58 ストーンゴーレム
朝一にそんなやり取りをしつつ早速ダンジョンへと潜る。
前回とは違い2階層までは、他のみんなも戦いながら進んで行き、あっさりと2階層を突破して3階層へと至った。
やはりみんなすごい人たちだ。
“既に190万いってる”
“それより呼び方が変わった”
“名前呼びになってる”
“イケボで凜って、きゃ~”
“私の名まえもよんで~”
“やっぱ修太朗がしっくりくるな”
“花岡より修太朗だな”
“イケオジの距離の詰め方がえぐい”
“陰の者には不可能な名前呼び。うらやま”
「修太朗さん、モンスターです。ストーンゴーレムですね」
あれがストーンゴーレムか。
大きな岩の塊が動いているような見た目だけど堅そうだし結構強そうだ。
「それじゃあ修太朗さんにお願いしてみましょうか」
「え? 俺でいいんですか?」
「もちろんです。修太朗さんならいけると思います」
強そうだけど湊隊長がそういうなら間違いないんだろう。
岩だし、普通に考えて火とか水じゃ無理だ。
岩に岩をぶつけてみるか。
「悠久の大地に座し全ての礎たるその力を貸したまえ。その強固な意志をここに示せ『アースフィスト』」
堅そうな相手を前に岩の拳骨に少しだけ多めに魔力を込める。
今日で3日目なので緊張感もとれ、冷静に魔力の調整ができている気がする。
込めた魔力の量に比例して少し大きめの岩の拳骨が眼前のストーンゴーレムに襲いかかり粉々に粉砕した。
やっぱり湊隊長の言う通りだった。
硬そうだから躊躇したけど全然いけた。
ダンジョンでは見た目やイメージは当てにならないという事か。
初心者の俺が自分の感覚で自己判断してしまうのはやっぱりよくないな。
「みなさんやりました」
「修太朗すご~い」
「はい、問題なく倒せました。見た目ほど堅くはなかったみたいです」
「う~ん堅いは堅いんだけど修太朗だし~」
凜の修太朗だしというのは正直さっぱり意味が分からないけど、機嫌は良さそうだし悪いことをしているわけじゃなさそうだし深く考えるのは控えよう。
「隊長、石を岩にぶつけてあんな砕け方するもんっすか?」
「普通はしませんね」
「そうですよね。普通はもっと硬度のある『アイアンブラスト』とかで削りますよね」
「セオリーですね」
「修太朗さんが使ったの初級ですよ。初級魔法であれってどうなんですか?」
「反則ですね」
「ストーンゴーレムが弱モンスターみたいに映ってますよね」
「あれは結構厄介ですよね。堅いし燃えないし」
「感覚が麻痺しそうっす。自分も修太朗さんといると勘違いしてやらかしそうです。気を付けないとやばいっっす」
ストーンゴーレムの消えた跡には特に何も落ちてはいない。
3階層のモンスターだからといって魔石がドロップするとかそんなわけではないらしい。
「修太朗さん、次がすぐそこまで来ていますよ」
やばい。一体で終わったかと完全に気を抜いてしまっていたけど、ここはダンジョンだ。そんな悠長なことをしてる場合じゃなかった。
前方を注視していると、僅かに地響きのようなものを感じる。
程なくして前方からは先程倒したのと同じストーンゴーレム2体が現れた。
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