予兆
9/19 HJノベルスより非モテサラリーマン2が発売です。
予約受付中です!
いっぱい買ってもらえると3巻が出ます。
先週発売のモブから12もよろしくお願いします
「お疲れ様でした」
「ようやく、馴染んできた感じがあります」
その後も問題なく6階層の探索を終え、事務所へと帰還した。
問題があるとすれば、急いでいるとはいえ6階層での活動時間がどうしても短くなってしまう事だろう。
勤務時間内で往復することを考えるとやむを得ない事だけど、もう少し6階層の奥まで行きたいという気はするけど、俺の判断することではない。
もう少しペースアップすれば一日で7階層まで行けないことはないんだろうけど、それより奥に行くなら一日では難しい気がする。
となれば、泊りでの探索となる。
興味がないと言えば嘘になる。
ダンジョンで不謹慎なのはわかっているけど、以前アウトドアが流行し、ソロキャンプなんていうものが世に知られるようになったタイミングで本を買ったりしてみた。
ソロキャンプしながら大自然の中で酎ハイを飲む。
最高じゃないか。
憧れる~とは思ったものの、車を持っていない俺にはハードルが高く諦めてしまった。
そんな経緯もあり、泊りの探索には興味がわいている。
「この調子ならいけそうですね」
「いけそうというのは、なにがでしょうか」
「実は今日、来週からの他の隊との合同探索が決まったんですよ」
「合同というと、前のように何かあったんでしょうか」
「いえ、そういうわけではありません。今回は前回ほどの規模はなさそうです。あんなことがあったので普段から連携を深めるのが目的ということで、特別なにかがあったという事ではありません」
「そうなんですね」
合同探索か。
また、この前のように何かあったのかと思いドキッとしたけどそういうのではないようなのでホッとした。
当然何かあった時の対応が必要なのはわかっているけど、なにも無い方がいいに決まっている。
『ギリスマティ』の制御もかなり馴染んできているし、他の隊に迷惑をかける事は最小限で済むはずだ。
後藤隊の一員として足を引っ張りたくはないので、気合を入れて臨むしかない。
「う~~ん、合同探索ね~」
「凜、どうかしたのか」
「今までイレギュラー以外で合同探索なんかしたことないんだよね~」
「そうなんだ」
「もしかして何かあるのかな~と思って」
「なにかって?」
「たとえば、スタンピードの予兆があるとか~」
「それならこちらにも情報が降りてくるんじゃないか?」
「そうなんだけどね~。上の人たちの考えてることってよくわからないことも多いから」
「まあ、それはどこの会社でもあるかもしれないな」
上の人間は大局観をもって考えているはずだし、下の人間にはその意図がよくわからないこともある。
まあ、俺は与えられた仕事をしっかりこなすだけだ。