッパ調のアニメのキャラクターに似てるわー。あはは・・・
「・・・あ、あれぇー?」
そーいや、倒れる前に月2つ見た気がする。ここもしかして異世界ー?とか思った気がする。えーっと、えーっと・・・
「ご飯、食べるか?」
「はい!」
うん、考えるのは、後にしよう。
腹が減っては戦さは出来ぬって言うからな。昔の人、ええこと言うわあ〜。
・・・困った。
目の前には美味しそうなおかゆ(っぽいもの。)
痛みで動かない、腕。
・・・どうやって食べよう?
「・・・食べないのか?」
ベッドの横に座る青年が、不思議そうに呟く。
いや、食べたいねんで?めっちゃ食べたねんで?でもなー、どうしたもんか・・・あ。
「すいません、食べさしてもらっても、いいですか・・・?」
腕、動かんくて。そう付け足し、青年を見る。
なんか、びっくりしてる・・・?
やっぱり厚かましかったやろか。そう考え、やっぱりいいですと、伝えようとしたその時。
恐る恐るといった感じで、おかゆがのったスプーンが差し出された。
ぱくり。
・・・なにこれ。めっちゃ美味しい!
もっと欲しくて、口を開ける。
またびっくりした顔をした青年だったが、構っている暇はない。もっとちょーだいっ!
そして暫く、食べる、口をあける、食べる、口をあけるを繰り返し、おかゆを平らげた。
・・・なんか、雛鳥が巣でエサをねだる時の気持ちが分かった気がする。
そして、お腹がいっぱいになったあたしは、またしても強制的に眠りにつかされたのだった。
・・・ちょ、自分で寝れるから!