ep.???(1) そいつの名前は萬 魔祐大
世界が変わったら、世間も変わるだろうか。
ドラゴンやスライム、暗黒魔法、伝説の聖剣、人生やり直して俺TUEEEだとか、美男美女に囲まれたハーレム生活だとか…そういったことが、本当に起こるようになったら。
あり得ないことだと、それを本気にするのは痛々しくて恥ずかしいことだと、そんな凝り固まった考えも変わるのだろうか。
これは、
"実際に中二病が能力を得たら"という、
僕の、夢の物語。
「おい、ユー。いつまで寝てるつもりだ。風邪をひくぞ。」
…あれ、いつの間に寝てた…?
「それに、突っ伏して寝るのも身体によくない。
寝るのなら保健室にでも行くんだな。」
そう言う彼は萬 神大。
明るく透き通った金髪に高身長、目鼻立ちがくっきりとしたイケメンで、性格はクール。
僕が転校してきて、初めてできた友達のうちの一人です。
あぁ。そうそう…
僕の名前は相武 結。
最近、この街に引っ越してきました。
まぁ、覚えてもらう必要はないですけど…。
こんな感じで脳内ナレーションするのが好き(?)なやつです。よろしくね。
あれ…?そういえばもう一人がいない…
「父上なら特訓に向かったぞ。
先に走り込みを済ませたいそうだ。」
神大の言う"父上"ってのがもう一人の友達。
この二人との出会いは本当に奇妙な感じだったよ…
…で、アニメとかだったらここで回想に入るんだよね。
20××年、4月。転校初日の日。
僕は、2人の奇妙な男に出会いました。
「オーライ、オーライ。
よし。そこで下ろして!
ゆっくりだぞ〜…絶対落とすなよ…?この看板高いんだから…」
学校の至るところでは、入学式に向けての準備が行われているみたいです。
「くぅ~…!
"新・学・期"、
"新・環・境"、
"新・生・活"…?
楽しみだなぁ〜!」
勉強とか部活とか、
放課後、友達と遊んだりも…!
一体どんな学校生活になるんだろう?
こ、恋人なんかも…へへ…
くぅ~!もぅなんかよくわかんないけど何もかもが楽しみ!
もう気分だけなら新一年生にも負けてないよ〜!
そういえばこの学校…あの"エンペラー財閥"が運営してるんだっけ…?
くぅ~…!!!あのエンペラーが運営してる学校に行けるなんて!
学校生活が楽しみで楽しみで仕方ない!
えっと…
たしか初日は、職員室に登校すればいいんだよね?
ふぅ…緊張するなぁ…
「よし!」
決意を固め、ノックをしようとしたその瞬間――
ドォォォォォォォォン
凄い爆発音というか衝撃音というか、今までに聞いたことのない音がした。
「上の階から…?」
何故かは知らないけど、気づけば僕は音のもとへと走っていた。
あとから思ったんだけど、あの時のことは凄く奇妙だったと思う。
なにせ、初めて来た学校だし、校舎だってかなり大きい。
それでも迷わず、まるで何回もここへ来たことがあるみたいに走ってた。
なんなら身体を操られていたような感じがあったかも。
だって、向かってる途中も音は絶え間なく響いていて凄く怖かったんだ。なのに走るのをやめないんだもの。
とにかく、僕は走りに走って、音がした場所に到着した。
騒ぐ声がしていたし、この世の終わりみたいな惨状だったから、音のもとがここだっていうことが分かるのに時間はかからなかった。
何人かうつ伏せで倒れていたり、座り込んだままうなだれているし、ところどころ何かに引火したのか小さな火がついている。
そのそばの壁や床には、何かが叩きつけられたみたいに少し大きめの亀裂が入っている。
「化学の実験ミス…かな?」
何が起こったかなんて推理してる場合じゃない。
とにかく、この人たちを助けなきゃ…!
助けに駆け寄ろうとしたとき、何かとぶつかって、尻もちをついてしまった。
正直今でも信じられないけど、とにかく聞いてほしい。
そこには確かに何もなかったんだよ。
ガラスとか、そういう透明なものなんかでもないんだ。
けど…
「痛ぇ〜…
すいません…ははは…
まさか誰か来るとは…」
そのなにもなかったハズの場所から声がするんだもの。背筋に寒気が走ったよね。
そうやって混乱していると、その声の主は姿を現した。
黒髪、黒眼、黒の学ラン。
染み付いたクマ、目の下に薄めのホクロ。
襟足は少し長く、毛先には少しカーブがかかっている。
極めつけは目。羽のような形のたれ目で左右それぞれ二重と一重。
そう彼がもう一人の友達。そして、
後に、世界を変える男。
"萬 魔祐大"。
毎日投稿目指してます!
ひと区切りついたら一旦お休みして、
完結まで書ききったら、もしくはまたひと区切りつくまで書いたら投稿していくつもりです