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17過ぎし日の青い空

「お待たせしました。それじゃあそろそろ帰りましょうか」

「じゃあお金を払いま〜す」

「ああ、それは大丈夫ですよ。帰りましょう」

「え〜そうなんですか〜。は〜い。それじゃあ花岡さんのおうちに帰りましょう」

「賛成〜花岡さんのお家に帰りま〜す」

「いやいや、自分のお家に帰りましょうよ」

「は〜い、花岡さんちがいいで〜す」


タクシー乗り場についてもそんな問答が続いたが、どうにかタクシーに乗ってもらい自分たちの家に帰ってもらうことに成功した。

間違っても四人もの若い女の子を俺の部屋にあげるわけにはいかない。

目につくところに変なものはないと思うが、オッサンのリアルな生活の場を見られたら、明日から軽蔑されてしまうかもしれない。

これからの学校生活を快適に過ごすためにもそれは避けたいところだ。

それにしても、いくら歳が離れているとはいえ、若くて綺麗な女性にボディタッチされるのは刺激が強すぎる。

おかげで『俺の酒蔵』で回ったアルコールが一気に揮発して抜けてしまった。

こんなことがしたくて防衛機構を志したわけではないが、俺も男なので全く悪い気はしない。

それにしてもオッサンとはいえ男を前にあの酔い方は危ない。

彼女たちの事が心配になってしまう。

木下さんも着痩せするタイプなんだな。中塚さんも……。

いやいや、歳の離れた同級生相手に俺はなにを考えているんだ。

家に着いたら缶酎ハイを飲んで気を落ち着けよう。そうしよう。

 

 §


昨日は楽しくて飲みすぎてしまった。

若い女性を前にして酔うわけにはいかず、飲んでいる最中は、頭もはっきりとしていたし、酔った感覚はなかったけど家について追い酎ハイを飲んだのがよくなかった。一気に酔いが回ってどうにかベッドへとたどり着きそのまま寝てしまった。

そして朝目が覚めると、当然のように完全なる二日酔いになっていた。

ここまでの二日酔いになったのは、まだ自分の限界を知らなかった大学生の時以来かもしれない。


「あ〜身体が重い……」


まだ身体のアルコールを消化しきれていないようで、頭が痛いしボ〜ッとしてしまう。

喉が乾くので水を飲んでみても、体調は変わらない。


「昨日、シャワーも浴びずに寝たんだなぁ。それにしても中塚さんたちかなり酔っ払ってたな。やっぱり若いってすごい。四十のオッサンがああなると、警察呼ばれそうだよ」


大学生の時に一度だけ記憶がなくなるほど飲んでしまったことがあるが、朝目を覚ますと、そこには見たことのない天井ではなく、青い空が広がっていた。

小さな公園の脇でひとりで寝ていた。

その日は、同じ大学の学生三十人ほどいたはずだが、どうしてそんなところでひとり寝ていたのか全く思い出せなかった。

季節は十一月の初旬だったので目を覚ました時にはかなり冷え込んでいて、あと一ヵ月か二ヵ月先に同じことをしていたら、目覚めることはできなかったかもしれない。

それ以来、反省して深酒をしないようにしていたのに、『俺の酒蔵』が美味しすぎた。

噂に違わぬ味わいだった。

それに最後はみんな酔っぱらって大変な感じになってしまったが、俺も男だ。

あんなにかわいくて若い女の子たちとお酒を飲めて楽しくないはずがない。

ひとり家で酎ハイを飲むのとは違った雰囲気と楽しさに年甲斐もなく調子にのってしまった。





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