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白銀皇女の覇道譚 ~侵略国家の皇女は覇道を歩む~  作者: YUU
第二章 学園編

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28 計画頓挫の後で

 オブライトが執務室から去って少しの時間が経過した後、ガイウスの執務室に一人の来客が現れた。


「よく来たな」

「陛下のお呼びとあらば、いつでも」


 来客者の名はエリアスといった。その肩書はオルティア商会の商会長だ。つまり、アルメリアの実家という事になっている商会の長である。

 また、オルティア商会は皇家御用達の商会である為、彼はこうして皇帝であるガイウスと直接面会する事を許されていた。

 そして、アルメリアがオルティア商会の一人娘という立場になっているのも、その縁からであった。


「此度は娘が迷惑を掛けたな」


 そう言ってガイウスは一通の手紙を取り出した。それは、アルメリアから届けられた封書だった。

 そこにはアルメリアがクラリッサとのお茶会で起きた騒動を含めた一連の出来事とそれについての相談事が書かれていた。


「皇女殿下は随分とお転婆なご様子で……」


 エリアスはそう言いながら、額に流れた汗を拭う。大商会であるオルティア商会であっても流石に今回の騒動については商会が傾きかねないほどの大きな出来事だった。

 しかも、危うく流通網を封鎖されそうになっていたと知らされた時は本当に心臓が止まるかと思った程だ。


 最初、彼がガイウスからアルメリアの身分偽装の話を持ち掛けられた時、その内容に驚きながら同時に嫌な予感を覚えた。

 しかし、皇家御用達の商会である以上、皇帝であるガイウスからの要請には逆らえない。それに、皇女といえども、皇族の一人と小さくはない縁が出来るのはやはりメリットが大きい。

 その為、彼はこの話を受け入れたのだ。また、アルメリアの素行や礼儀作法についても問題ないというお墨付きを皇帝直々にもらっており、学園内で大きな問題を起こさないだろうという目算もあった。


 だというのに、入学早々アルメリアは面倒な事に巻き込まれていた。

 最初、この話を聞いた時、そのあまりの出来事の大きさに気絶してしまった程だ。幾ら、皇家御用達の大商会であっても、大貴族であるフォトナー公爵家に目を付けられたとなれば大損害は免れない。

 だが、皇女であるアルメリアに学園での行動を控える様にいう訳にもいかない。どうするかと今後の対応を考えていた時、ガイウスからの使者が来訪して今回の件の謝罪と後始末を皇帝直々に行うと聞き、彼は思わず安堵していた。


「今回の発端は我が娘の行い、故に余がそれに始末をつけるのは当然の事だ」

「ははっ、そう言っていただけると幸いにございます」


 ガイウスのその言葉にエリアスは恭しく頭を下げた。


「うむ。では、今後も娘の事を頼むぞ」

「はっ」


 そして、二人はアルメリアの今後についての話をするのだった。




 オブライトとガイウスとの面会から暫くの時間が流れた後、フォトナー公爵家の屋敷にある執務室に一人の少女が駆け込んできた。


「お父様、一体どうなっていますの!?」


 そう叫びながらオブライトに詰め寄るのは彼の娘であるクラリッサだった。


「あの女がわたくしに謝罪に来る気配が全くありませんわ。あの計画はいつ実行して下しますの!?」


 既にオルティア商会には今回の報復措置についての連絡が行っている筈だ。

 そうなれば、アルメリアは自分の行いがどれ程に愚かだったかを理解するだろう。そして、あのお茶会での無礼についての謝罪を自分にしに来るはずだ、そう思っていた。しかし、どれだけ待とうとも学園でアルメリアが謝罪に来る気配は一向になかった。

 だからこそ、彼女は計画の進捗について自らの父に聞きに来たのだ。しかし、クラリッサの言葉を聞いたオブライトは思わず忌々し気な表情を浮かべた。


「……その件でお前に話しておかなければならない事がある。あの計画だが中止する事になった」


 父のその言葉を聞いたクラリッサはその内容に思わず動揺するが、それも一瞬の事。その直後、彼女はオブライトに詰め寄った。


「あの計画はお父様も乗り気だったでしょう!! だというのに、中止するだなんて納得できませんわ!! どういう事か説明してくださいませ!!」

「私も納得していない!! だが、皇帝陛下からの直々のご命令なのだ!! かの商会には手を出すな、とな!!」

「なっ、陛下が!? 一体どういう事ですの!?」


 クラリッサは意味が分からなかった。何故、この話に皇帝が出てくるのか。

 その一方でオブライトはこの件について他言無用と厳命されていたのに思わず口を滑らせてしまった事を後悔した。


「……これ以上、お前に話せる事は何もない。そのお茶会とやらの出来事はもう忘れろ。そして、お前もそのアルメリアという女にはこれ以上関わるな。分かったら、部屋に戻れ」

「……分かり、ましたわ。失礼いたしますわ……」


 父から強い拒絶と感じた彼女は父に失望を感じながら執務室から出ていく。


 そして、クラリッサは屋敷の廊下で怒りの形相を浮かべながら、アルメリアへの恨みを募らせていた。


「アルメリア、あの女は絶対に許しませんわ……」


 クラリッサは怒りのあまり、お気に入りの扇をグシャリと握り潰す。お気に入りの扇が壊れたというのに、その事に気が付かない程に彼女の内心は怒りに支配されていた。

 父であるオブライトはこれ以上、アルメリアに関わるなと言った。だが、あれ程の侮辱をされて見過ごすのは彼女のプライドが許さなかった。


「必ず、必ずあの女をわたくしに平伏させてみせますわ……」


 そして、彼女は内心でアルメリアへの怒りを募らせていくのだった。

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