第18話 王は魔法が見たい
外を見ると人が賑わっており、活気のある街だった。
その中心を通る高級馬車。兵士の護衛。
街の人の視線はすべてこちらを向いていた。
そして王宮へ到着。
馬車を降り、周りを見渡すと広い中庭ととても大きな城、数十人の兵士。
「私ヘンドブルグ騎士団団長のハイドルと申します!」
団長は20代前半程の男で、甲冑を身にまとい背中に大きな剣を背負っていた。
「長旅で大変お疲れと存じますが、先に王の所へ帰還のご報告をお願いいたします!」
俺の後ろからマルクが前へ出た。
「久しぶりだねハイドル」
ハイドルは頭の装備を外し床に置き、「失礼します」と俺たちに向かって頭を下げた。
ハイドルはマルクの前へ立った。
バコンッ!
ハイドルはマルクを殴った。
マルクも殴られる準備をしていなかった為吹っ飛んだ。
俺たちも兵士たちも状況を呑み込めない。
「てんめぇ!!なんで半年以上もバールヘヴンにいるんだよ!!どうせまた女遊びやらなんやらしてたんだろうが!!」
バコンッ!
「真面目に探してたよ!!」
マルクも急に殴られて腹が立ったのか殴り返した。
「噓つけボケェ!!」
「少しくらい息抜きしても良いじゃんか!」
ガシッ
マルクが殴ろうとしたところをガルバンが止めた。
ハイドル側は他の兵士が5人がかりで必死に止めた。
「団長!勇者様に向かってなにしてるんですかぁ!!」
ハイドルは深呼吸して少し落ち着いた様子で言った。
「皆様、大変お見苦しいところを・・いつも兄がご迷惑をおかけしています」
「・・・兄!?」
どうやらハイドルはマルクの弟のようだ。
ガルバンが何かを思い出し高笑いした。
「ガッハハハ!!お前が噂の弟か!!」
ガルバンはマルクに弟がいたことを知っていたらしい。
「はい・・こんなポンコツの仲間になって頂き本当にありがとうございます」
ハイドルは深々と頭を下げた。
「はっ、こんなことをしている場合ではないですね!すぐに王のもとへ行きましょう!」
ハイドルとその他兵士に連れられ、城へ入った。
ウィードさんとルイは別室へ案内された。
城の中は全体的に白と赤で統一された綺麗な内装で、中央に噴水があり、その奥に大きな階段があった。
階段を上り、兵士二人が身長の何倍もの高さがある扉を開いた。
扉を開いた先には大きな広間。
広間の端に偉そうな人たちが並んでいる。
その奥に赤い大きな椅子に座り腕を組み、怖い顔をした王がいた。
「王よ、勇者マルク只今帰還しました」
王はその体制のまま口を開いた。
「よくぞ戻った、勇者マルクよ」
「はっ!私と共に魔王を倒す仲間を連れてまいりました」
マルクはガルバンとノアの紹介をした。
最後に俺の紹介を行う。
「彼は魔術師フィンです、Aランクながら魔術の理解が深く、特級魔法までも扱える強力な仲間です」
王は組んでいた腕を解き、髭を撫でながら言った。
「Aランクで特級魔法だと?どのような特級魔法だ?」
フィンが自信ありげに答えた。
「グランドメテオという特級魔法で、巨大な隕石が降り注ぎます」
王は急に身を乗り出した。
「フィンと言ったか、私にその特級魔法を見せろ」
俺は戸惑った。
グランドメテオなんて特級魔法はない。
あの時、口から咄嗟に出たデタラメだ。
「い、いやぁ、こんなところで唱えたらこの王宮が消し飛んじゃいますよッ」
王の目が光った。
「私の命令に背くと?」
王は俺以外のメンバーに訴えかけた。
マルクが小さなため息をついて行った。
「わかりました、私達が打ち消しますのでどうぞ後程、庭の騎士団訓練所までお越しください」
マルクが承諾してしまった。
一旦、その場は解散となった。
「フィンごめんよ・・王は横暴なところがるんだ」
「まぁあの状況じゃ断れないよな、仕方ない」
俺は悪食の指輪を外し、そっと服にしまった。
訓練所に着き、王がやってきた。
「さてフィンよ、グランドメテオとやらを見せてもらおうか」
王は待ってましたと言わんばかりの表情をしている。
俺はみんなに聞こえないくらいの声で詠唱をして杖を空へ掲げた。
「メテオ」
巨大な隕石がすごい勢いで落下する。
「特級魔法アイギスの盾ッ!」
ノアが巨大な盾で隕石を止める。
「スタースロワー!!」
マルクが剣を振った軌道がキラキラと輝き、巨大な隕石をバラバラに切り裂いた。
「インフィニティシールド!!」
落ちてくるバラバラの隕石の起動に合わせ、ガルバンの無数のシールドが隕石を粉々に砕いた。
俺は悪食の指輪を付け、重力魔法を唱えた。
「レンジグラビティ!」
隕石の破片を浮かせ、一か所に集めて街の外まで飛ばした。
王は拍手をしながらご満悦。
「素晴らしい、だが君が本当にAランクなのか?、これがAランクであればSランクとの境界など意味のないものになってしまう」
やはり突っ込まれてしまった。
確かにこの状況はギルドの信用問題にかかわる。
「フィン、ギルドカードを見せよ」
やばい、このパターンは予想していなかった。
「そうだね、ギルドカードさえ見せちゃえば間違いないもんね」
おいマルク、余計なことを言うな。
「い、いやぁ、ギルドカード失くしてしまって・・」
王の顔がこわばった。
「もし君の持ち物からギルドカードが見つかった場合、死罪にするが本当に失くしたのか?」
王の鋭い眼が俺を突き刺す。
「あ、ありました~」
俺はギルドカードを出し王へ渡した。
これでマルク達にも俺のランクがバレてしまう。
「ふむ、やはりSランクか」
「申し訳ありません・・」
マルク達は驚いた表情をしている。
「え、フィン本当にSランクだったの?」
「あぁ、隠していてごめん、中々言い出せなくってさ・・」
王は言った。
「身分を詐称して勇者パーティーへの加入、王への虚偽報告、よって死刑!!!」
俺たちは口を揃えて言った。
「死刑!?!?」




