94話・ガッコの執事の正体
「そうか...ガッコ様は、ここへは来ていないのか...」
「ふう...驚かすなよ、肝が冷やってしちまったじゃねぇか!」
ファングの言葉を聞いたチンピラ達が、見てわかるくらい安堵感に
胸を撫で下ろしていた。
「おやおや、あなた方が何故そんな安心しきった表情をお浮かべに
なられているのでしょうか...?」
ファングが顎に手を添えてハテナ顔をしながら、チンピラ達を
ジィィッと睨む様に見てくる。
「そりゃおまえ、こんな大失態をガッコ様に知られてみろ、
きっと俺達、後からキツイ罰を食らうのは目に見え―――」
チンピラが焦り口調でファングの問いに答えると、その答えを
最後まで述べる前にチンピラの首が宙を舞う!
「いいえ、後じゃなく...今、罰を食らうのですよ......」
「き、貴様ぁぁぁぁっ!?何をしや―――――」
ファングの突然の奇行動に別のチンピラが喫驚し、慌てて武器を
手に取った瞬間、身体を真っ二つに叩き斬られる!
「お、己...いきなり不意討ちしやがって...ふざけるなよ、
てめえぇぇ――――ッ!!」
「ならば...不意討ち無しで、罰を与えてあげますよ...」
殺られた二人のチンピラを見ていた更に別のチンピラが、動揺するも
威勢よくたんかを切って、ファングへ斬りかかっていく!
そしてそれを迎え撃つ為、ファングが静かに剣を身構えた!
「不意討ちさえなければ、貴様の様なジジイに遅れを取るかぁ!」
チンピラが気合を入れてそう叫ぶと、ファングへ目がけて飛びかかる!
「ふ...そうですか、なら...その最初のジジイになって差し上げると
しましょうか...」
「ふ、ふざけるなぁぁっ!このクソジジイがぁぁぁ――――グバァッ!?」
飛びかかったチンピラが、ファングの目の前まで来た刹那の刻...
気づくとそこにはチンピラの姿はなく、あるのはクロス状に斬られ
無惨に地面へ転がるチンピラの破片だけだった......。
「ふふ...だが、それも最初で最後になりましょうが...ね!」
地面に転がっているチンピラへ呟く様に述べると、持っていた剣を
強く振って、剣先についた血糊を払った。
「さて...どうします?この私...首斬りファングと戦うか...それとも、
ガッコ様の命令を聞いて、屋台潰しを続けるか...あなた達の好きな方を
選んで下さい」
ファングが残ったチンピラ達に目線を合わせて、にこやかな表情で...
しかしその身体からは、すざましい威圧感を出して選択を与えてくる。
「な、何だと!このジジイが、ブルー貴族の中で名を馳せた、伝説の暗殺者...
『首斬りファング』だと言うのか...!?」
ガッコの執事の正体が、あの首斬りファングと知ったチンピラの1人が
目を見開き、動揺を隠せずにいる。
「な、なんで、そんな有名人がガッコ様の下についているんだ...!?」
「そんな些細な事はどうでもよろしい...さあ...さっさと選びなさい...。
それとも、私に斬られる方を選んでみますか...?」
チンピラを睨むファングの目線が、更に威圧感を上げて鋭く光る。
「ぐうぅ...く、クソ...!?」
「どっちもどっちじゃねえか...!」
「だが、屋台潰しを選んだ方がまだ生き残るチャンスがある...!」
「そ、そうだな...な、ならば!!」
チンピラ達が喫驚した表情を浮かべ、お互いに目線を合わせたチンピラ達が、
静かに相づちを打つと、再び屋台の主達の方に向きを変え、武器を身構える。
「ちくしょう!せっかく、この場が収まりそうだったのに、あのジジイのせいで
オジャンじゃねえか!」
「ああ、あいつのせいで振り出しに戻るだ!イヤ...あのあいつの登場で
最悪のゴールに近づいたと言うべきか...」
ファングに殺られたチンピラ達の亡骸に目がいくと、屋台の主達が弱音の言葉が
口からこぼれる。




