第3話 魔族の血
俺は勇者パーティーに入ることになってしまった。
引き続きこの酒場で自己紹介をすることになった。
「俺はガルバン!役職は戦士だ!心配するな、戦闘中は俺の後ろに隠れておけ!ガハハハッ」
このガルバンという大男は見た目に反して真面目な性格らしい。
トーチ村という人口200人ほどの村で生まれ育った。
旅を始めたてのマルクが村を訪れた時に実力を買われ、パーティーに誘われたらしい。
「僕はマルク、役職は勇者だよ。よろしくね」
マルクは勇者である。好青年ではあるが、マイペースな性格。
グランダルという町の貴族の家で生まれたらしく、当たり前のようにエリートだ。
だが性格に難があり、クソが付くほど真面目なガルバンとの相性は最悪だ。
「私はフィンです~。役職は魔法使いです~。おふたりともよろしくお願いします~。」
これは早いうちに俺を使えないやつだと思わせてパーティーを追放されるのが一番だ。
だからと言ってAランクと言ってしまった以上弓使いとは言えない。
とりあえず魔法使いってことにしておこう。
「君は魔法使いだったのかい?なぜ背中に弓を?」
「あ、これは趣味です~。ははッ・・」
「ほう、では杖はどこだい?」
「前の戦闘で壊れてしまってまだ買ってないんです・・」
(あぁ、そういや杖買わないといけないじゃん・・出費がぁ・・)
「そうだったのか、では明日は杖を買いに行かないか?」
「そ、そうですねぇ~」
「それじゃあ明日町の中央広場の噴水前に集合にしよう」
今日はこれで解散となった。
帰り道、宿へ向かいながら明日のことを考えていた。
俺はとにかく金がない。手持ちも残り5万ゴールドしかない。
明日は杖を買いに行くことになったが、杖はFランクでも最低3万ゴールドはする。
Aランクともなれば、500万ゴールドくらいだろう。
(Fランクの杖を買うしかないなぁ・・)
そんなことを考えながら歩いていると、路地裏から突然悲鳴が聞こえた。
「きゃーーー!!!!」
走って路地裏へ向かうとチンピラ3人が少女を囲んでいた。
「お金なんて持っていません!」
「金は本当に持ってねぇみたいだな、だがその大事そうに抱えているものはなんだ?」
「これはダメです!お願いします!見逃してください!!」
少女は袋に包まれた丸いなにかを大事そうに抱えていた。
「見逃すわけねぇだろッ!」
(ガバッ)
チンピラは無理やり丸いなにかを奪って少女を突き飛ばした。
「んー?なんだぁ?えらい綺麗な水晶玉だなぁ」
その水晶は透き通るほど綺麗で夜でも輝きが絶えない青い水晶玉だった。
「返してください!!それだけは渡せません!!」
少女は腰にかかったナイフを抜き、チンピラに立ち向かった。
「あ゛ぁ?」
チンピラは背中の剣を抜き少女に躊躇なく振り下ろした。
(シュッ・・グサッ)
「いっでぇぇぇえ!!誰だぁ!!出てこい!!!!」
俺が咄嗟に放った矢は珍しくチンピラの目に刺さった。
「お前ら3人でこんな女の子囲んで趣味悪すぎだろ」
「てめぇ・・ぜってぇゆるさねぇ・・殺してやる!!!!」
目に矢が刺さったチンピラは矢を抜いた。
チンピラ3人組はそれぞれ武器を出し、俺に襲い掛かってきた。
(ドンッ、ボコボコッ・・ドカッ)
もちろんSランクの俺が近距離で負けるわけもなく拳でボコボコにしてあげた。
ふたりは気絶し、目に矢が刺さったチンピラだけ意識があった。
「み、見逃してくれぇ!!奪ったもんも返すからよぉ!!頼むッ!!」
俺はチンピラから水晶玉を受け取った。
「あ、ありがてぇ!!」
そう言ってそのチンピラはその場から走って逃げようとした。
(シュッ・・カンッ)
俺はチンピラ目掛けて矢を放ったが、外れた。
(今のは当てたかった・・)
「ひぃっ!!なんだよ見逃してくれるって言ったじゃねぇか!!」
「言ってねぇよ。この子が見逃してって頼んだ時もお前は見逃さなかっただろ?それにそこでのびてる2人は仲間じゃないのか?なぜ自分だけ逃げる」
俺は少女に水晶玉を渡し言った。
「あとはいいからもう家に帰れ」
少女は泣きながら頭を下げ、走ってこの場を去って行った。
俺は意識の無いチンピラふたりを矢で刺し殺した。
「あとはお前だけだ」
「やめてくれぇぇえ!!!悪かった!!改心するから許してくれぇぇぇえ!!」
俺は最後のチンピラの喉に矢を刺した。
俺にはちゃんと心がある。
さっきの少女を助けたいと思ったのも本心だ。
だが、一つ欠けている部分がある。
それは人を殺すことをなんとも思わないことだ。
(これも魔族の血を引いているからなのかもな・・)
この日は宿に帰ってぐっすりと寝た。




