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白銀皇女の覇道譚 ~侵略国家の皇女は覇道を歩む~  作者: YUU
第二章 学園編

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34 記念舞踏会②

 アルメリア達が寮を出てから、少し時間が経過した後の事。彼女たちは学園の一角に建てられている舞踏会場に到着していた。


「姫様、行ってらっしゃいませ」


 リリアはそう言いながら会場内へと入っていくアルメリア達を見送りながら頭を下げる。彼女は侍女である為、会場の中に入る事が出来ない。その為、彼女は会場の入り口前で待機となっていた。

 そして、アルメリア達が会場内へと入ると、既にそこは大勢の学生たちで賑わっていた。

 事前の説明にもあった通り、今回の舞踏会には新入生だけでなく、全学年の生徒が参加しているようで上級生と思わしき人物の姿も時折見受けられた。

 そして、ふと隣にいる二人を見ると何処か緊張した様子を見せていた。


「二人共どうしたのかしら?」

「僕たち、実はこのような舞踏会に参加するのは初めてで……」

「やっぱり、緊張してしまって……」

「あら、そうなのですわね」


 そこまで言うと、ふとアルメリアもある事に気が付いた。


(よく考えたら、わたくしもこういった舞踏会に参加するのは初めてですわね)


 アルメリアは今迄離宮で隔離されるように過ぎしてきた為、今までこういった社交の場に出た事は無かった。また、国外妃の生まれという事もあり、お披露目会の様なものも開かれていなかった。

 だが、礼儀作法等に関しては幼い頃より皇族専属の教育係に指導されてきた事もあり、こういった場に相応しい振る舞いに関しては完璧ともいえるだろう。

 そう言った事もあり、アルメリアは二人とは違い不思議と緊張はしていなかった。


「さて、まだダンスも始まっていないようですし、とりあえずは……」


 すると、その時だった。


「あらぁ、そこにいるのは平民のアルメリアさんではなくて?」


 その声が聞こえてきた方を向くと、そこには見覚えのある金色の髪をした令嬢の姿があった。

 彼女の姿を見たアルメリアは思わずため息をつく。


(はぁ、面倒な人が来ましたわね)


 そこにいたのはアルメリアと因縁のある令嬢、クラリッサだった。

 公爵家のご令嬢にして第四皇子の婚約者という高貴な身分を象徴するかのように彼女の装いは周りの参加者と比べても一際豪奢な装いだった。

 また、彼女の取り巻きたちも全員が高位貴族令嬢というだけあって、それぞれが彼女ほどではないが豪華な装いをしている。


「お久しぶりですわね、クラリッサさん」

「アルメリアさん、お久しぶりですわ。それにしても……」


 そして、クラリッサはアルメリアのドレスを見るとクスクスと笑みを浮かべた。


「ふふっ、流石は平民。あなたのドレス、地味で見窄らしいですわね」


 クラリッサのその言葉に彼女の取り巻き達も揃ってクスクスと笑みを浮かべる。

 その一方でアルメリアからクラリッサの事を聞いていたアークスとアミィは彼女をアルメリアの敵と判断。

 アルメリアを守ろうと前に出ようとするが当のアルメリアはそれを手で制止する。流石に今の二人に彼女の相手をさせるわけにはいかないだろう。

 そして、アルメリアは改めてクラリッサへと向き直った。


「クラリッサさん、あなたは先程わたくしのドレスを見窄らしいと仰いましたわね」

「ええ、それがどうしましたの?」


 だが、アルメリアはクラリッサのその言葉にクスクスと笑みを浮かべた。


「ふふっ、まさかあなたの目がこれほどまでに節穴だとは思いませんでしたわ」

「……わたくしの目が節穴ですって……」


 まるで、挑発する様な彼女の言葉にクラリッサの表情には怒りの色が混じっていく。


「ええ、だってフォトナー公爵家のご令嬢であるクラリッサさんがまさかわたくしのドレスの事も見抜けないなんて思いもしませんでしたもの」


 アルメリアのその言葉にクラリッサは彼女のドレスに視線を向けた。

 すると、何か思い当たる節があったのか、彼女はその表情を強張らせる。


「そのドレスの生地、まさか……」

「あなたの推測通りですわ。このドレスの生地は絹の名産地であるハインス領の最高級品であるハインスシルクですわ」


 アルメリアの言葉にクラリッサとその取り巻き達は揃って動揺する。特にクラリッサの動揺は取り巻き以上だ。


 彼女も今回の舞踏会に合わせてハインスシルクを手に入れようとしたが、ハインスシルクは生産数が極めて少ない貴重品である。その為、大貴族令嬢である彼女であってもも手に入れる事が出来なかった。

