ウインドカッター
すごい。
流石は凛。
風魔法が得意というだけあって巨大なトロールに何もさせずに完封してしまった。
今度は俺の番だ。
俺も中級魔法でいかなくても大丈夫なのかという一抹の不安はあるけど、先輩である凛が初級で大丈夫と言ってるんだから大丈夫なんだろう。
俺はトロールを倒す事だけに集中だ。
凛は風魔法で倒していたし、俺も同じく風魔法を使うのが正解だろう。
「その羽は刃。数多の敵を切り裂く。我が前に立ち塞がる敵を斬れ。『ウィンドカッター』」
同じ風魔法の『ウィンドスピア』は何度か使っているけど、切断系の方がいいのかと思い初めての『ウィンドカッター』を発動してみる。
威力がイマイチわからないので、少し多めに魔力を込める。
風魔法は基本目には見えない。
「ゴウッ」という大きめの風切り音がしてトロールがビクンと身体を硬直させた様に見えた直後、トロールの上半身が胴の部分からゆっくりとズレて落ちた。
どうやら上手くいったみたいだ。
「湊隊長、みましたか⁉︎ 『ウィンドカッター』ですよ⁉︎ トロール1発っすよ⁉︎ いや、修太朗さんならあるとは思いましたけど、え〜〜〜」
「大仁田君落ち着いてください。大丈夫です、修太朗さんですから」
見た目は巨大でちょっとビビってしまったけど、よくよく考えるとここはまだ4階層だしそこまで強いモンスターが出る階層でもなさそうだ。
見た目ほどの強さは備えていないということだろう。
「りんたろ〜」
「凛、教えてもらった通り、初級魔法でいけたよ」
「さすがりんたろ〜」
「いや、いや、流石なのは凛のほうだ。中級魔法初めてみたけど凄かった」
「ありがと〜。でも連発したら魔力切れ起こしちゃうから使い勝手は初級の方がいいの〜」
「そうなんだ」
「まあ、りんたろ〜は大丈夫そうだけど」
「そうかな」
確かに俺のステータスの数値って人の何倍もあるみたいだから、大丈夫なのかもしれない。
今のところ使う機会はなさそうだけど。
“やべえ、トロール瞬殺”
“初級の『ウィンドカッター』1発”
“もう何年も配信見てるけど初級1発でトロール倒すの初めてみた”
“トロール弱すぎ”
“300万いった”
“トロールだぞ。トロール。ゴブリンじゃないんだぞ⁉︎”
“新人の巨大な壁、トロールが……”
“そうだった修太朗って新人だった”
“新人ってなに?”
「あ〜っ、りんたろ〜また魔石。すっご〜い」
「ああ、本当ですね」
確かに俺の倒したトロールの跡には魔石が落ちている。
ただ、大きさはほぼオークの物と同じに見える。
どうやらモンスターの大きさと魔石の大きさは比例するわけではないのかもしれない。
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