第21話 お出かけ
目が覚めた。
外を見るとまだ少し暗い。
ルイは隣でまだ寝ている。
(おなか減ったな・・)
俺は食べ物を探しに部屋を出た。
厨房に行けばなにかしらあるだろうと思ったが場所を知らない。
王宮内には明け方だからか人が全然いない。
しばらく歩くと、廊下にひとりの兵士がいた。
「すみません、勇者パーティーの者なんですけど、食べ物を探してて・・」
兵士はこちらを見た。
見覚えのある顔だ。
「んッ・・は!フィン様!」
そいつは地下牢に閉じ込められている時の見張りの兵士だった。
「ろ、牢では大変無礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした!!どうかお許しをッ・・!」
兵士は床に頭を擦り付け土下座をした。
「いいんだ、俺も殺気立ってすまなかったな、今度こそまともな食べ物をくれるか?」
「ありがとうございますッ・・!もちろんでございます、お食事処へご案内致します!」
兵士に連れられ食事処へ向かった。
食事処は中央に20席ほどの細長いテーブルがある部屋だった。
「直ぐに料理人に朝食を作らせますので、少々お待ちください!」
「結構ガッツリしたものが食べたいって言っておいて!」
「承知致しました、では失礼いたします!」
兵士は深々と頭を下げ部屋を出た。
しばらくすると長いコック帽をかぶり、ニコニコした料理人が手に料理を持って現れた。
「失礼いたします、私、料理長のボンバと申します」
ボンバは俺の前に皿を並べた。
「こちらはスノーラビットのステーキです」
スノーラビットは雪山に生息していて、白い体で見えにくくすばしっこい為、捕まえるのが難しいと聞いたことがある。
「ありがとう、ボンバさん」
ひと口食べると、口の中に香ばしい香りとハーブの香りが広がった。
噛めば噛むほどスノーラビットの旨みが広がる。
呑み込んだ後も口の中に油っぽさはない。
「なにこれ・・旨すぎるだろ・・」
俺がボンバさんを見ると、ずっとニコニコしている。
「続きましてこちらは・・次にこちら・・お次は・・・・」
俺は夢中になって出てくる料理を食べ進めた。
「くぅ~、うまかったぁ!!」
「お口に合ったようで大変光栄でございます」
ボンバはコック帽を取って頭を下げた。
「ねぇ、ボンバさんってAランクの調理人?」
「はい、成人してから20年間この王宮に努めております」
(20年かぁ・・さすがに王宮の料理長を引き抜いたりしたら怒られそうだな・・)
俺はボンバさんにお礼を言って、部屋へ戻った。
「フィン様ッ!どこへ行っていたんですか?」
部屋ではルイが俺の帰りを待っていた。
「いやー、お腹ペコペコでさ、ご飯食べてたんだ」
するとルイの目が光った。
「ずるい!!なんで起こしてくれなかったんですか!!わたしもボンバさんの料理食べたかった!!」
ルイもボンバさんの料理の虜になっているようだ。
「気持ちよさそうに寝てたからさ、王宮の料理がここまでのものだとは思わなかったし・・」
ルイは膨れていた。
「なぁルイ、街には出たか?」
「いえ、まだです。それどころじゃなかったので!」
「そうか、もしよかったら今日街を探検しないか?」
ルイの目が輝いている。
「行く!!」
食い気味に言ったルイの機嫌はコロッ変わり、飛び跳ねて喜んだ。
準備をして、俺とルイは兵士にひと言断って王宮を出た。
「ルイ行きたいとこある?」
「ま、魔道具店に・・」
「あ、そうだったな、よし探してみよう!」
俺とルイは街の人に聞いたりして魔道具店を探した。
おばちゃんに聞いた大きな魔道具店へ行くことになった。
「うわーっ!おっきぃー!!」
その魔道具店はバールヘヴンで行った店の倍は大きい二階建てのお店だった。
「すごいな、俺もなにか使えそうなもの探してみよう」
俺とルイは店へ入った。
俺はルイのペースについて行けず別行動をした。
(おっ、この魔道具は魔力を蓄積できるのか、あ、こっちの方がたくさんの魔力が・・)
品揃えが良く、俺も結構楽しかった。
「フィン様ー!」
ルイが戻ってきた。
「ちょっと来てください!」
俺はルイに手を引かれ、二階の魔導書コーナーへ向かった。
壁側の本棚の前に立って、ルイが言った。
「フィン様、ここから何か感じませんか?」
「んー、なんか懐かしさを感じる気も・・気のせいかな?」
「気のせいじゃないです!魔族のマナを感じますよね!!」
「あ、魔族のッ・・」
懐かしさの原因は魔族のマナだったらしい。
「そして、こことー、こことここの本から人間のマナを感じます!」
ルイがそう言いながら本をタッチした。
すると本棚が後ろに下がり、横へスライドした。
「えッ・・なにこれ・・」
本棚の後ろから階段が現れた。
「隠し扉だったみたいですね・・」
「こんなの開けちゃってよかったのか?」
ルイの方を見るとまた目が輝いている。
「行きましょうッ!」
「え、ホントに!?」
「これは行くしかないでしょ!!」
ルイは階段を降りた。
独りにさせるわけにもいかないので、俺もついて行った。
階段は一階ではなく、地下の方まで続いていた。
降り終えると、一枚の扉があった。
「俺でもわかる、魔族のマナを感じる」
「扉、開いて良いですか・・?」
「あ、あぁ」
ルイがゆっくりと扉を開いた。




