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第19話 公開処刑

 「死刑って・・さすがに冗談だよな?」


 状況を理解できていない俺にマルクが言った。


 「王への虚偽報告と勇者パーティーへ身分詐称して加入する行為はここでは死刑なんだよ・・」

 「そんな・・そんなの最初から言ってくれよ!」

 「君がAランクなんて嘘ついてるなんて知らないよ!」


 その通りだ。マルクはなにも悪くない。


 「フィン、大丈夫だ、必ず助ける」

 「どうやってだよ」

 「僕は勇者だ、僕を信じて」


 俺はマルクを信じることにした。


 「捕らえよ!」


 俺は兵士に抑えられ、城の地下牢へ連行された。

 投獄された牢は、窓がひとつもなく全面分厚い金属で囲われている。

 おまけに魔法を封じる首輪や、足枷まで付けられ、拷問された。

 兵士が言うには一週間後に公開処刑されるらしい。

 公開処刑となった場合は暴れてやるつもりだ。


 ガンガンッ


 「起きろ!」


 投獄されて4日目の朝、兵士に扉を叩いて起こされた。


 「朝飯だ!」


 兵士は扉の隙間からパンを投げ入れた。

 俺の朝食は小さなパンひとつだ。


 「なぁ、もっといいもんよこせよ」

 「お前は死刑囚だ、処刑の日まで死ななければ良い!」


 毎日とりあえず生きられる程度の食事しか与えられていない俺は苛立っていた。


 「なぁ兵士さん、その気になればこんなところ破壊してお前を殺すこともできる。1秒もかからない」


 兵士は呆れた顔をして言った。


 「なにを言っているんだ、無理に決まっているだろう。自分の状況を理解しろ」


 俺は投獄される時に悪食の指輪も没収されていた。

 その気になれば本当にすべてを破壊して脱獄も可能だ。


 「おい、お前!」


 兵士の後ろからハイドルが現れた。


 「き、騎士団長!?」

 「交代だ、訓練に戻れ!」

 「団長自ら見張りですか!?」

 「あぁ、俺がこいつに自分の立場を思い知らせてやる」


 兵士は戻り、ハイドルだけが残った。

 俺はハイドルを睨んで言った。


 「おい、あまり調子に乗るなよ。マルクの弟でも殺すからな」


 ハイドルは俺の方を見て言った。


 「フィン様、我が国のせいでこのようなことになってしまい、本当に申し訳ありません」

 「え?」

 「現在マルクが必死に動いているので、しばらく耐えてください。私はあなたの味方です」


 そう言ってハイドルは俺にまともな食料と水筒の水を与えてくれた。

 さらに拷問で受けた傷の手当てまでしてくれた。


 「ハイドル、さっきはすまなかった」


 俺は先程ハイドルに向けて言った言葉を後悔した。

 その後も度々ハイドルは俺のところに来ては食料を与えてくれた。


 一週間後、遂に処刑の日。

 俺は足枷だけ外されて牢から出され、地下の一本道を歩かされた。

 処刑台に着き、俺は十字で出来た木に括り付けられた。


 「これよりフィン・ステラートの処刑を始める!」


 王の号令で俺の公開処刑が始まった。

 公開処刑は大きな広場で行われ、たくさんの国民が見物しに来ている。

 処刑人が処刑台へ登ってきた。

 処刑台の上で見張りをしているハイドルは今にも処刑人を殺して俺を助けようとしている。

 処刑人は俺の足元に火をつけた。

 どうやら俺は火炙りで殺されるらしい。


 バーンッ!


 俺は自分で脱走する為に魔力を放出させ首輪を破壊した。


 (ハイドルにはこれ以上迷惑かけられないしな、あぁ、結局闇落ちか・・)


 もういっそこの街ごと破壊してしまおう。

 俺は一週間の鬱憤が溜まっていてどうにでもなれと思っていた。


 「特級魔法・・」

 「アクアスワロー!」


 どこからかノアの声がして俺の足元の火が消えた。

 アクアスワローは水で作られたツバメを放つ魔法だ。


 「フィン!お待たせ!」


 人込みの中からマルク達が姿を現した。

 ガルバンが処刑台まで飛んできて俺を十字の木から解いてくれた。


 「勇者マルクよ!これはどうゆうことだ!!」


 王は顔を真っ赤にしてに怒っている。


 「王よ、いや、ホープ・クラウザー!」

 「おのれ勇者・・誰に向かって口を聞いておる・・!」

 「お前はもう王ではない」

 「なにを言っている」


 マルクは一枚の紙を腰から取り、王に突き付けた。


 「近隣の同盟国三か国の王の署名により、現在を持ってホープ・クラウザーは王の座を降りてもらう!同盟条約の規定違反や、お前の無理矢理な王政の結果だ!」

 「な、なんだと・・!」


 王は唖然としている。それを聞いた国民たちもざわめきだした。

 王は同盟国である国へ幾度も密偵を送って情報を盗んだり、王の暗殺を企んでいたらしい。

 その他にも国民に過度な納税を命じたりと好き放題していた。


 「王政が無くなった今、フィンの罪を咎められる者はいない!」


 マルクは俺の方を向いて親指を立てた。

 めちゃくちゃだな。と思いながら俺も親指を立てた。


 「それともうひとつ」


 そう言ってマルクはもう一枚紙を取り出した。


 「これは次の王の推薦状だ、これにも同盟国の署名を頂いている!」


 王が不在ということはあってはならない。

 マルクは次の王も決めていた。


 「次の王は私の弟であり、騎士団団長のハイドルに決まった!」


 更に国民はざわついた。

 確かにハイドルもマルクの弟だから貴族だ。

 それに騎士団団長の団長だ。うってつけの人物だろう。

 国民からの信頼も厚く、賛成や称賛する声が多かった。

 それを処刑台の隅で聞いていたハイドルは無論怒っていた。


 「俺が王!?クソ兄貴、また勝手なことしやがって・・」


 マルクはハイドルのところに行き、処刑台の中央にハイドルを連れてきた。


 「さ、ハイドル、君が王だ」

 「お前覚えとけよ・・」


 ハイドルは国民の前で、空に剣を掲げた。

 国民からの拍手が広場を包み込んだ。

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