 だからこそ、彼女は何故アルメリアがそんな貴重品を手に入れる事が出来たかの疑問が浮かぶ。


「どうしてあなたがそのハインスシルクを手に入れる事が出来ましたの!?」

「あら、わたくしの家はあなたも知っての通り皇家御用達商会であるオルティア商会ですわ。

 ですので、これを手に入れるのも難しい事ではありませんでしたわ」


 実際にはアルメリアの皇族としての地位をフル活用して手に入れた物だが、クラリッサがそれを知る由は無い。

 だが、アルメリアが皇族だとは知らないクラリッサは公爵令嬢である自分が手に入れる事が出来なかった物を平民であるアルメリアが手に入れていると知り、酷くプライドを傷つけられた。


「あなたは先程わたくしのドレスが見窄らしいと仰いましたわね」

「……それがどうかしましたの?」

「わたくしからすれば、あなたの方が見窄らしく映っておりますわよ」

「……っ、このっ……!!」


 アルメリアの更なる挑発の言葉にクラリッサはその表情に怒りを滲ませる。また、彼女の取り巻き達はこの展開についていけずオロオロとするばかりだ。

 

「っ、わたくしはこれにて失礼いたしますわ!!」


 そして、クラリッサはそんな捨て台詞を吐いて、取り巻きたちと共に去っていった。


「はぁ、相変わらず面倒な方ですわね……」


 面倒事が去った後、アルメリアの呆れが混ざったそんな呟きが口から零れた。すると、その直後の事だった。


「これより、記念舞踏会を開始いたします。皆様、思い思いの方とのダンスをお楽しみください」


 司会役のその言葉を皮切りに会場全体に響き渡る様に曲が流れ始めた。

 また、舞踏会の参加者たちは次々とパートナーの手を取り、会場の中央まで向かうと曲に合わせて踊り始める。

 そんな参加者たちの様子を見ていたアルメリアは何かを思いついた様子で優し気な笑みを浮かべながら、二人の方へと向き直った。


「二人とも、わたくしと踊ってみませんこと?」

「僕たちと、ですか?」

「それはとても光栄なお話ですが、私たちが相手でよろしいのですか?」

「ええ、折角の舞踏会ですもの。さぁ、行きますわよ」


 そして、アルメリアは会場の中央へと向かう。


「さて、始めましょうか」

「よ、よろしくおねがいいたします」


 まずはアークスからだ。

 曲が始まると、アルメリアはアークスの手を取りそのまま踊り始めた。

 皇族専属の教育係に幼い頃より指導されてきた事もあり、アルメリアのダンスの技量は相当なものだ。

 一方のアークスはアルメリアに比べると劣っていると言わざるを得なかった。一応、最低限の技量はあるようで、時折拙い場面もあるが、その際にはアルメリアがフォローしながら、曲が終わるまで踊り続ける事が出来た。

 そして、曲が終わり、アークスがアルメリアの下から離れた後、彼女は視線をアミィへと向けた。


「さ、今度はあなたの番よ、アミィ」

「はい」


 そして、アークスと入れ替わるように今度はアミィがアルメリアの前に出てくる。


「では、アルメリア様、次のお相手よろしくお願いいたします」

「ええ」


 そして、今度はアミィと踊り始めた。アミィのダンスの技量はアークスよりも若干上手だろうか。

 先程のアークスとのダンスであったような拙さは彼女にはあまり見られなかった。


「アルメリア様、お上手でした」

「流石はアルメリア様です」

「ふふっ、二人も悪くなかったですわよ」


 そして、二人とのダンスを終えたアルメリア達は次に踊る者達の邪魔にならない様に会場の端の方へと移動するのだった。

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