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15俺の酒蔵

翌日からの座学は他のみんなと同様に受けることができたが実戦訓練は、相変わらず端で見学することとなってしまった。

ただ、無駄に時間を過ごすのももったいなかったので、教本を片手に魔法の詠唱を暗記することにした。

結構な時間があったので教本にのっている上級魔法までほぼ全ての種別を網羅することができた。

もちろん実際に使えるかどうかはわからないが、覚えておいて損はないはずだ。

教本を見てわかったことだが、上級になればなるほど詠唱が長くなり、そして口にするのが憚られるような恥ずかしい文言が並んでいた。

おそらく、俺の両親に詠唱を聞かれたら恥ずかしさで死ねる。

やってみないとわからないが、詠唱の声の大きさが魔法の発動や威力に関係ないのであれば、小声で、可能ならほぼ無音に近い詠唱で魔法を使いたい。

ただ、若い子たちは俺とは違うようで、大声で競って発動している。


「大いなる大地に棲まう小霊よ。その力を我に与え右手に全てを穿つ槍を! おおおお〜『ロックランス』」

「やるな! 俺だって。空を舞う白姫よ! その高貴な姿を見せ、その流麗なる力をここに示せ! いやあああああ〜『ウインドカッター』」


若いってうらやましい。俺は年齢とともに純粋さを失ってしまったのだろう。

ただ、その羞恥心と天秤にかけたとしても魔法を使えるって素晴らしい。

実習は、ほぼ自習と化してしまっているが、座学は基本的なことからダンジョンの事など結構多岐にわたっていて勉強になる。

3か月しかないので集中して聞かないといけないけど20代のころに比べると頭に入ってくる量が明らかに減ってしまっている気がするので必死に授業を聞く。

おかげで当初よりは知識が増えた気がする。


                       §


一週間が経過し、約束通り5人で歓迎会を開くことになった。

会場は大谷さんいきつけの居酒屋だったが、かなりいい雰囲気のお店だ。

ただヤング……の中にひとりオッサンが混じった感じで、違和感が半端じゃない。

どちらかというと、先生と生徒って感じすらしてしまう。


「花岡さ〜ん、飲んでますか〜」

「ああ、中塚さん、飲んでますよ」

「何飲んでるんですか〜?」

「レモン酎ハイです」

「あ〜いいですね〜。わたしも飲もうかな〜」

「中塚さん、結構飲みました?」

「まだまだこれからで〜す」


結構お酒が回っているようにも見えるが楽しい感じなので問題はないか。


「あ〜中塚さん抜けがけ〜。花岡さん、よかったらお酌しますよ」

「木下さん、ありがとうございます。ありがたいんですけど酎ハイなので……」

「じゃじゃ〜ん。そう言うと思ってこれを頼んでおきました〜。日本酒で〜す。名前は銘酒 『俺の酒蔵」で〜す」

「『俺の酒蔵』ってまさかあの幻の……」

「ああ、そういえばメニューに幻のとか限定とかって書いてました。どうですか?」

「はい、是非お願いします」


『俺の酒蔵』といえばプレミアがついている幻の銘酒。一度飲んでみたいと思っていた。

普段日本酒を飲むことはほとんどないけど、『俺の酒蔵』の事は知ってる。

まさか普通の居酒屋で飲めるなんて思ってもみなかった。この機会を逃すことは絶対にできない。


「はい、どうぞ〜」

「ありがとうございます。それじゃあいただきます」


『俺の酒蔵』は、透き通っているがうっすらと琥珀色をしている。

ひとくち口に含むと芳醇な味わいと甘味が口中に広がる。

そしていつも飲んでいる安酒に比べると明らかに深くそしてまろやかだ。

まるで原料のお米を極限まで磨き上げ、凝縮したかのような味わい。


「うまい」



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