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初給与

「りんたろ~今日はおいしいもの食べにいこ~よ。給料日だし」

「え~っと、電子明細でしたっけ」

「うん、ログインして確認だよ~」


ようやく防衛機構で初めてとなる給与が出た。

初月なので、フル計算ではないし、配信分は来月以降とのことなのでそこまで多くはないと思うけど、やはり自分が働いて貰う初めての給与というのは特別だ。

そうは言っても、来月の生活費もあるし一応いくらもらえたのか確認はしてみる。

スマホにIDとパスワードを入力して、当月の給与明細をクリックする。

え~っと……これだな。

総支給額は……。

あれ?

思ってたよりかなり少ない。

初月だし、いろいろ引かれたらこんなもんなのか。

いや、ちょっと厳しくないか?


「どうかした?」

「いや、ちょっと来月の生活どうしようかと」

「?? りんたろ~どういう意味?」

「いや、思ってたより少なくて家賃払えない」

「ん? りんたろ~の家賃ってそんなに高いの? 社宅でしょ?」

「うん、12万だけど無理しすぎたかも」

「え~っとりんたろ~家賃が払えないってそれはないと思うんだけど」

「いや、本当だって」

「ちょっと見てもいい?」


まあ、減るもんでもないし凜にスマホ画面を見せる。


「りんたろ~確かに私とかに比べると配信分がないからかなり少ないけど、家賃が払えないってことはないよ~」

「え? だって」

「よくみてみて」


凜に促されもう一度スマホ画面を確認してみるが特になにかあるわけでもない。

今月の支給額は社会保険とか控除すると残ってるのは903651円

手取り9万円しかない。

来月にはもっと増えるんだろうけど、さすがにこれは厳しい。

今日からお酒もやめて節約生活に入るしかない。


「うん9万円だけど」

「りんたろ~よく見て」

「見てるよ。見ても変わらないって」

「金額を言ってみて?」

「金額? え~っと9万3千651円。ん? あれ?」


凜に促され金額を読み上げてみると違和感がある。

ん?

9万と3千の間に0が挟まってる。

ん?

どういう事?


「りんたろ~今月魔石を何個か拾ったでしょ? それがあるから」


ん?

魔石。

確か宝石を凌ぐ価値があったりするんだったっけ。

ん?

ちょっとまて。

まってくれ。

この給与明細おかしいぞ。

これ、9万じゃない。

え?

90万3千6百51円

ヤバイ。

40にして一気に老眼が進んでしまったのか、桁が上手くカウントできない。

いやいやいや、9万も厳しいとは思ったけど初任給手取りで90万ってそんなバカな。


「凜、俺おかしくなったのかも」

「りんたろ~はおかしくなってなんかないよ。90万であってるから」


90万であってる……?

その瞬間俺の脳は活動を停止してしまった。


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