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ここは天国?
死んだ。呆気ない人生だった。
暴走した車に巻き込まれて、私の胴体がちぎれて吹っ飛んでいくところを確かに見た。
ん、死んだ?
死んだならなぜ意識が遠のかない?
どうやら私の身体に目がまだあるようだから、そっとその目を開けてみた。
夕暮れ空、一面に広がる牧草地帯、風車と欧風の家。吹き抜ける風が心地良い。
ここは天国なのだろうか?
私は傍にあったベンチに腰かけて日が沈むのを眺めていた。
ここは眺めがいい。何キロも先にいる牛の動きまではっきりと分かる。
今見つめていた牛のさらに向こうから、トカゲに羽根が生えたような大きな生物が飛んでくる。
おそらくドラゴンだろう。
え、ドラゴン?
なんて首を傾げる暇もなくその生物は火を噴きながらこちらへ物凄いスピードで飛んでくる!
「逃げて!」
瞬間、目の前に大きな魔法陣が浮かびあがった。