初めての異世界転生~エルフ編第一話~
目を覚ますと知らない家だった。ログハウス?
「良かった... 目を覚ましてくれて」
目線を右にやると金色の長い髪をした青い瞳の少女が涙を流していた。
ん?長い耳?彼女の真っ白な肌には生々しい傷跡がいくつもあった。
話を聞くに私はエルフ族に生まれ変わったらしい。彼女は私の恋人だそうだ。名はエルミア。
どうやらエルフ族はドラゴンつかい(種族らしい)から侵略を受けているらしい。
私はそれに巻き込まれたようで、間一髪のところで防御魔法によりエルミアが私を救ってくれたらしい。
実際私の身体には大量の火傷痕がある。
これが『異世界転生』ってやつなのだろうか。
エルフ族、ドラゴン使いに、魔法。馬鹿みたいにファンタジックなこの天国を私は楽しむことにした。
彼女は私が記憶喪失になったと認識しているらしい。まさか異世界の知らない男と入れ替わったと思うまい。
『記憶喪失』になる前の話を聞きながら、紅茶を飲もうとカップに手を伸ばしたその時だった。
「逃げろ!!ここにまで奴らが攻め込んできた!!」
怒号とともに燃え上がる家、天井は吹き飛び空があらわになる。
焼き尽くされた木々と焼け焦げた屍たち。そして頭上には何体もの巨大な『ドラゴン』が飛び回っている。子どもたちの悲鳴が鳴り響く。確信した。ここは天国でもなんでもない。れっきとした「死」のある現世だ。今度こそ逃げなければ、今度こそ死んで、目を覚ませなくなってしまう!