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9同級生

「かわいい感じの奥さんだね」

「おお。そう思うか? オッサンも趣味いいんじゃね」

「はは……」

「本当、知り合ったのもなんかの縁だし、紹介するぞ? うちの奥さんほどじゃないけど結構かわいい子いるけど」

「いやいや、奥さんの友達ってことは十九歳だろ。俺四十歳だぞ。相手にされないだろ」


事実とはいえ言ってて自分で悲しい。


「そんなことないと思うけどなぁ。オッサン結構いい感じに渋いし嫁さんの友達にも結構受ける気がするけど」

「はは……陣内くんは優しいんだな。まあこれからよろしく」

「別にそんなんじゃねえよ。まあいいや。じゃあまたな」


最初絡まれるのかと思ったけど、案外いい奴だったのでホッとした。

昔、女の子を助けて不良にボコられてから、どうもヤンチャな感じの人に対してアレルギーがある。

もちろん人を見かけで判断することは良くないのはわかってるけどこればかりは仕方がない。

それじゃあ、やることもなさそうだしそろそろ帰ろうかな。


「花岡さん」

「え? 俺?」

「はい、花岡さんです」

「え〜っとたしか、中塚さん」


確か、自己紹介でお酒が好きって言ってた女の子だな。嬉しそうに自己紹介していたから印象に残っている。


「はい、そうです。覚えてくれて嬉しいです」

「なにか用かな?」

「いえ、特に用ということはないんですけどさっき話してたのが聞こえてきたので」

「ああ……聞こえたんだ」

「はい。失礼とは思ったんですけど、花岡さんって独身なんですか?」

「ぐっ……うん、そうだけど」

「へ〜っ。そうなんですね。彼女さんとかいないんですか?」

「い、いないけど」


なんだこの子。なんでこんなにグイグイ俺のことをえぐりにきてるんだ。


「そうなんですね。さっき十九歳は若すぎるみたいな感じだったんですけど二十歳はどうですか?」

「どうですかって言われも、俺には縁がないとしか」

「もし縁があったらどうですか?」

「いや、そりゃあ縁があればね」

「そうなんですね。ちなみに私二十歳です」

「ああ、そうなんだ」

「どうですかね」

「ん? なにが?」

「二十歳の私なんかどうですか?」

「うん、若々しくて羨ましいよ。いいと思います」

「本当ですか? 嬉しい」


いったいなんの会話なのかわからんな。

俺の意見を聞いてもなんの足しにもならんと思うけど。


「花岡さん、この後予定とかあります? よかったら私たちとどこかでお茶でもしませんか?」

「私たち?」

「はい、今日仲良くなったんですけど、みんなおいでよ」

そう中塚さんが声をかけると三人の女の子がやってきた。

「え〜っとたしか、大谷さんと、三宅さん、木下さんだったかな」

「花岡さん全員の名前覚えてくれてるんですか? すごいですね」


社会人経験のなせる技だな。一度名乗り合った人のことはその場で覚える。営業マンの基本中の基本だ。


「どうですか? 花岡さん」

「是非是非」

「お話も伺いたいですし」

「行きましょうよ〜」

「ああ、じゃあお願いしようかな」


それから何故か女の子たち四人と俺でカフェに向かうことになってしまった。


「へ〜っ、花岡さん独身なんですね」

「ああ……」


またこの話題。

まあ四十歳独身が珍しいとは思うけど辛い。



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