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18 北王地さん

今更ながら彼女たちが無事に帰れたか心配になり、連絡を入れておいたが、すぐに四人からお礼と、また一緒に飲みに行きましょうと返信がきた。

社交辞令だったとしても四人からの返信は嬉しかった。

結局、お酒が完全に抜けるまで夕方までかかってしまったので、せっかくの土曜日は一日ゴロゴロして終わってしまった。

夜は卵雑炊を作って食べたが、無理をさせた胃袋に染み渡ってうまかった。


翌日にはさすがにお酒は抜けていたけど、特にやる事もないので学校の魔法教本を読み返す事にする。

初級の魔法の詠唱は、学校にいる間に全て覚えた。

あとは中級と上級だが、等級が上がるほど、詠唱も長く、そして厨二感が増している気がする。

中級以上になると、発動するためには初級と違い、それなりに職業適性が必要となるらしい。

つまり、俺もどの魔法が使えるのかを知るためには実際に詠唱して試してみないとわからないということだ。

今は実地訓練から外されているが、学校にいる間になんとかお願いするしかない。

自分でも自分の発動した『ファイア』がおかしいことくらいは理解しているので、勝手にひとりで中級魔法を発動してみる気にはなれない。

初級であれなら中級がどんなことになるのか……。

元々、勉強は嫌いではない。

そして夢にまでみた魔法だ。

俺はこの日、中級魔法の詠唱を完璧に頭に入れることができた。

翌日からはまた学校生活が始まったが、実地訓練は相変わらず端で見学させられている。

まさか卒業までずっとこのままってことはないよな。

他の生徒たちが、楽しそうに魔法を発動させているのをみて不安になってくる。


「どうされました? 体調でも悪いんですかね。大丈夫ですか?」

「え? あ、ああ、いやそういう訳ではないんですけど。あなたは?」

「あ〜私はあれです。この学校の~なんというか雑用係のようなものです」


そう言って、小柄な男性に声をかけられた。

パッと見、六十歳は超えているように見えるし、雑用係と言っているので、定年後再雇用で働いているのかもしれない。


「実はお恥ずかしい話なんですが、実技からは外されてしまったんですよ。ハハハ」

「なにか、まずいことをやってしまったとかですか? この学校で実技を外されるなんてことは普通ないはずなんですけどねぇ」

「あ〜まずいといえばまずいことをやったかもしれません」

「もし差し支えなければお聞きしても?」

「それが、的を壊してしまったんです。それも二台も。知ってますか? あの的ひとつで100万円以上するそうなんです。それを二個も壊してしまったので、こうして端で見ておくように言われてしまったんです」

「壊したというのは魔法でということですか?」

「はい『ファイア』で壊れてしまいました」

「それはおかしいですね。あの的は上級魔法にも耐えうる耐久性を持っているはずですが」

「詳しいですね。それが俺はちょっと魔力とかが多いみたいで、そうなってしまったみたいです」

「ちょっと魔力が多いぐらいでは、そんなことには……あぁ、あなたが……」

「どうかしましたか?」

「いえ、そういえば名前も名乗っていませんでしたね。私は北王地と言います」

「ご丁寧に。私は花岡といいます。よろしくお願いします」

「花岡さんですね。それではまたお会いしましょう」

「ああ、学校でお会いするかもしれませんね」


会話を終えると、北王地さんと名乗った男性はその場を去っていった。

それにしても北王地さんか。優しそうな人だな。初めて聞く名前だけど立派な名前だ。



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