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6階層を行く

「はぁ、はぁ、はぁ」

「りんたろ〜大丈夫?」

「いや、大丈夫」


きつい。

砂のように足を取られるわけではないけど、起伏のある岩場の移動が思った以上にきつい。

5階層を抜けたというのに、更なる負荷が40歳の足腰に響く。

それにしても、他の隊員の健脚には驚かされるばかりだ。

息が上がっているのは俺だけ。

桜花さんに至っては撮影しながらにも関わらず、全くペースが落ちる様子はない。


「皆さん、モンスターが来ますよ」

「せっかくだし初物は修太朗さんがいっとくっすか?」

「はい」


俺か。

6階層での初戦闘。

少しくらい疲れていても気合を入れて望まねば。


「古今東西の英霊よ、気高き、その力、その魂、その権能を我に示し、敵なるものを打ち倒す英知を授けたまえ『ギリスマティ』」


強化された視力によりモンスターを確認することができた。

足下の岩場と同系色の体色を持つ大型のトカゲ。

映像でコモドドラゴンというのを見たことがあるがあれよりも大きい。


「その鼓動を止めよ。氷を纏いし、舞い吹雪く乙女の衣で優しく包み、絶対の眠りへと誘え『氷麗牢獄』」


はじめて使う氷結系魔法。

湊隊長の得意とする氷結系の初級魔法だ。

以前湊隊長が使った上級魔法『氷狼檻陣』には及ぶべくもないが、教本によれば同じような効果を発揮してくれるはずだ。

あれが地上の蜥蜴と同種の特性を持つのであれば、寒さには弱いはず。

蜥蜴の周囲に雪が舞い、すぐに大蜥蜴が氷に覆われる。


「おおっ」


思わず声が出てしまう。

大蜥蜴はその場で見事に凍り付いてしまった。

やはり大蜥蜴に氷結系は覿面だったようだ。

ただ、消える様子はないのである種仮死状態のような状態になっているのか?


「湊隊長、凍ったっすね」

「ええ、凍りましたね」

「あれって『氷狼檻陣』でしたっけ」

「いえ、初級魔法の『氷麗牢獄』ですね」

「ロックリザードって結構、寒さ耐性高めでしたよね」

「そうですね」

「おかしいっすね」

「修太朗さんですからね」


しばらく様子をみても、やっぱり消える様子はない。

これはとどめが必要なやつだろうな。

氷が溶ける前に倒すべく、大蜥蜴へと走る。

あ……。

あれほど苦労していた足下の岩場が容易く走ることが出来る。

やはり『ギリスマティ』すごいな。

岩場をものともしない強化魔法。

これってもしかして……。

いや、今は目の前の大蜥蜴だ。

氷漬けの大蜥蜴の前に立つ。

近くに立つとやはり大きい。

大型のワニくらいはありそうだ。

錆びた剣で首の根元の部分を落とす。

おそらくは、さっきの発動時に氷結魔法の特性も付与されているからだろう、あっさりと氷ごとスパっと斬れた。

大蜥蜴が消えると同時に覆っていた氷も消え去った。

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