第13話 大変貴重です
俺たちは下山することにした。
倒したアイスドラゴンはノアが重力魔法をかけ、ガルバンが運んだ。
アイスドラゴンのような伝説級モンスターの死体は高値で取引されるらしい。
宿に着き、ギルドへの連絡を頼みに受付へ向かった。
大きなモンスターを討伐した場合はギルドに連絡すれば取りに来てくれる。
「戻りましたー」
主人はこちらを見ると驚いた表情をしていた。
「な、なぜ・・、おかえりなさい」
「どうしました?」
「い、いえ、なんでもありませんよ、天候は大丈夫でしたか?」
「あ、アイスドラゴンいましたよ!」
「え?」
「逃げられそうにもなかったので、討伐してきました!うちのマルクが」
主人はドアの外を見てすごい勢いで外に出た。
「アイスドラゴン・・」
「いやぁ、本当にまだ生きていたんですねー」
「あなたたちもしや勇者パーティーですか?」
「そうですけど」
「なんということだ・・なぜ勇者パーティーがCランククエストなんか・・」
「あのー、どうしたんですか?」
ノアが横から口を出した。
「ねぇ主人、なぜ今回のクエストがCランクだと知っているの?」
主人は俯きながら答えた。
「ギルドに依頼したのは私だからです」
!?
「先祖代々私の一族はアイスドラゴンを神様のように崇めていました」
「神様?」
「神様と言っても山に行った時に手を合わせて食べ物をお供えする程度でしたがね」
「ではなぜこんな危険なクエストをCランクで?」
「聞こえるんです・・夜になるとこの宿の庭から声が」
「庭からってそこの?」
「はい、『生贄を捧げよ、さすればお前の一族は見逃してやる』と・・」
ノアは庭へ行き、座り目を瞑った。
「いた」
立ち上がり、庭にある銅像の前に立った。
「ウィンドカッター」
ノアは銅像を切り刻んだ。
ギョエェェェエ
悪魔のようなモンスターが悲鳴をあげながら消えていった。
「い、いまのは・・」
「ハルデビル、幻聴や幻覚を見せるモンスター」
「幻聴ですと!?」
「えぇ、主人が幻聴を聞いたのはこのモンスターのせいでしょうね」
「なんということだ、アイスドラゴンからのお告げてはなかったのか・・」
「幻聴だからといってあなたのした事は殺人行為よ、ギルドには通報させてもらうわ」
主人は膝から崩れ落ちた。
ガルバンが思い出したかのように言った。
「てことは俺の武器は!?」
「そこの倉庫です・・」
「お前だったのかよ・・!」
ガルバンの剣と盾はちゃんと倉庫にあった。
俺たちはギルドに連絡を入れ、主人の事とアイスドラゴンの事を報告した。
ギルドの職員が来るのは明日の明け方頃らしい。
それまで宿の広間で主人を見張ることになった。
夜中、マルクは俺にこっそり話しかけてきた。
「あんなことがあったけど、ノアちゃん仲間になってくれるかな?」
「んー、厳しいかもな」
「だよね、明日の帰り道にもう一回お願いしてみるよ」
ただでさえモンスターが怖いのにアイスドラゴンまで見せられて仲間になってくれるはずがない。
この時は俺もマルクもそう思っていた。
まだ外が暗い時間、ギルドの職員が到着した。
「失礼いたします!私、ベイルギルド違反取締部のアレス・リンと申します!」
ベイルギルドとはバールヘヴンを中心に拠点を構えた大型ギルドだ。
俺たち勇者パーティーもこのベイルギルドに所属している。
今きたリンと言う緑髪の女はそこの違反取締部らしい。
リンはギルド職員二人と入ってきた。
「お、予定より少し早かったな」
「なるべく急いでやってまいりました!違反者はこのご老人でよろしいでしょうか?」
「あぁそうだ」
「かしこまりました。連れてゆけ!」
リンの部下は老人を宿の外へ連れて行った。
「今回のクエストおよびアイスドラゴンの討伐、お疲れ様でした。」
「ありがとうございます」
「まさかアイスドラゴンが本当にいるとは・・アイスドラゴンの死体は我々が責任持ってギルドまでお運びいたします!」
「よろしく頼む」
「はい!今回冒険者様を危険に晒してしまったことは私たちの責任でもあります!申し訳ありませんでした!」
そう言ってギルド職員たちは帰っていった。
ガルバンが言った。
「俺たちも帰るぞ!」
荷物をまとめ、馬車に乗った。
帰り道は順番で見張りをしながら、睡眠をとった。
「もうそろそろ着きますよー」
俺はウィードさんの声で目を覚ました。
馬車から外を見ると、バールヘヴンが見えた。
「んーー、よく寝たぁ」
無事バールヘヴンに着き、俺たちは馬車を降りた。
「3日間ありがとうございました、ウィードさん」
ウィードはニッコリ微笑みながら言った。
「こちらこそ貴重な経験をさせていただきました、また御縁があればよろしくお願いいたします」
ガルバンが伸びをしながら言った。
「腹減ったな!さっさと完了報告して飯行こう!」
「そうだな」
そうしてギルドの受付へ向かった。
「おかえりなさいませです〜!」
受付嬢はまたあの子だった。
「クエスト完了報告をしたいんだが」
「かしこまりましたです〜!」
受付嬢は分厚いクエスト管理書を開いた。
「はい!アイスウルフ20頭討伐およびアイスドラゴン1頭討伐ですね!」
・・・
「アイスドラゴン討伐ぅーーー!?!?!?」
受付嬢はまたも大声で言った。
周囲の冒険者たちの視線が一気に集まる。
「おい、受付嬢、え〜っと〜?」
俺は受付嬢の名札を見た。
「ミミコか、この前も言ったよなぁ〜?」
「ひ、ひぃ〜、申し訳ないです〜!!」
「はぁ〜、んで、報酬は?」
「は、はい!アイスウルフ討伐報酬150万ゴールドに加えて、アイスドラゴンの討伐報酬&素材買取24億ゴールドで、計24億150万ゴールドになりますです!」
「はーい・・・24億!?!?!?」
「はい!このアイスドラゴンの素材はSランク装備に使用される程の強度と魔力があります、そしておそらく世界中で最後の一匹でしょうから大変貴重です。その為このお値段での買取とさせていただいております。」
「・・・」
「ご、ご不満がおありでしょうか・・?」
「あ、あぁ、マルク!いいよな?」
マルクはきょとんとして言った。
「ん?いいんじゃない?」
「じゃあそれでお願いします・・」
まさかアイスドラゴンがこんな高額で売れるとは思っていなかった。
(こんなことなら指輪外してでも俺が倒せばよかったぁ・・)
俺たちは報酬の分配を行うため、広場へ向かった。




