第1話 クソ野郎です
「フィン、言いづらいことなんだけどさ、パーティー抜けてくれねぇ?」
パーティーリーダーで戦士であるロイに突然告げられた。
俺は追放されることに対して心当たりしかなかった。
「ロイ、冗談だろ?」
ロイの顔はいたって真剣。
というかむしろ申し訳なさそうな顔をしている。
「自分でもわかっていると思うがお前は弱すぎるんだ」
俺はSランクの魔法剣士だ。
一番上のランク帯。
ランクはFランク~Sランクまであり、Sランク冒険者は世界に7人しかいないらしい。
だが俺は訳あって実力を隠し、このCランクパーティに入っていた。
「というかフィンって本当にCランク?Cランクにしては弱すぎない?」
痛いところをついてきたこの女はベル。
とてもセクシーで美人な魔法使いだ。
「い、いや、もちろんCランクだよ」
魔法を使うと力加減が難しい為、俺はこのパーティーにいる間は弓を使っていた。
もちろんこのパーティーに入るまで弓なんて触ったことすらなかった。
頑張って練習してみたが、俺の弓の実力はFランクにも及ばない程度だった。
「ねぇフィン、ギルドカード見せて」
(ぎくッ・・ギルドカードはさすがに見せられないな・・)
「あー、ギルドカードねぇー、どこやったかなぁ、さっきのダンジョンで無くしちゃったかな?はははッ」
ロイとベルから向けられる俺への視線は申し訳なさから怒りに代わっていた。
汚物を見るかの様な目でベルは言った。
「実力を隠してパーティに入ってくるなんて最低ね」
「えーと、ベルさん、違くて・・」
俺はベルの視線に耐え切れずにもう一人の仲間であるノアの元に駆け寄りしがみついた。
ノアは口数が少なく、優しい性格のヒーラーだ。
今の会話も少し離れてニコニコしながら聞いていた。
「ノ、ノア!もちろんノアは俺のこと信じてくれるよな!?」
いつもニコニコ顔を絶やさないノアの顔が一瞬で真顔になった。
開いているのを見たことがないノアの目が少し開き、俺を蔑んで言った。
「ランクを偽ってパーティーを危険にさらしたあなたはクソ野郎です。とっとと消えてください。」
「申し訳ございませんでした。パーティー抜けます。」
こうして俺はパーティーを追放されたのであった。
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