おっさんでも成長は出来る
ＨＪノベルス非モテサラリーマン２は９/１９発売です。
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更に1週間、トライ＆エラーを繰り返したことで『ギリスマティ』の練度は確実に向上していた。
その証拠に、先週はあれほど疲れていたのに今週に入ってから、筋肉と頭の疲労度が軽減してきている。
５階層、そして６階層でもみんなについていけていることを考えると、必要分だけ出力を絞りつつ目的を達成できていることになる。
”修太朗の動きが速い”
”もう、６階層迄は問題なさそうだ”
”光具合も落ち着いてきたな。画面が見やすくなってきた”
”それはある。ずっと光ってると目が疲れる。今くらいならいける”
”服の上からだからはっきりとはわからんが、修太朗いい身体してない？”
”たしかに！ がっしりしたというかひょろいオッサンの身体ではない”
”今度、写真集とか出さないかな”
”おっさんの写真集誰が買うんだよ”
”わたしは買うわ”
”俺も買うけど”
”即買い”
”１０万部はかたい”
「修太朗さん、こっち向いてください」
「はい」
「よかったら上半身脱いでみます？」
「はい？」
「いえ、視聴者のニーズにこたえるのも仕事かなって」
「いえ、さすがに仕事を逸脱しているかと」
「そうとも言えませんよ」
桜花さんはいったい何を言い出すのかと思えば、視聴者のニーズにこたえて上半身脱ぐように勧めてきたけど、何を考えているのやら。
おっさんが上半身裸で配信したら、それはもう放送事故だ。
どこにそんな意味不明のニーズがあるのか。
時々、桜花さんも妙なことを言い出すことがあるので少し心配になってしまう。
「修太朗さん出番ですよ」
「わかりました」
あの先に見えるのはロックタートルだな。
進行速度は上がったものの。探知能力的なものが向上した感はない。
たいていの場合、他のメンバーの方が先に見つけてしまう。
おそらくは『ギリスマティ』で視力も上がってはいると思うけど、また別の能力が必要とされているのかもしれない。
ロックタートルのサイズは６階層でもかなり大きい部類に入る。
ただ、亀なのでそこまでの素早さはなく隙も多い。
錆びた剣に魔法さえのせていれば、甲羅であってもスパっと斬れてしまうので楽に倒せてしまう。
こういう言い方はよくないのだろうけど、ある意味安牌ともいえる相手だ。
「あ～修太朗さんが甲羅も斬り刻んでますね。なんか野菜でも斬ってるみたいっすね」
「修太朗さんですから」
「もう、あれじゃないっすか、あの感じだとダイヤモンドとかでもスパっといけそうじゃないっすか？」
「いえ、流石にそれは、あるかもしれませんね」
「でしょ？ だってロックタートルっすよ。俺も気合入れないと手首壊しますよ？」
「気にしたら負けです」
「そうっすね」
