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48 歓迎会は料亭で

「花岡さ~ん、この後暇ですか~」

「はい、特に予定はありませんが」

「そうですか~、これからみんなで花岡さんの歓迎会しようと思ってるんですけど~いかがですか~」


歓迎会までしてくれるとは、本当にいい先輩達だ。もちろん断るという選択肢はない。


「はい、それは是非」

「は~い、それじゃあ後藤隊行きつけの店に行きますよ~」


そろそろ帰ろうかと考えてたタイミングで小谷さんが歓迎会に誘ってくれたので、参加させてもらうことにする。

後藤隊全員が参加してくれるらしく五人で、隊の行きつけのお店に向かう。


「ここですか」

「は~い、ここで~す」


行きつけのお店だというからてっきり普通の居酒屋か何かだと思っていたけど、連れてきてもらったのは、なんと高級そうな料亭の個室。

こんな高級なお店、今までに一度も来たことがない。

偉い人たちが秘密の会合をもってそうな場所だ。

こんなお店がいきつけとは、さすがは防衛機構の人たちだ。


「もう、コースで頼んでるんで~お酒は何がいいですか?」


コース料理か。俺も社会人生活が長いのでコース料理を食べたことがないとは言わない。だけどこのお店のコース料理か。

普段なら酎ハイを頼むところだけど、ここの料理に酎ハイは無い気がする。


「小谷さんのおすすめはありますか?」

「私のおすすめは~このすだち酒で~す」

「じゃあ私もそれでお願いします」

「おそろいだ~」


そこからは、落ち着いた感じで会は進んで行った。

オッサンが俺しかいないからか、当然宴会芸を要求されることもなく穏やかだ。

以前の会社では営業をしていたこともあり、喜んでもらう為にそれなりに芸も磨いた。

ただ、ここで披露するようなものではないのは間違いない。

そして、ひとつ言えるのは後藤隊のみなさんはお酒が強い。

後藤隊長はいくら飲んでも全く変わらない。

もちろん仕事中に比べるといくぶん表情は和らいでいるように見えるけど、結構なペースで飲んでいるにもかかわらず、その凛としたたたずまいが乱れることはない。

小谷さんは明るさに磨きがかかる感じで、俺にも気さくに話しかけてくれて、どんどんお酒がすすんだ。

大仁田さんはもともとお酒がすきらしく、日本酒を一人でぐいぐい飲みほしていく。

そして意外にも喜田さんもお酒に強いらしくマイペースでどんどん飲んでいる。

俺もすだち酒はおいしく頂いたけど、これをどんどん飲むとまずいというのはすぐにわかった。

おいしいけど、いつもの酎ハイよりも濃い。

途中からかなり抑えながら付き合わさせてもらっている。


出てくる料理はどれも素晴らしくおいしい。

料理に詳しくない俺でも、出てくる料理の一つ一つが手の込んだ素晴らしい料理だということはわかる。

ただでさえ高そうなお店で、こんなにどんどん飲んでお金は大丈夫なのか心配になって確認してみたが、配信による手当てがかなりあるとのことで、今日はご馳走になることになってしまった。

俺もすぐに配信長者になると冗談を言われたけど、酒の席だし話一分くらいで聞いておくのがちょうどいい気がする。

なぜか今日の食事も俺のおごりみたいなものだからとお礼を言われてしまったけど、そこは意味がよくわからなかった。

なんでおごられた俺がお礼を言われるんだ???


小谷さんと喜田さんには俺が独身であることをかなり突っ込んで聞かれたけど、意外なことに隊の皆さんも独身とのことだった。

みんな美男美女なのにやっぱりトップチームともなると、そういう時間も限られてくるのかもしれない。

隊の皆さんでさえそうなのであれば、俺に相手が見つかる可能性はゼロだな。防衛機構に所属したら万が一モテることもあるだろうかと淡い期待を抱いていたけど、ないのは確定だ。

ただ、小谷さんがほんのりピンク色が差した顔で、


「わたしが奥さんになってあげてもいいよ~」


と言ってきた時には、冗談とわかってはいても年甲斐もなくドキドキしてしまった。

小谷さんは、明るくてかわいらしいし、彼女を奥さんに出来る人がうらやましいものだ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 童貞力が高すぎて難攻不落なの草
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