第20話 ダメです
王宮へ戻ると、ルイがいた。
ルイは涙を浮かべ、走って抱き着いた。
「フィン様、無事で良かった・・」
俺はルイの頭を撫でた。
「心配かけたな、もう大丈夫」
マルクは弟を王にしてしまった為、しばらく忙しくなるそうだ。
出発はまだ先になりそうだ。
「ルイ、俺の部屋はどこだ?しばらくベッドで寝ていないから横になりたい」
「えっと、実はわたしと同じ部屋なんです・・あ、わたしがそうしてほしいと頼んだわけではなくて!兵士の方の勘違いでそうなったというか・・!もし嫌だったら兵士の方に相談しますので!!」
ルイは顔を赤くして答えた。
「大丈夫だよ、ありがとう」
「その前にお風呂です!!」
ずっと監禁されていたからそのままベッドで寝るのは俺も気が引けた。
ルイに案内され、城の大浴場へ向かった。
「わたしはここで待っているのでごゆっくり!」
「ルイは入らないの?」
「わ、わたしは良いです!まだそこまでは恥ずかしいです・・」
「そ、そっか!」
(一緒に入ろうと誘ったわけではなかったんだけど・・)
大浴場は一度に人が50人ほどは入れるほどの広さだった。
もちろんシャワーもついていた。
(シャワーで体を流せるなんて貴族みたいだな)
ゆっくり湯船に着かり、風呂を出た。
「ルイ、お待たせ」
「お風呂はいかがでしたか?」
「あぁ、すごくリラックスできたよ」
俺とルイは部屋へ向かった。
「ここがお部屋です!」
「すごいな・・」
用意された部屋は高そうな備品や装飾の沢山ある豪華な部屋だった。
俺は真っ先にベッドへ飛び込んだ。
「あー!最高だー!ベッドでけー!」
俺がはしゃいでいると、ルイはベッドの隣にある椅子に腰をかけた。
「あれ、もしかしてベッドってひとつ?」
ルイは指で髪をクルクルと巻きながら目を反らして答えた。
「そ、そうみたいですね」
(ぐ〜ぐ〜・・・)
俺はいつの間にか寝ていた。
目が覚めると、外は暗くなっていた。
そして隣にはこっちを向いて寝ているルイがいた。
ルイを撫でて髪が後ろに流れると、耳が少し赤いことに気付く。
(暑いのかな?)
しばらく寝顔を見ていると、ルイの瞼がピクッと動いた。
俺はそれに気づき、そっと抱き寄せた。
同時にルイの鼓動が段々と早くなった。
俺はルイにキスをした。
「んッ・・!え!?」
ルイは目をパッチリと開けた。
顔が真っ赤になっている。
「おはよう」
「お、おはようございます、というか今ッ・・」
「ん?どうかした?」
「え、いや、あの、キ、キスしましたよね?」
「うん、ダメだった?」
「いや、ダメと言うか、わたし寝てましたし、その・・」
「起きてたじゃん」
「え・・」
「なんで寝たふりしてたの?」
「バレてたんですか・・」
「うん、バレバレだった」
ルイは手で顔を隠し悶えている。
「フィン様の寝顔を横で見ていたらフィン様が急に起きたから、とっさに目を瞑ってしまいました・・」
「なるほど、眠くないの?」
「はい、全然、今ので眠気が完全に吹っ飛びました」
「ごめんごめん、じゃあちょっと散歩にでも行かない?」
ルイはコクリと首を縦に振った。
手を繋ぎ、部屋を出て王宮内を少し歩いた。
「俺処刑される時さ、もしマルクが助けにこれなかったらこの街をすべて壊してやろうとか、王を殺してやろうとか考えたんだよね。やっぱり魔族なんだなーって思った」
「人間にだって復讐心はあります、そんな事できる力を持っていたら誰だってそう考えますよ」
「んー、そうなのかな」
そんな事を話していると前に人影が現れた。
「フィン様、ルイ様、こんばんは」
ハイドルだった。
「こんな時間に散歩ですか?もしや寝辛かったですか?」
「いや、グッスリ寝れたよ、ありがとうハイドル」
「それは良かった」
「というかもう王様なのか、なんて呼べば良いんだ・・?」
「ハイドルで構いませんよ」
「じゃあハイドルで、地下牢ではありがとな!」
「いえいえ」
「ハイドルも散歩?」
「はい、突然王になるなんて実感がわかなくて・・」
今日ハイドル達は王になる準備や会議などで忙しかったようだ。
大臣達は、ハイドルが王になる事を良く思っていないらしく、会議が中々進まないらしい。
「フィン様達を足止めする形になってしまって申し訳ありません」
「気にしなくて良いさ、のんびり過ごさせてもらうよ」
ハイドルに別れを言って俺とルイは部屋に戻った。
「んー!まだ寝れるな」
「わたしも少し眠くなってきました」
「寝るか!」
俺とルイは同じベッドに入った。
「ルイ・・」
俺はルイの方に手を伸ばした。
するとルイは俺を睨んだ。
「ダメです」
落ち込んだ俺を見ているルイ。
ルイは少しして俺に近づきキスをした。
「今日はここまでです・・!おやすみなさい!!」
そう言ってルイは俺に背中を向けた。
俺も大人しく寝ることにした。
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