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9話・メイーナとナナーシュ


「やっと、全員の召喚を終えたみたいですね...」


「おや...?あなたは、ナナーシュじゃないですか?」


メイーナの前に現れた綺麗な金髪をなびかせている女性の名前は

ナナーシュといって、7大女神のひとりでエルフ族の女神である。


「あなたがここにいるなんて、珍しいですね?」


「ちょっと、あの神殿に用がありましてね...」


メイーナの問いに、ナナーシュが用事で訪れていた神殿を指を差して答える。


「それより貴女って、この召喚には今まで一切、興味を示さなかったのに、

さっきの少年にはあそこまで力を貸すだなんて...。一体全体、どういう風の

吹き回しですか?」


ナナーシュが軽く咳払いをして気持ちを切り替えると、先程のメイーナの

態度や行動がいつもと違う事が気になっていて、それを聞いてみる。


「う~ん、そうだね。それをひと言で言うのなら...一目惚れ...かな♪

キャッ!恥ずかしい!」


「女神が人間風情に一目惚れですって~?アハハハ...メイーナったら、

冗談ばかり言って...。あれのどこに惚れる要素があると言うのですか?

あの少年、いかにも馬鹿っぽいと言うか、小物感―――」


「ナナーシュさん...。それ以上シュンの悪口を言ったら...貴女を完全に

この世から殺しますよ♪」


笑っているのに笑っていない表情のメイーナが、両の拳に黒いオーラを

唸らせて、今にもナナーシュを撃ち砕こうと身構える。


「ひゃい!すすす、スイマセンッ!言い過ぎましたっ!?反省しているので

許して下さい!だから、その禍々しい気を抑えて下さい!!」


それを見たナナーシュは、顔中からサーッと一気に色が抜け落ちてしまい、

必死にメイーナへ謝り倒す。


「ったく...次はありませんからね!」


「ハイ!肝に免じます!」


釘を指してくるメイーナに対し、ナナーシュが慌てて了解と言わんばかりに、

ビシッと敬礼ポーズをしてくる。


「でもメイーナ、貴女...仮にも女神なのに、その黒いオーラはやめなよ...」


「いいじゃありませんか、私らしくて♪」


呆れ口調で注意してくるナナーシュに、ケラケラと笑いながらメイーナが

そう答える。


まあ、黒いオーラを使うのって、本当の所は単に聖なる力が苦手っていうのも

あるんですけどね...。


でもアイテムにはちゃんと完璧な聖なる力を添付できるんだよねぇ...


うん、不思議だ。


「さて、さて...私の作った特製アイテムたちが、ちゃんとシュンの役に

立つといいんですけど...」


アーチに降りた蒼井の事が心配になってきたのか、メイーナが思いにふける様に

ジッと天を仰いでいた。



――――――――――



「く...ここまでか...!」


「あはは...女にしてはよく頑張った方だが、貴様ら人間が魔族に

勝てる訳がないだろうに...」


魔族はそこら辺いっぱいに転がっている騎士と思われる死体を見ながら、

ゲスな表情でニヤニヤしている。


「くそ...あいつ一人に...我が部隊が全滅するなんて...!」


「大体、ケッサクなんだよな~!俺が一人と知るや、こいつら勝てると

思ったのか、希望に満ちた顔、魔物を見る様に下卑た顔...そうそう、

英雄になれるとわくわくした顔をした奴もいやがったなぁっ♪

まったく...どいつもこいつも...プッ...アハハハハハ――――ッ!!」


魔族がその時の事を思い出しているのか、腹を抱えて高笑いを

上げている。


「う...るさい...!だ...まれぇぇぇぇ――――――ッ!!」


「ハア...もう、せっかく人が楽しく思い出に浸っているの...」


『邪魔をすんじゃ...ねぇよぉぉっ!魔豪斬ッ!!』


「グキャアァァァ――――――――ッ!!!」


魔族が軽く振った剣の軌道から、刃の波動が凄い速さで飛んでいき、

女騎士の右腕を斬り落とす!


「ふん...どうだ、気分の方は...?仲間もいない、利き手をなくし剣も振るえない...

ククク...なぁ!絶望しか見えない今の気分はどうなんだぁっ?」


「う...うう...くそ...ハァハァ...こ..ここまで...圧倒的...なのか...魔族は!」


今にも気絶をしそうな程、斬られた右腕から血が流れて行く中、女騎士が肩で

息をしながら、無念の言葉を魔族に洩らす。


「さて...いたぶるお楽しみをもっと味わいたいが...この後にまだまだやる事が

あってな...名残惜しいが、ここで終わりにさせてもら―――」


魔族が剣を振り上げて、女騎士にとどめのセリフを言い放とうとした瞬間...

謎の大きな光が二人の前に現れた。


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